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広告であることを明示せず、消費者の口コミであるかのように装って商品を宣伝する“ステマ”について、景品表示法の「不当な表示」に該当する可能性があることから、消費者庁は法規制の運用基準を策定し、来年中にも施行となる見通しです。
ステマは(ステルスマーケティング=stealth marketing)の略語で、消費者に宣伝広告であることを隠してセールスプロモーション活動を行うことです。
TwitterやInstagram、Facebookなどソーシャルメディアが普及したことで、一般消費者という立場から、ブログや情報サイトに特定商品やサービスに対して、高評価の体験談などを投稿することも可能になりました。
消費者が実感したことを投稿する分には問題はありませんが、報酬を支払って高評価のコメントの投稿を依頼する業者もいます。投稿者が著名人であればあるほど、その高評価のコメントが消費行動にも影響することになります。
SNSを利用して、人気のある芸能人やインフルエンサーなどに報酬を支払い、あえて広告であることを隠して商品やサービスを意図的にPRすることは、消費者を騙す行為でもあります。
ところが、PRする内容に不当な表示がある場合は規制の対象となりますが、現行法ではステマそのものを直接取り締まる規定はありません。
消費者庁がインフルエンサー300人に実施した調査では、約4割が「広告主からステマを依頼された経験がある」と回答しているなど、ステマはいわば野放し状態となっていることも浮き彫りとなっています。
消費者庁の有識者検討会では、「こうした行為は、景品表示法の不当表示に含めるべき」とする報告書を消費者庁に提出し、それを受けて法規制の見直しを進めていくということです。
ところで、TwitterやInstagram、Facebookなどソーシャルメディアを利用するステマは、いかにもデジタル時代ならではの広告手法に見えますが、実は古典的な“サクラ”と呼ばれるアナログ的な手法でもあります。
“サクラ”は、客のフリをして商品を褒めたり、列に並んで人気だと消費者を勘違いさせたりすることです。売る側と予め示し合わせての行為で、“偽客”を意味する用語です。
消費者庁がステマの法規制に乗り出す背景としては、SNSを活用した広告需要が著しく伸びていることもあります。
ソーシャルメディアマーケティング事業を展開する「サイバー・バズ」と、調査会社「デジタルインファクト」の市場動向調査*によると、2022年の市場規模は推計9,000億円超との結果です。2023年には1兆円を突破するとの予測もあり、ステマを野放しにしておくことができないほど拡大しています。
*調査方法:広告会社、ソーシャルメディアマーケティング会社、インフルエンサーマーケティング会社、その他各種ソリューション事業者へのヒアリング、調査主体ならびに調査機関が保有するデータ、関連企業・機関データ、公開情報の収集
調査対象:ソーシャルメディアマーケティング市場
調査期間:2022年7月~10月
消費者庁がインフルエンサーに実施した調査では、「広告主からステマを依頼された経験がある」インフルエンサーのうちの6割強が「ステマへの理解が低かった」ために、引き受けてしまったということも明らかになりました。
いずれにしても、報酬をもらっての「この商品は素晴らしい」「この値段でこのクォリティは買い得だ」などの投稿や評価が、商品やサービスを選ぶ際の基準になるような広告手法がまかり通るようでは、健全とはいえないでしょう。規制の対象となるのは、当然の流れなのかもしれません。
■参考サイト
産経新聞|ステマは「不当な表示」で法規制 背景にSNSの広告需要増
通販通信|ステマ告示・新規制も、今年の通販業界はどうなる?…行政動向を考察
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