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新型コロナウイルスの感染拡大が、企業業績に大きな影響を与えています。しかし、企業倒産件数は2年連続で前年を下回り、2021年は6,030件だったことを東京商工リサーチが発表しました。
東京商工リサーチの発表によると、2021年(1月~12月)の負債総額1,000万円以上の全国企業倒産件数は、前年比22.4%減の6,030件でした。1964年の4,212件に次ぐ、57年ぶりの低水準となりました。
負債総額も4年連続で前年を下回り、1兆1,507億300万円です。10億円以上の負債を抱えての大型倒産は171件、負債5億円以上10億円未満が189件、負債1億円以上5億円未満も1,167件と、負債額も1972年以降50年間で3番目の低水準にとどまっています。
倒産件数も負債規模も低水準となったのは、コロナ関連の支援策の効果とされています。しかし、小規模事業者の倒産件数は増加傾向にあり、新型コロナ関連倒産は前年の799件から倍増となる1,668件で、集計を開始した2020年2月からの累計は2,467件に達しているのです。
倒産件数や負債規模の数字だけを見ていくと、宿泊業や旅行関連業、飲食業など、コロナが与えた経済的な打撃は、限定的な業界だけのようなイメージもあります。しかし、コロナ関連支援策の借り入れの返済が始まると、より顕著になるという指摘もあります。
コロナ関連支援策が、延命治療のような効果を発揮し、なんとか倒産を食い止めている状況という見方もできます。
そして、増加傾向にあるのは、コロナ関連倒産だけではありません。帝国データバンクの調査によると、後継者の不在や事業承継がうまくいかずに倒産に至る、いわゆる「後継者難倒産」による2021年の発生件数は466件となり、調査開始の2013年以降、過去最多を更新しています。
この、後継者難倒産が深刻なのは、いわゆる「2025年問題」を目前に控えているからです。業種別に後継者難倒産率を見ていくと、製造業やサービス業の倒産率の割合が高くなっていることを注視しておく必要がありそうです。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本はかつてない超高齢社会となるのが「2025年問題」です。雇用や医療、福祉だけでなく、事業承継という面にもさまざまな影響を及ぼすとされています。
経済産業省と中小企業庁は「社長の高齢化や後継者難の現状を放置した場合には2025年までに雇用やGDPなど多大な経済損失が発生する」という試算を2017年に発表しています。いま、後継者難倒産が過去最多を更新したことは、その前兆といえるのかもしれません。
後継者難対策として期待されているのがM&Aで、国内企業のM&A実施件数は右肩上がりの増加傾向を示しています。
経営者の高齢化が進み、しかも後継者が見当たらないとなれば、M&Aによる事業承継も一つの選択肢です。ですが、スムーズに事業が引き継がれるためには、十分な準備期間も必要となります。
社員の処遇や取引先との信頼関係、さらには会社所有の財産や許認可などもあり、拙速にM&Aを進めるわけにもいきません。
後継者難、コロナによる売上激減など、倒産に至る原因はさまざまあります。ここ数年で、企業を取り巻く環境が、劇的に変化することになるのではないでしょうか。
東京商工リサーチの発表によると、「企業の倒産件数が57年ぶりの低水準、負債額も1972年以降50年間で3番目の低水準」ということです。しかし、注意すべきは、数字だけでは推し量れない厳しい経済環境の変化に、まもなく直面するということです。
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