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従業員のモチベーション向上やインセンティブとして、多くの企業が福利厚生制度のほかに社員持株制度などを利用しています。その1つとして最近注目されているのが「エンゲージメントストック」です。
日本ではまだ導入が始まったばかりの新しい制度ですが、企業と従業員とのきずなを深める効果が高いとして、メディアでもとり上げられています。では、どのような仕組みの制度なのか、その特徴とメリットについて紹介しましょう。
給与や賞与などの賃金以外で、企業が社員の実績を評価する制度の1つに金銭報酬制度があります。この制度は仕事の成果や会社への貢献度などを基準に、金銭報酬・株式報酬を付与するものです。
新たに登場したエンゲージメントストック(ファントムストック)も金銭報酬制度の1つですが、特徴としては従業員持株制度によく似ています。ただし株式を付与する仕組みが大きく異なります。
エンゲージメントストックで社員に付与されるのは、実際の株式ではなく仮想の株式です。ただし仮想とはいえ、会社の業績に連動して時価が変動し、一定期間が経過すれば権利を行使して売却できます。また業績がよければ配当金を受け取るチャンスもあります。
具体的には会社が社員に仮想株式の権利を付与し、業績アップにより株価が上がれば、権利確定時点での利益を賞与や退職金として現金で支給します。株式は会社側が付与するため、社員が自分で購入する必要はありません。従業員持株制度とは異なり、中小企業でも利用できます。
エンゲージメントストックは中長期的な報酬制度です。そのため社員は目先の報酬にとらわれず、長期的にモチベーションを維持することができ、会社の業績アップに貢献する意識も高まります。転職を考えるケースも減少するでしょう。
社員の立場からすれば、自己資金で株式を購入する必要がなく、会社の業績がよくなればボーナスがもう1つもらえるようなものです。配当金もあるため、自分が業績アップに貢献して結果を出せれば、自分の力で収入を増やせるのです。
また、エンゲージメントストックを導入している企業は、積極的に利益を社員に還元する意識が高く、ある程度業績向上にも自信があると評価されます。これは求職者にとっては魅力的であり、企業にとっては人材確保のチャンスが広がる可能性があります。
エンゲージメントストックを始める場合、従業員持株制度のような手続きは一切不要です。ただし、事前に権利行使の条件や利益の還元率などについて、会社と社員との間で合意したうえで契約を結ぶ必要があります。
自社だけでの制度設計が難しい場合には、制度の導入を支援するサービスを利用することもできます。現在はまだ提供されるサービスが限られていますが、今後制度のメリットが認知されれば、サービスの種類が増えるかもしれません。
最近の傾向では、福利厚生を充実させて社員の満足度を高める企業が増えています。エンゲージメントストックも福利厚生の一種と考えられ、社員にとっては楽しみと収入アップがセットになった、魅力的な制度だといえるでしょう。
企業側からすると、社員のモチベーション向上が期待でき、実際に業績アップにつながる可能性もあります。まだ国内では導入事例が少ないことから、求人募集で注目を集めるかもしれません。興味がある場合は、まずは導入支援サービスに相談してみましょう。
■参考サイト
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