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自然災害やパンデミック、サイバー攻撃などさまざまな非常事態に対処するためには、企業防災の意識が欠かせません。しかし、企業として、どのように浸透させるべきか悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、企業防災の概要や重要とされている理由、企業におすすめの取り組みを解説します。
企業防災とは、企業が火災や地震、洪水などの災害リスクに対して、従業員や資産を守るために行う対策・準備を指します。リスクマネジメントの一環として、事業継続計画(BCP)を含むさまざまな取り組みが、この企業防災に該当します。
まずは、従業員および顧客の安全確保です。災害が発生した際に適切な避難経路や対応手順が整備されていないと、人的被害が拡大する恐れがあります。
事業継続の確保も、企業防災を理解するうえで重要な視点です。災害が発生した場合、当然ながら企業のオペレーションが物理的に停止する可能性があります。たとえば、オフィスが地震で倒壊するようなことがあれば、日常的な業務は困難になるでしょう。防災計画を適切に設定すれば、事業の中断を最小限に抑え、収益の損失を減らせます。
企業の信頼性やブランド価値の維持という面でも、企業防災は重要です。防災対策をしっかりと実施している企業は、災害発生時にも迅速に復旧し、投資家や株主、取引先、顧客からの信頼を得やすくなります。
労働契約法第5条では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定められています。いわゆる「安全配慮義務」であり、企業防災を実施するべき法的な根拠です。
2015年1月の常磐山元自動車学校津波訴訟の判決も、企業防災の重要性を強く裏付けています。2011年3月11日の東日本大震災に伴う津波で、宮城県山元町にある常磐山元自動車学校の教習生25名と職員1名が犠牲となりました。遺族は、自動車学校側が適切な避難誘導を行わず、災害対応マニュアルの整備も怠っていたとして、損害賠償を求めています。
災害前の津波予見可能性(災害発生前に津波が起こる可能性をどの程度予測できたか)についての責任は否定されましたが、災害発生後の情報収集と、適切な避難誘導が行われなかったことが問題となりました。津波警報後、消防署の車両による避難呼びかけを無視したことも企業側の過失とされています。安全配慮義務違反があったとして、自動車学校側の法的責任を認め、ほぼ請求額に近い賠償となりました。
上記のように、企業防災に取り組んでいないと、有事の際に法的責任を問われる可能性があります。事業を継続するのももちろん重要ですが、こうした法的責任についても理解しておきたいところです。
まず重要なのは、ハザードマップで被害を予測することです。ハザードマップとは、自然災害による被害が予想される区域を示し、リスクを視覚的にわかりやすく示した地図です。主に自治体や防災機関によって作成され、住民や企業が災害に備えるための重要な情報となります。
想定される災害の種類や規模に応じて、具体的な対策を計画しましょう。たとえば、洪水リスクの高い地域では、重要な設備やシステムを高層階に配置したり、バックアップを取るなどの対策を検討します。
安否確認や災害対策などの一連の流れを決めておくのも重要です。具体的には、災害発生時に従業員の安全をスムーズに確認できるよう、安否確認システムを導入します。システムはメールや電話、専用アプリなど多様な手段での連絡が可能です。
緊急連絡網は、常に最新の状態に保っておかないと、有事の際に機能しないリスクがあるため注意しましょう。定期的に更新するか、連絡先が変わった際に報告してもらうなどの方法がおすすめです。
災害に備えて、備蓄をするのもよいでしょう。企業の規模や従業員数に応じて、最低3日分、理想としては1週間分の食料や飲料水を備蓄します。食料・飲料水は賞味期限切れがあるため、定期的に見直すのが重要です。
救急箱や簡易トイレ、懐中電灯、ヘルメット、手袋、毛布といった防災用品もそろえましょう。また、AEDなどの救命機器を設置すると、より深刻な被害があった際に役立つかもしれません。
建物・設備の耐震診断と補強を行うのも重要です。企業の建物が耐震基準を満たしているかを確認し、必要に応じて補強を行います。とくに古い建物の場合、耐震補強工事を検討するとよいでしょう。
大規模な工事を行わなくても、家具・設備の固定によって耐震性を高める工夫もあります。地震時に転倒や落下の危険がある家具や設備を固定しつつ、オフィス内の通路や出口を確保し、避難の妨げとならないように配慮しましょう。
防災訓練も、企業の防災対策として取り入れたいところです。年に少なくとも1回以上、全従業員を対象とした防災訓練を実施します。避難経路の確認や消火器の使用法の説明、AEDの使い方の講習などを行い、有事の際に焦らず行動できるように準備しましょう。
災害時の連絡をスムーズに行う際に有効なサービスがあります。下記リンクよりご確認ください。
おすすめ安否確認・非常時対応のサービス一覧
BCP(事業継続計画)は、自然災害やパンデミック、サイバー攻撃などの事態が発生した場合に、重要な業務を中断せずスムーズに事業を継続するための計画です。一般的な防災対策に比べて、「事業継続」にフォーカスしているのが特徴となります。
昨今では、新型コロナウイルス感染症の拡大により、今までのように業務を継続するのが難しくなるような事例も増えました。テレワークの導入や情報セキュリティの教育など、BCP(事業継続計画)の観点でも企業防災対策を行うことを意識しましょう。
企業防災は、リスクマネジメントの一環として欠かせない取り組みになっています。何かあった際にそれぞれがスムーズに行動できるよう、全従業員を対象に防災意識の向上を図りましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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