公開日 /-create_datetime-/

新型コロナウイルス感染拡大により、従来の「週5日、朝から夜まで8時間以上出勤する」が常識的な価値観ではなくなりました。リモートワーク、ハイブリッドワークが普及するなど、それまでとは異なる働き方への考え方、いわゆる「ワークスタイルイノベーション」が生じているといえます。
今回はこの日本の経済界で生じているワークスタイルイノベーションについて掘り下げて考えてみましょう。
ワークスタイルイノベーションとは、働き方や仕事の方法を根本的に変革することです。日本語では「働き方改革」とも呼ばれ、従業員一人ひとりがライフスタイルに合わせた働き方ができ、かつ能力を存分に発揮できる環境を整備することで、企業成長の実現を目指します。
具体的には、労働時間の短縮化、シニア世代・女性の就労促進、子育てや介護との両立可能な職場づくりなどに取り組むことです。政府はここ数年、働き方改革の施策を全面的に推し進めており、2018年にはいわゆる「働き方改革関連法」が公布され、その後順次施行されつつあります。
また日本企業にワークスタイルイノベーションの考え方をもたらしたのが、新型コロナウイルスの感染拡大です。コロナ禍により企業が望む・望まないに関わらず、従来の「定時+残業」という常識化されていた働き方に変革が求められました。コロナ禍に落ち着きが見られた2022年以降も、各企業においてリモートワークやハイブリッドワークが引き続き導入されるケースが多く見られます
■関連ニュース
海外とは異なる日本のビジネス風土、国内でもハイブリッドワークは広がるのか?
現在、ビジネスの場で取り組まれているワークスタイルイノベーションのあり方としては、大きくわけて「残業規制」「働く場所のフリー化」「働く時間に柔軟性を持たせること」の3点が挙げられます。
働き方改革関連法の施行により残業時間の上限は月45時間、年間で360時間です。臨時的・特別な事情がない限り、この上限を超えると企業側に罰則が科せられます。臨時的・特別な事情があった場合でも、残業時間は年間720時間以内・月100時間未満、複数月の平均で80時間以内の上限を超えることは許されません。また、残業時間が月45時間を超える月が認められるのは半年までです。
さらに2023年4月からは、中小企業に対しても「月60時間超の時間外労働への割増賃金率は5割」が適用されます(引き上げ分の割増賃金の支払いの代わりに有給休暇の付与も可能)。こうした法規制の影響もあり、企業は規模を問わず。法規制にのっとった残業規制への配慮が必要です。
■関連ニュース
2023年4月施行の法改正「時間外労働に対する割増賃金率引き上げ」が中小企業も対象に 企業が行うべき対応策などを解説!
コロナ禍以降の働き方として、クラウドシステムなどを積極的に活用し、テレワークや在宅勤務を認める、フリーアドレスにて就労できる体制づくりが多くの企業で取り入れられています。
就労時間に関するワークスタイルイノベーションとして注目されているのが、「フレックスタイム制」です。これは就労時間を、出社しなければならない「コアタイム」と、いつ出社しても構わない「フレキシブルタイム」とに分け、フレキシブルタイムの時間は従業員が自由に決められるという制度です。
■関連ニュース
裁量労働制、フレックス制の違いは何ですか
ワークスタイルイノベーションの実現により、以下のようなメリットが企業側に発生します。
テレワークやコワーキングスペースの活用により、従業員が企業まで出勤する時間が減り、その分だけ通勤費を削減できます。またオフィスの利用量が減れば光熱費を削減でき、オフィスの規模を小さくして賃料を減らすことも可能です。
ワークスタイルイノベーションに積極的に取り組んでいる企業は働きやすい企業として注目され、人材が集まりやすく、かつ定着もしやすいです。
大地震などの影響で企業の社屋が使用不可となった場合でも、リモートワークが一般化している企業であれば従業員は引き続き就労でき、事業継続が可能です。
ワークスタイルイノベーションは、政府が推し進める働き方改革、さらにコロナ禍による働き方の変化などの影響が重なり、日本企業の中で普及しつつあります。ただ、余裕を持って働き方の改革ができるのは経営資源に余裕のある大企業であり、人手不足に苦しむ企業が多い中小企業では、その実現が難しい面もあるようです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
ラフールサーベイ導入事例集
消費者契約法で無効にならないキャンセルポリシーの作成方法
シニア雇用時代の健康管理の備えとは? 健康管理見直しどきナビ
業務委託契約書の書き方のポイントは?知っておくべき基礎知識
【郵便料金値上げ対策にも!】失敗しない!請求書電子化の3つのポイント
給与明細は紙?従業員にも管理者にもやさしい電子保管法
【総務・経理必見】財務分析とは?基本指標と活用法をわかりやすく解説
領収書をスマホで撮影した際の注意点とは?経理担当が知っておくべき法令対応をわかりやすく解説
最低賃金の改定、企業の約6割が「給与を変更」 2020年代の1,500円は「対応不可能」が半数
第2回(最終回) オペレーティング・リース取引に係る税効果会計への影響
簿記の基礎から実務まで!社宅管理の仕訳処理 まるわかりガイド
Web請求書の導入にあたり費用対効果を高める方法、お伝えします!
法人税対策・実物資産投資の新たな選択肢 最新情報掲載 『日本型オペレーティングリースガイドブック』
オフィス移転で変わる働き方
株式会社I-ne導入事例~月間の受注データ件数は20万件以上!『 Victory-ONE【決済管理】』の導入で 業務効率化と属人化の解消を実現~
消耗品費とは?勘定科目の使い分けから仕訳例まで徹底解説
紙文化から抜け出せない経理へ──今すぐ始める「電子化」のススメ【セッション紹介】
請求書に収入印紙は必要?不要な場合と必要になる条件をわかりやすく解説
新リース会計基準による税効果会計への影響 第1回 新リース会計基準の税務への影響
旬刊『経理情報』2025年10月20日号(通巻No.1757)情報ダイジェスト
公開日 /-create_datetime-/