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経済産業省が「DXレポート」で、DX推進の重要性を示したのは2018年のことです。
現状では、DX推進でリードする米国に比べると、日本は大きく後れをとっています。しかしIPA調査で「DX先行企業」の割合が2020年から倍増していることがわかりました。
デジタル技術やデータを活用した新たなビジネスモデルの登場によって、産業界ではゲームチェンジが起きようとしています。その流れに乗り遅れないように、日本の企業もDX推進に積極的に取り組んでいますが、決して順調に進んでいるとは言えません。
IPA(情報処理推進機構)の「企業におけるデジタル戦略・技術・人材に関する調査」(2021年実施)によると、DXに取り組む企業の割合は、米国の約79%に対して日本は約56%です。また、DXに取り組んでいない割合は米国が14.1%ですが、日本は33.9%です。
DX白書2021日米比較調査にみるDXの戦略、人材、技術(IPA)
ビジネスのグローバル化が進むなかで、企業の競争力を高めていくためにも、スピード感をもってDXを進めていくことが重要です。
経済産業省は、企業がDXに取り組みやすい状況を整えるため、「DX推進指標」を策定してDX推進を後押していますが、その推進状況をIPAの「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2021年版)」が公表しています。
調査方法:経済産業省が作成した「DX推進指標」を用いて各企業が自己診断した結果を収集
調査対象: 自己診断結果を提出した企業486社
「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート」は、経済産業省が策定した35項目の指標について、DXに取り組む企業が推進状況を自己採点した結果を分析したものです。
分析対象の診断件数は2019年が248件でしたが、2020年には307件、そして2021年は486件と、年々増加する傾向にあることがわかります。どのようなDX推進に取り組んでいるのかを、注意深くみていくことが重要です。
DX指標では、DX成熟度を6段階に分類していますが、レベル0の「未実施」が19.1%、レベル1の「一部での散発的な実施」は35.4%、レベル2の「一部での戦略的な実施」は27.4%と、およそ半数の企業がDXに戦略的に取り組めていない状況です。
一方、明るい材料と言えそうなのが、レベル3の「全社戦略に基づく部門横断的推進」、レベル4の「全社戦略に基づく持続的実施」、レベル5の「グローバル市場におけるデジタル企業」を合計した2021年の「DX先行企業」の割合は17.7%となっていることです。
17.7%という数字だけをみると、まだまだDXが進んでいない印象を受けますが、2020年の8.5%から約2倍、2019年の4.4%からはなんと約4倍も増加していることになり、ここにきて確実に日本でもDXへの取り組みが進んでいることがうかがえます。
ただし、成熟度の高い定性指標の項目に「プライバシー、データセキュリティ」、「危機感とビジョン実現の必要性の共有」、「事業への落とし込み」などが挙げられていますが、成熟度が低い項目には「人材育成・確保」や「技術を支える人材」「事業部門における人材」など、人材不足が日本企業のDX推進の妨げになっていることも浮き彫りとなりました。
この人材不足が、日本企業のDXがなかなか進まない要因の一つと言えるでしょう。たとえば、DX推進を担う人材の“量”が不足しているとの回答結果は、米国企業の43.1%に対して日本企業は76.0%です。
また、人材の“質”についての不足は、米国企業の49.3%に対して、日本企業は77.9%と、量においても質においても、日本では圧倒的に不足しているというのが実態のようです。
DX推進と言っても、取り組むべき内容は企業ごとに違うものです。それぞれの企業に最適なDX推進に取り組むためにも、「DX推進指標とそのガイダンス」に基づき、まずは自己診断を実施してみてはいかがでしょうか。
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