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スマートフォンの普及とともに、国内でも利用者が爆発的に増加したSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)。
ICT総研の調査によれば、日本国内におけるSNSの利用者数は2017年の時点で約7216万人となっており、2019年末には7732万人にまで拡大するという予測もおこなわれています。
なかでも「4大SNS」といわれる、Facebook、Twitter、Instagram、LINEの利用率は高く、10代から50代以上までの男女を対象とした調査では、調査対象者の9割以上が、このうちいずれかのSNSを利用したことがあるという調査結果も報告されています(2018年2月、アライドアーキテクツ株式会社調べ)。
企業にとってSNSの魅力とは
このように、いまや若年層だけでなくシニア層にまで利用者を拡大しているSNSを、企業がPRやマーケティング・採用活動などに活用するようになったのは自然な流れといえます。
企業にとっては、低コストでのPRやユーザーのよりリアルな意見を収集・分析したマーケティングがおこなえるSNSはたしかに魅力的なツールでしょう。
また、経産省が2016年に取りまとめた「企業のソーシャルメディア活用に関する調査報告書」では、SNSを含むソーシャルメディアが消費者の消費行動に影響を与えていることが述べられていますが、エステサロンを運営する民間企業がおこなった調査では、若い女性の2人に1人が、SNSの企業広告やハッシュタグ検索などを通じてサービスの利用や、商品の購入をおこなったことがあると回答したことも報告されています(2018年7月 セブンエー美容株式会社調べ)。
さらに上記の経産省の報告書では当時の先進的なソーシャルメディアの活用事例もいくつかあげられています。
アプリから商品を着こなした写真をInstagramに投稿できるようにしたジーユーの取り組みや、LINEからピザを注文できるようにしたドミノ・ピザのサービスなどのほか、報告書以外にも、『無印良品』を運営する良品計画のSNSを活用したキャンペーンは世間の注目を集めました。
無印良品がTwitterの公式アカウントを開設したのは2009年10月のことですが、2010年の2月にフォロワー数が1万5千人に達したのをきっかけに、同社は「タイムセールなう」のつぶやきとともに、Twitterに貼られたリンクからしか入ることのできないタイムセールサイトをオープン。このSNS上でのリアルタイムなセールはネットストアのアウトレットに瞬時に50万~60万円の売上げを立てたといいます。
ほかにも良品計画では、無印良品・有楽町店の開店10周年を記念して、Twitter とFacebookで「無印良品といえば○○」とつぶやいた人にクーポンを発行するキャンペーンなども展開していますが、こうしたSNSを活用した一連のキャンペーンは、同社の売上げに貢献しただけでなく、ユーザーの関心を集め、ネット上で話題が拡散される大きな役割を果たしたといえます。
SNSによるサービスの定番化も
一方、ドミノ・ピザがおこなった「LINEから注文」というサービスは、2018年現在においてはすでに珍しいものではなくなっています。
現在、LINE株式会社がおこなっている『LINEデリマ』というサービスでは、ドミノ・ピザや大阪王将など全国1万4千店舗のフードメニューをLINEアプリ上から検索して注文することができるほか、生協がおこなっている宅配サービスであるコープデリも、食品など6千品目から商品を選んでLINEで注文できるサービスを2018年5月からスタートしています。
こうしたサービスの定番化は、SNSの利用者層が若年層だけでなく、ファミリー層やシニア層にまで拡大したことのあらわれといえるかもしれません。
そのため現在は、企業がSNSを活用する場合にも、ただ公式アカウントを開設するだけでなく、その企業のサービスを利用したり商品を購入したりする層にあわせたSNSを選ぶことや、どのようにSNSを活用していくかという戦略が重要視される状況といえるでしょう。
企業がSNSを使うメリットとデメリット
すでに述べたように、企業がSNSを活用する大きなメリットは、消費者のニーズや顧客の動向をリアルタイムで具体的に把握し、サービスや商品に反映させることができる点にあります。
こうした消費者のニーズをダイレクトに反映させる手法で注目を集めた成功事例としては、ハーゲンダッツが2013年におこなった『あのフレーバーをもう一度 “フレーバー復活選挙”』があげられます。これはハーゲンダッツが過去に発売したミニカップ24種のなかから、ユーザーがTwitter、Facebook、mixiのアカウント1つにつき1日1回、自分が復活してほしいフレーバーを選んで投票できるというもの。1位に投票した人には、抽選で1000名に復活フレーバーのミニカップ12個入りのセットが当たるという特典がついていたこともあり、同キャンペーンは2ヶ月の開催期間のあいだに26万を超える票を集めたといいます。
しかしこうした成功例がある一方で、SNSを使用したPRには、ユーザーの反発を招き、炎上やキャンペーンの中止などにつながってしまうリスクも潜んでいます。
特に大企業などの場合、SNSには公式サイトでは使用できないくだけた表現やゆるい表現を使って、ユーザーに親近感を持ってもらうことができるというメリットがありますが、こうした表現は一歩間違うと企業のイメージダウンにつながるおそれもあります。さらに、企業に対するネガティブな意見やイメージが、またたく間に拡散されてしまうのはSNSの怖いところでもあります。
こうした点を考えると、企業がSNSを活用する際には、まずは徹底した「消費者目線」による広報やキャンペーンの内容に対するチェックが欠かせないポイントといえそうです。
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