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みなし残業制度を導入する際に注意すべき点とは?

公開日2018/07/25 更新日2018/07/25

Q:(社員に)もっとプライベートを充実させてほしいと思い、残業時間を減らす方向で規定を改定しようと思っています。

現状、どうしても残業代で稼ごうとする古い社員がいるため、なかなか新人が帰りにくいという光景を目にします。
そこで、下記のように変更したいと思っています。

1. 基本給はそのままでみなし残業5万円(40時間)支給

2. 早朝出勤(7:00~9:00)は深夜残業と同じ額をみなし残業とは別に支給

ほとんどの社員は今と変わらない給与を得られますが、一部社員は手取りが減ってしまいます。
この場合、不利益変更に当たるのでしょうか?
また、社員に給与改定についての説明会を開く予定なのですが、その際書面で合意の旨を貰う必要はありますか?
長々とすみませんが、よろしくお願いします。

A:不利益変更に当たるかどうかは、変更する規定の内容などによります。

まず、「2. 早朝出勤(7:00~9:00)は深夜残業と同じ額をみなし残業とは別に支給」については、有利変更なので、特に問題はありません。

次に、「1.基本給はそのままでみなし残業5万円(40時間)支給」については、固定残業代について、この程度の抽象的な規定をするだけで、40時間を超えても差額を支払わないのであれば、就業規則の不利益変更に当たりますし、逆に残業代請求を誘発させる危険性があります。

裁判例は、固定残業代の金額の計算方法を明示し、40時間を超えた場合は差額を支払うことが合意された場合でないと、抽象的な固定残業代の規定を無効にする傾向にあります。

この点を踏まえ、規定の内容を検討した方がよいでしょう。

また、社員に対する説明会では、自分であれば残業代がいくらになるのかが分かるような資料を配付し、丁寧な説明をしてください。社員から質問が出れば、きちんと回答した方がよいです。

就業規則の変更には労働者の個別同意は必要ないのですが、重要な変更ですので、個別に同意書を取得した方が無難です。

ただし、裁判例は、矛盾した説明や不十分な説明のまま、労働者が同意書に署名押印したとしても、その効力を認めていません。あくまで会社が説明責任を果たした上でサインさせることが肝要です。

佐久間大輔(弁護士)先生の回答

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そもそもみなし残業制度って?

みなし残業とは、従業員の正確な残業時間を把握することができない場合、賃金や手当ての中に、残業時間をあらかじめ見込んでおくことで、一定の残業代を固定して支払うことから“固定残業制”、“みなし労働時間制”ともいいます。

みなし労働時間制には、事業所外労働と裁量労働があります。たとえば外回り業務が中心となる営業職などは、会社が正確に労働時間を把握することはできません。

また、国会審議でも争点となった裁量労働制は、研究者やソフトウェア開発者などの業務内容によっては、業務の進捗状況によって労働時間を集約するか、一段落した段階でまとめて休暇を取る方が、作業効率がアップする場合があります。こうした場合、労働者の判断で作業を進めたほうが合理的とされています。

みなし残業制度のメリットとデメリット

みなし残業制度は、雇用契約書に「月30時間の残業代を含む」という記載があれば、月30時間までの残業代を支給しなくてもよい賃金体系のことで、会社側に有利な制度とも言われています。

しかし、雇用契約書で規定している一定時間を超えた分については、残業代を支払わなければなりません。残念ながら実態としては、みなし残業制度を採用しているからと超えた分の残業代を支払わない会社もあり、サービス残業の問題にもなっているのが現状です。

運用次第では労使間のトラブルにも発展しかねないみなし残業制度ですが、企業側にとっては、残業代の計算をする手間が省け、労働者側にとっては残業をしてもしなくても一定の残業代が支給されるというメリットがあります。

労使双方が十分に制度の内容を理解し、納得したうえで導入していくことが大切なポイントといえるのではないでしょうか。

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