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「昔に比べてボーナスの手取りが少ない気がする」という方。会社からの支給額が減ったのではないかもしれません。
今回はボーナスにかかる社会保険料について紹介します。
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ボーナスから社会保険料が引かれはじめたのは、いつからなのでしょうか。
実は、1994年度からすでに、「特別保険料」という名目でボーナスから社会保険料が引かれはじめていました。ただし、特別保険料は社会保険料の中でも厚生年金から1%徴収するもので、労使折半のため労働者は0.5%のみ徴収されていたのです。徴収された特別保険料は、月給から徴収される厚生年金料とは違い、負担者の年金には反映されず、当時給付を受けていた高齢者へ支払われる年金に充てられていました。
当時、「自分が支払った保険料なのに、自身の年金給付に反映されないのはおかしい」との声もあり、2003年度からこの仕組みが改定されました。それが、「総報酬制」への移行です。
総報酬制とは、特別保険料を廃止し、賞与報酬にも社会保険料を徴収するものです。総報酬制により、厚生年金の保険料が引き下げられ、賞与に対して払った分の保険料についても負担者の年金に反映されるようになりました。
このとき、「急にボーナスの支給額が減った」と思われた方は、総報酬制の導入によりボーナスから徴収される社会保険料の金額が跳ね上がったためかもしれません。
ボーナスから社会保険料が引かれはじめた原因は、賞与額を意図的に操作することによる「保険料逃れ」を防ぐためです。
賞与から社会保険料を徴収する前は、企業は同じ金額の給与を従業員に払うとしても、月給の金額を減らし、その分賞与金額を増やすと、社会保険料の負担が減らせることができました。そのため、社会保険料を意図的に減らしたい企業が、従業員の合意を基に月給と賞与額の割合を意図的に操作することが横行していました。
このような、給与の仕組みの違いによる会社間の不公平感をなくすために、ボーナスから社会保険料が引かれはじめたのです。また、総報酬制の導入により、厚生年金の保険料が17.35%から13.58%に改定され、月給にかかる保険料の負担が減ることにもつながりました。
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ボーナスにかかる社会保険料には、健康保険、厚生年金、労働保険(労災保険、雇用保険)、介護保険があります。
社会保険料徴収の対象となる賞与とは、ボーナス、手当、一時金など、どのような名称であっても、労働者の労働対価として支給されるもののうち、年3回以下のものです。年4回以上支給されるものは、賞与とみなされず月給として社会保険料の徴収を受けます。
ボーナスにかかる社会保険料は標準賞与額から算定されます。標準賞与額とは実際の賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額です。
保険料は、標準賞与額に保険料率を掛けて計算しますが、健康保険と厚生年金には上限があります。健康保険は年度の累計額573万円、厚生年金は1ヵ月あたり150万円までです。
ボーナス保険料にかかる保険料率は月給にかかる負担率と同じです。
「健康保険料」と「介護保険料」は、一般的に都道府県ごと地域で定められた健康保険の料額表を基にして保険料が決まります。「厚生年金保険料」は、全国一律に定められた保険料額表に基づいて保険料が決められます。
事業の種類によって保険料率が定められているのは、「労災保険料」です。労災保険料は全額企業負担のため、本人が受け取る賞与の社会保険料計算には出てきません。
「雇用保険料」は、事業の種類によって被保険者の負担と企業負担の率が定められており、半分以上を企業が負担します。
支払った賞与に対して、事業主は社会保険料の内、本人負担分の健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料を源泉徴収します。保険料は通常の給与に対する保険料のように、標準報酬といった扱いにはなりません。標準賞与額に対し、保険料率を掛けて計算します。
労災保険料、雇用保険料は通常の給与と賞与額を合わせたものを、年度末に精算することが必要です。納付方法も、年度末に会社負担分と合わせて事業主が納付します。
健康保険料・厚生年金保険料も納付方法は、通常の給与に対する保険料と同じく、翌月末に納付してください。
賞与を支給した事業主は、賞与支払額等について「被保険者賞与支払届」等を日本年金機構へ提出する必要があります。賞与支払日から5日以内に事業所所在地を管轄する事務センターや年金事務所に提出してください。提出方法は電子申請、電子媒体(CDまたはDVD)、郵送、窓口持参などがあります。
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2003年度から、本格的にボーナスも月給と同じように、社会保険料を負担しなければならなくなりました。
ボーナスから社会保険料が引かれるのは、手取り額が減るので、あまり前向きにはとらえられないかもしれません。しかし、ボーナスから引かれていることで、月給の厚生年金負担率が軽減されたり、将来的に受け取れる年金の金額が増えたりとメリットもあるのです。「大幅なボーナスの減少」とは受け止めずに、将来の貯蓄として考えてみては?
■参考サイト
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