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開示業務はどんな業務?その経験は経理としての強みになるのか

公開日2018/10/15 更新日2023/01/12
開示業務とは

投資家へ向けた開示書類を作成する開示業務は、上場企業であれば経理部門の大きな仕事です。開示業務とはどんな業務なのでしょうか?また、その経験は経理としての強みになるのでしょうか?
この記事では、開示業務の概要と流れ、開示業務の経験があると転職に有利かどうかを紹介します。

開示業務とは?

開示業務とは、上場企業などが投資家へ向けて提出する開示書類を作成することです。開示書類にはいくつかの種類があり、営業および経理の状況、その他事業に関する重要事項を報告することが目的です。会社についての全般的な内容が網羅されますので、開示書類を作成するためには、経理と他の部署との連携が欠かせません。

開示書類の種類

主な開示書類には次のものがあります。

有価証券報告書
有価証券報告書は、金融商品取引法によって規定されています。上場企業および一定規模の株式会社に対し、事業年度終了後3ヶ月以内の提出が義務付けられています。
四半期報告書
四半期報告書は、やはり金融商品取引法で規定されます。有価証券報告書の提出義務がある企業に対し、2008年4月1日より提出が義務付けられました。
決算短信
決算短信は、証券取引所の適時開示ルールによって規定されます。四半期ごとの決算から45日以内に上場企業が提出します。

開示書類の内容

以上のように開示書類には多くの種類がありますが、ここでは有価証券報告書を例にとってその内容を見てみましょう。

  1. 企業の概況・・・主な経営指標等の推移、沿革、事業の内容、関係会社の状況、従業員の状況
  2. 事業の状況・・・業績等の概要、生産・受注および販売の状況、経営方針・経営環境および対処すべき課題等、事業等のリスク、経営上重要な契約等、研究開発活動、財政状態・経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析
  3. 設備の状況・・・設備投資等の概要、主要な設備の状況、設備の新設・除去等の計画
  4. 提出会社の状況・・・株式等の状況、自己株式の取得等の状況、配当政策、株価の推移、役員の状況、コーポレート・ガバナンスの状況
  5. 経理の状況・・・連結財務諸表等、財務諸表等
  6. 提出会社の株式事務の概要
  7. 提出会社の参考情報・・・提出会社の親会社等の情報、その他の参考情報

開示書類の使われ方

有価証券報告書を始めとする開示書類は会社の経営・財務状況を詳細かつ網羅的に記載したものであるために、さまざまな使われ方をします。そのうちで代表的なものは次の通りです。

投資家が株式購入の参考にする
開示書類はもともと、投資家に対して投資情報を提供することを目的としたものですので、これは本来の使われ方だといえるでしょう。
同業他社による経営分析
上場企業の企画部門は多くの場合、同業他社の開示書類を読み込んで経営分析をしています。
就職・転職活動
開示書類には、会社のさまざまな状況が網羅的に記載されていますので、就職・転職活動に役立てる人もいます。
営業活動
開示書類を読み込むことでその会社の弱点も見えてきますので、逆にいえば、その会社とのビジネスチャンスも見えてくることになります。

開示業務には経理と他の部署との連携が欠かせない

開示書類を作成する開示業務は経理部門で行いますが、上で見た通り、開示書類には会社全体の事業の状況が記載されます。したがって、開示書類を作成するに当たっては経理と他の部署、経営者、監査役、顧問弁護士、監査法人などとの連携が欠かせません。年度および四半期ごとの定められた期日までに開示書類を作成するためには、必要な基礎データや各種情報の収集体制が整備されていなければならないでしょう。

開示業務の流れ

開示業務は、

  1. 事前準備
  2. 決算
  3. 開示書類の作成
  4. 経営陣へ報告
  5. 開示

の一連の流れで進みます。流れのそれぞれを詳しく見ていきましょう。

事前準備

有価証券報告書を初めとする開示書類の内容は、ルール改正が毎年細かく行われます。したがって、まずこのルール改正をきちんと把握しなくてはなりません。また、他社がどのように開示を行っているのかも情報収集も必要でしょう。

開示書類は決算後迅速に作成しなくてはなりません。そのために、スケジュールを作成・確認すること、他の部署と情報交換を行い、協力体制を構築することもこの時期に行います。

決算

決算が始まったら、

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • キャッシュ・フロー計算書
  • 継続企業の前提に関する注記

などの財務諸表の作成に取り組みます。決算短信の場合には45日以内に提出しなければなりませんので、スケジュールは非常にタイトです。さらに、決算は、決算短信の場合でも連結決算が求められます。したがって、上場企業の傘下にある各社の経理チームは、決算翌月の中旬頃までには決算の作業を終わらせなければならないでしょう。

開示書類の作成

財務諸表の作成が終了したら、開示書類を作成します。開示書類には、財務諸表などの数値データのほかに、経営状態や財務状態に関する分析などの文章を掲載しなくてはなりません。文章については経理だけで作成することはできませんので、事前に依頼しておいた各部署から情報を収集します。開示書類の作成は、決算短信の場合なら数日で終わらせなくてはならないでしょう。

経営陣へ報告

開示書類を経理で作成したら、部長や経営陣に提出・報告します。開示書類は、証券取引所や金融庁、報道各社、株主、投資家、社外の諸関係者などさまざまな人の目に止まります。誤字・脱字があってはならないのはもちろんのこと、文章の細かい表現にも多くのチェックが入ることになるでしょう。

また、決算短信の場合にはあくまでも「速報」ですので、公認会計士による監査は義務付けられていません。しかし、その後に提出する有価証券報告書では監査が義務付けられており、決算短信と有価証券報告書で内容が整合しないと問題が生じます。そのために、決算短信であっても重要事項については、多くの企業がこの期間に監査を受け、問題がないことを確認します。

経営陣や監査法人から入ったチェックをすべて修正し、最終確認を終えれば開示書類は完成です。

開示

完成した開示書類は、決算短信の場合なら東京証券取引所のシステムである「TDNET」、有価証券報告書の場合なら金融庁のシステムである「EDNET」を使用して提出します。

開示業務の経験があると転職に有利?

以上までで、開示業務の概要および流れについて見てきました。それでは、この開示業務の経験は経理として強みになり、転職する際に有利に働くのでしょうか。

2018年現在、上場会社数は増加の傾向をたどっています。ベンチャーは堅調で新規上場は増えていますし、すでに上場している企業でも、買収した子会社を上場させる例もあります。それに伴い、ベンチャーおよび既上場企業の双方から、経理財務の求人は増加傾向にあるといわれています。

特に、即戦力で、開示業務や連結決算の経験を持つ人材のニーズは強く、転職紹介会社から100件程度の案件を示される人もいるといわれます。開示業務の経験は、転職には非常に有利だということができるでしょう。

まとめ

投資家などへ向けた開示書類を作成する開示業務は、年間を通して複数の書類を継続的に作成していかなくてはなりません。特に、決算短信は決算後45日以内に開示しなくてはなりませんので、作成スケジュールはタイトになります。しかし、開示業務の経験を積むことは、上場企業が増加傾向にあり、開示業務の経験を持つ人材のニーズが高まっている2018年現在、転職に非常に有利に働くといえるでしょう。

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