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機関投資家を対象にした調査、「機関投資家の人的資本開示に関する意識調査結果*」の結果を株式会社リンクアンドモチベーションが発表しました。この調査によると、2023年3月期決算より人的資本の開示が義務化されたことに対し、過半数の機関投資家がポジティブな反応を示しています。
人的資本の情報開示が義務化されたいま、機関投資家は企業にどんな項目の開示を求めているのでしょうか?
*調査方法:インターネットによるアンケート
調査対象:調査会社パネルの「機関投資家」
調査期間:2023年4月19日~2023年4月21日
有価証券報告書での人的資本開示の義務化について、54%の機関投資家が「ポジティブに感じている」、44%が「どちらとも言えない」と回答しています。「ネガティブに感じている」と回答したのは、わずか2%でした。
機関投資家が企業に求める人的資本開示項目は「ダイバーシティ」(50%)が最多で、次いで「生産性」(43%)、「スキルと能力」(41%)となっています。また、人的資本情報を収集する媒体としては「IR説明会資料」(55%)が最多で、「統合報告書」(45%)、「有価証券報告書」(44%)の順となりました。
人的資本の情報開示を進める際、まずは開示する項目を選択する必要があります。
内閣官房の「人的資本可視化指針」によれば、開示項目は7分野19項目に分別できるとされています。
・人材育成:リーダーシップ、育成、スキル・経験
・多様性:ダイバーシティ、非差別、育児休業
・健康・安全:精神的健康、身体的健康、安全
・労働慣行:労働慣行、児童労働・強制労働、賃金の公正性、福利厚生、組合との関係
・エンゲージメント:従業員満足度
・流動性:採用、維持、サクセッション
・コンプライアンス:法令遵守
上記のうち一部は開示が義務付けられていますが、それ以外の項目の開示については、決定が企業に委ねられています。上述のとおり、機関投資家は「IR説明会資料」で情報収集を行っています。自社がなぜその項目を開示するのかを明確にしたストーリー性のある資料が求められます。開示する項目を検討する際は、機関投資家が納得できる項目か意識するとよいでしょう。
人的資本の情報開示を進める際に重要なのは、「透明性」「一貫性」「関連性」「継続性」の4つのポイントを意識することです。
透明性:
企業の人材戦略やその成果を外部のステークホルダーが理解しやすくなるように、企業の人材管理や人材開発の取り組みを明確にし、結果を定量的・定性的に開示する
一貫性:
同じ項目について時間を経ても同じ基準で計測・報告し、企業の人材戦略の変化や成果を長期的に分析しやすくする
関連性:
企業のビジネスモデルや戦略と関連性がある情報を開示する
継続性:
一度きりではなく、継続的に人的資本の情報開示を行う
また企業が人的資本の情報開示を進める際に、ストーリー性をもたせるのも重要なポイントです。今回紹介した調査結果からもわかるように、機関投資家は人的資本を「未来の企業価値を予測するための要素」として考えており、ストーリー性を求めているのです。
ストーリー性をもたせるための具体的な取り組みとして、ビジョンとの連携が挙げられます。例えば企業がテクノロジーの革新を重視している場合、「どのようなスキルや能力を従業員に求めており、どのように育成しているのか」を開示することで、企業のビジョンと人的資本の関連性を示すことができます。
機関投資家は人的資本の開示の動向をポジティブに捉えており、非財務情報の開示状況はますます進展していくと考えられます。
機関投資家が注目している項目を参考に、自社に最適な人的資本の開示項目を検討しましょう。
参考:
PR TIMES|機関投資家の人的資本開示に関する意識調査結果を公開
内閣官房 非財務情報可視化研究会|人的資本可視化指針
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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