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運送業専門の求人・転職サービス「ドラピタ」が行った調査結果によると、運送業の9割は2024年問題によるドライバー不足を実感しているとのことです。これにより、業務の遅滞が懸念されています。 今回は2024年問題についての説明と、物流業界の対応策について紹介します。
目次【本記事の内容】
働き方改革関連法によって、2024年4月1日から、物流ドライバーの時間外労働時間が年間で960時間に制限されます。この制限により発生しうる問題の総称が2024年問題といわれています。
運送・輸送関連の事故やトラブルを防ぎ、業界全体の安全性を確保するためには、ドライバーの労働環境を改善する必要があります。しかし時間外労働の制限によって、ドライバーの収入減少や物流遅延につながってしまいます。結果として、物流業者も経営が悪化する可能性が考えられています。
全日本トラック協会による試算では、法定労働時間に年間960時間を加えると、1カ月当たりの労働時間目安は274時間になります。一見すると十分な労働時間が確保できているように見えます。しかし現状は、長距離トラックのドライバーで月間労働時間が274時間を超えるケースは、全体の40%超に達しているのです。
時間外労働の上限設定は、業界全体の安全性にはつながると考えられる一方で、物流遅延や経営悪化を誘発する可能性があるため、業界にとっては完全にジレンマとなっています。
ドライバーが長時間労働になる要因は、慣行的になった業界の仕組みと人手不足にあると考えられます。ドライバーの課題としては、納品までが短時間で時間指定などが厳しいこと、荷待ち時間が発生すること、さらに荷物の積み下ろしが手作業になることなど、効率的とは言い切れない業務体系になっております。
また、人手不足については、冒頭の調査結果で触れた通り、物流に関わる事業者の9割以上は、ドライバーの不足を感じております。
さらに物流業界は人材の採用と定着に関して課題を感じている企業が多い現状があります。先のドラピタの調査結果によると、採用に関して課題を感じる企業は54.5%、定着関して課題を感じる企業は38.4%という結果でした。
残業時間の規制により、ドライバー1人あたりの稼働時間が減少することと併せてドライバー全体の労働力が減少にさらに拍車がかかる結果となってしまいます。
一方でドライバーを手配する物流業者側からすると、荷主からの注文に合わせた効率的な配送計画を作れないことが主な要因と考えられます。
2024年問題に対応するためには、業界全体で業務効率化、人材の採用と定着を図る必要があります。ドライバーの作業効率化では、1回の納品ロットを増やして輸送頻度を下げること、手作業による積み下ろしを機械化することなどが考えられます。中継輸送や共同配送をとり入れるなど、業界で対策を進めることも必要でしょう。
事業者側では必然的に、給与や労働環境の見直しに着手する動きが活発化しています。また定期的な面談制度を導入して、ドライバーの意識と業務のギャップを埋めるなど、積極的に環境改善を図る事業者も増えてきました。
2024年問題では、ドライバーの労働環境改善とドライバー不足という、2つの相反した課題を同時に解決することが必要とされています。2つの課題を解決のためには、物流業界全体が積極的に対策を講じる必要ががあるといえるでしょう。
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