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働き方改革の実現を目指し長時間労働の是正が叫ばれる昨今、有給休暇の消化率がしばしば取り沙汰されています。有給休暇は、わが国では、勤続年数に応じて付与される決まりになっていますが、外国の有給休暇制度は、何を基準にどうのように決められているのでしょうか?
今回は、有給休暇制度における日本と外国の違いについてまとめてみました。
日本では、年次有給休暇の日数は法律によって定められています。付与される休暇日数は継続勤続年数によって異なり、初年度においては雇い入れの日から6ヵ月間継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して最低10日が付与され、2年6ヵ月までは1年ごとに1日追加、以後1年ごとに2日追加となる仕組みです。また、未消化分は次年度への繰り越しが認められています。
基本的に労働者は、事業の運営を妨げなければ希望する時に有給休暇を取得することができ、時間単位の取得も可能です。
先進国の中で唯一アメリカには、有給休暇について法令上の規定がありません。有給休暇の付与は、使用者と労働者の契約によるものとなりますが、実際には、多くの企業で有給休暇が付与されているようです。
イギリスでは、13週間継続勤務を行った労働者が有給休暇を付与されます。付与日数は、1年につき、週の就労日×5.6日間で、最高28日までです。
有給休暇は、分割して取得することができますが、原則としてそれが発生した年次休暇年内においてのみ取得することが可能です。また、雇用が終了してしまった場合には、残りの有給休暇を相応の手当に置き換えることができます。
使用者は、ここは休んでほしくないという期間がある場合は、その期間の休暇日数に相当する長さの予告をすることにより、休暇の取得を阻むことができます。また、休暇をとる日を指定することも可能です。
ドイツでは、労働契約が成立してから6ヵ月以上が過ぎれば有給休暇が付与されます。(ただし、勤続6ヵ月未満の場合、継続勤務1ヵ月あたり12分の1の休暇となります。)
付与日数は1年につき24週日で、週日とは日曜日、日曜日以外の所定休日及び法定祝日を除く暦日をいい、週5日制の場合は20週日になります。また、労働協定で異なる定めもありますが、連続して12週日の付与が可能です。
付与方法に関しては使用者に決定権がありますが、従業員代表がある場合には、使用者と従業員の同意に基づき決定されます。
有給休暇は、原則として繰り越しは認められず、休暇年度内に付与、取得するものとされています。(例外的に繰り越された場合には、翌年3月末までに取得しなければなりません。)
フランスでは、同一の雇用者のもとで最低でも10日間勤務した場合(実働で)、1ヵ月につき2.5労働日(1年で30労働日)の有給休暇を受けることができます。また、使用者は連続12労働日を超える有給休暇を、1年に1度以上与えなければなりません。ただし、連続して取得することのできる最高日数は24労働日です。
フランスには休暇取得可能時期(労働協約又は団体協定で定めた5月1日~10月31日を含む期間)があり、この時期に労働協約、団体協定の規定又は慣習をふまえて与えられます。
原則として未消化の有給休暇は消滅してしまいますが、一部の企業では、日数を限定して繰り越しを認めています。また、退職時に残っているものは有給休暇手当として支給されます。
「労働時間貯金制度」をグループ企業、業界、事業所レベルでの労使間の合意に基づいて制定できるようにもなっています。これまで1年間に貯蓄できる有給休暇の上限は22日で、消化の有効期限は5年間とする規定がありましたが、「時短緩和法」により撤廃されたのです。
その結果、条項を労使合意のもとに自由に決定できるようになると共に、労働時間貯金の現金化(企業による休暇の買い取り)も可能になりました。
スペインでは、1年間の継続労働の後に、暦日で30日間の有給休暇が与えられます。
金銭的に置き換えることはできませんが、次のような事情があれば、別に有給休暇を取得することができるのです。
公的あるいは民間の義務を負っている場合(必要な期間)、引っ越し(1暦日)、結婚(15暦日)、子供の出産・重病・入院・事故・死亡(2暦日)
中国においても1年以上継続して勤務する場合、5日間の有給休暇が付与されます。その後、10年以上20年未満の勤務で10日間になり、20年を過ぎると15日間になります。
韓国の有給休暇制度は日本に近いもので、最初の1年間で全労働日の8割以上勤務した労働者に対して、次年度から15日の有給休暇が与えられます。その後、継続勤務年数が3年を超えると、2年ごとに1日ずつ増えていく定めです。(最大25日)
労働者のストレスを発散させ、リフレッシュして、より効率的で創造的な働きをしてもらうために、休暇の持つ役割は大変重要なものです。ただ、こうして世界と日本を比べてみると、日本は必ずしも休暇制度が充実しているとは言えないのかもしれません。
今後は、有給休暇制度の有効的な活用のために、事業者や関係者のさらなる意識改革が求められるのではないでしょうか。
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