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職場でのハラスメントの中で、「セクハラ」や「パワハラ」は比較的よく知られていますが、「ジェンダーハラスメント」に関しては意外に認知されていません。そこには、日本の伝統的なビジネス風土が関わっているのかもしれません。
しかし、実際の職場でジェンダーハラスメントを意識している人はかなり多く、被害に悩み転職を考える人もいます。こうした実態について紹介しながら、ジェンダーハラスメントをなくすための対策についても解説します。
性別を理由にした、相手を傷つけるような言動がジェンダーハラスメントです。主に以下のような言動が当てはまります。
・「女性らしく」「男性らしく」などと発言する
・性別的な役割に基づく発言をする
・女性だからと来客接待や雑用を割り当てる
・男性だからと残業などを命じる
・キャリア面で不当な扱いを受ける
これらは全体の一部ですが、総括すると職場でのジェンダーハラスメントは、性別による役割分業意識に基づく事例が多いようです。 また中にはセクシャルハラスメントにまで発展し、転職や退職に至るなど、貴重な人材の流出につながるケースもあります。
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ここで、ある転職関連企業が行った調査*をもとに、ジェンダーハラスメントの実態について見てみましょう。対象になったのは、全国の20~40代の男女およそ450名です。調査の中から、特に注目すべき四つの回答結果を紹介します。
現在もしくは直近の職場が男女平等であるかについては、「まったく思わない」という回答が16.6%で、「あまり思わない」が31.2%でした。実に半数近い人が、男女平等ではないと感じているようです。
実際にジェンダーハラスメントの被害を受けた経験については、27.6%の人が「受けたことがある」と回答しています。
ジェンダーハラスメントを受けたと答えた人に対して、いわゆる加害者は誰なのかを聞いたところ、84.6%が「上司」と回答しています。
同じくジェンダーハラスメントを受けたと答えた人に、被害を受けた後の対応を聞いたところ、「誰にも相談せずに我慢した」人が48.8%で、「転職・退職を考えた(実行した)」人も40.7%に上っています。
回答者による具体的な意見では、女性に与えられる仕事が制限されており、キャリアアップが望めないことや、女性らしさや男性らしさを強要されることなどが挙げられています。 最終的には我慢するか、もしくは離職を考えるなど、職場の改善には結びつかない結果になっていることも大きな問題でしょう。
2019年6月21日、国際労働機関(ILO)の総会において、「仕事の世界における暴力およびハラスメントの撤廃に関する条約」が採択されました。その後2021年6月25日に同条約が発効し、職場でのハラスメント根絶が世界的な目標になりました。
ILOの加盟国の中では、スウェーデン、フランス、イギリスなど、すでにハラスメント規制の法律があるヨーロッパ諸国が条約を支持したのに対して、アメリカは慎重な姿勢を崩していません。そして何と日本は、この条約に批准していないのです。
しかしこの条約は、全参加団体のうち賛成が439で反対が7という、圧倒的多数により採択されました。さらに加盟国には、条約に基づいて暴力とハラスメントを法律で定義し、それらを禁止することが求められます。世界でのハラスメント根絶の取り組みは、着実に前進しているといえるでしょう。
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ジェンダーハラスメントに関しては、日本労働組合総連合会(連合)も具体的な対策を提案しています。その中から、職場ですぐに実践できる主な対策を紹介しましょう。
職場でのハラスメントを明確に規定して、実際に行為が行われた場合にはどのように対処すべきか、行為者にはどのような処分を行うべきかを明確にする必要があります。 そのためには就業規則の一つとして、ハラスメントの禁止規定を設けるとよいでしょう。
ハラスメントを未然に防ぐためには、普段から研修を実施することが有効です。社内で行う研修にハラスメント研修をとり入れ、社員の理解を深めておくことがハラスメント防止につながります。
ハラスメントに対する相談窓口を設置することは、法律により義務づけられています。ジェンダーハラスメントに悩む社員が、すぐに相談できる仕組みづくりが重要です。
ハラスメントを経験した人に対しては、定期的なストレスチェックと、適切なメンタルヘルスケアを行う必要があります。健康管理の一環であるメンタルヘルスケアを、ハラスメント対策にも利用するとよいでしょう。
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日本では他国に比べて性別による役割分担意識が強く、職場でもいまだに男らしさや女らしさという言葉を耳にします。実際にアンケート調査をしてみても、およそ半数の人が、職場での男女平等を実感できないと答えています。
こうした現状を改善するためには、事業主が主体となって、社内でジェンダーハラスメントの啓蒙活動を行うほか、厳正な禁止規定を設ける必要があるでしょう。企業にとって何よりも貴重な人材を確保する上でも、誰もが等しく扱われる職場づくりは、経営戦略の一環として考えるべきことではないでしょうか。
*■調査概要
調査内容 :職場のジェンダーハラスメントの実態について
調査対象 :当社を利用している全国のビジネスパーソン(20代~40代・男女)
有効回答 :446人
調査期間 :2023年2月14日~2月21日
調査方法 :インターネット調査
※データは小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。
■参考サイト
日本の人事部|職場のジェンダーハラスメントの実態について
日本労働組合総連合会|世界標準のハラスメント対策ガイドブック
ILO|仕事の世界における暴力とハラスメント
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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