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勤務間インターバル制度導入ガイド|メリット・課題から助成金、就業規則の定め方まで解説

公開日2025/09/07 更新日2025/09/05 ブックマーク数
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勤務間インターバル制度導入ガイド|メリット・課題から助成金、就業規則の定め方まで解説

「社員の長時間労働が常態化していて、心身の健康が心配だ…」「働き方改革を進めたいが、何から手をつければいいか分からない…」。

人事や総務の担当者、そして経営者の皆さまは、このような悩みを抱えていませんか?
従業員の健康管理と生産性の向上は、現代の企業経営にとって避けて通れない課題となっています。

その解決策の一つとして、2019年から国が導入を促している「勤務間インターバル制度」が、今改めて注目されています。

この記事では、勤務間インターバル制度の基本から、導入に伴うメリットや課題、さらに国の助成金制度や実際の導入ステップまでを幅広く解説します。

[ 目次 ]

ステップ①:勤務間インターバル制度の基本を理解する

勤務間インターバル制度とは?

勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻までの間に、必ず一定時間以上の休息時間を確保する仕組みのことです。
これは、従業員が仕事から完全に解放され、心身を休める時間を保証するためのものです。
この制度は、ヨーロッパではすでに広く導入されています。
たとえば、EU(欧州連合)では、1993年の労働時間指令により、24時間につき最低11時間の連続した休息を与えることが義務付けられています。

なぜ努力義務化されたのか?

この制度が日本で注目され始めた背景には、2019年4月に施行された「働き方改革関連法」があります。
この法律は、長時間労働の是正や多様な働き方の実現を目的としており、その一環として「勤務間インターバル制度の導入努力義務」が定められました。

国がこの制度を推進する狙いは、以下の2つです。
従業員の健康確保: 深夜に及ぶ長時間労働や不規則な勤務形態による疲労の蓄積を防ぎ、従業員の心身の健康を守ること。
生産性の向上: 十分な休息をとることで、仕事中の集中力や創造性を高め、労働生産性の向上につなげること。

日本における導入の現状と、今後の義務化の可能性

厚生労働省が実施した「令和4年就労条件総合調査」によると、勤務間インターバル制度を導入している企業の割合は5.9%にとどまっています。
しかし、その内訳を見ると、インターバル時間として「11時間以上」と設定している企業が最も多いという傾向が見られます。
※調査データは年により変動します。最新の情報は厚生労働省のウェブサイトでご確認ください。

現在は努力義務ですが、働き方改革がさらに進む中で、将来的には法的な義務化へと移行する可能性もゼロではありません。
また、この制度の導入は、従業員の健康を重視する「健康経営」の取り組みとしても高く評価されます。
経済産業省が推進する「健康経営優良法人」の認定項目にも含まれており、導入は企業のイメージアップや優秀な人材の確保につながるインセンティブ(導入を促すきっかけ)となっています。

ステップ②:導入を検討する|メリットと、乗り越えるべき課題

勤務間インターバル制度は、企業に様々なメリットをもたらしますが、同時に乗り越えるべき課題も存在します。
ここでは、制度導入の際に知っておきたい両方の側面を解説します。

導入による3つのメリット

  1. 従業員の健康確保と離職率の低下
    終業から次の始業まで十分な休息時間を確保することで、疲労の蓄積を防ぎ、過労死やメンタルヘルス不調のリスクを減らすことができます。
    従業員が健康で活き活きと働ける環境は、結果として離職率の低下にもつながります。
  2. ワークライフバランス向上による採用力強化
    「仕事とプライベートのメリハリをつけたい」と考える求職者は年々増えています。
    勤務間インターバル制度は、こうした求職者に対して、従業員の生活を大切にする企業姿勢を明確にアピールできます。
    特に若い世代からの評価が高まり、採用市場における企業の競争力を高めることができます。
  3. 集中力向上による生産性の向上
    十分な休息は、仕事中のパフォーマンスを向上させます。
    睡眠不足や疲労が残ったまま仕事に臨むと、集中力や判断力が低下し、ミスや非効率な作業が増える可能性があります。
    インターバル制度によって質の高い休息を確保することで、従業員一人ひとりの集中力が高まり、結果的に組織全体の生産性向上につながります。

導入の「壁」となりうる3つの課題と、その乗り越え方

課題①:人員不足・コスト増

特に中小企業では「人手不足」や「人件費増加」への懸念が生じます。

乗り越え方:
DX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、RPAなどで定型業務を自動化すれば残業自体を減らせます。
また、「両立支援等助成金(職場意識改善特例コース)」といった国の支援制度を活用することも有効です。

課題②:シフト勤務など複雑な勤怠への対応

医療・介護・運輸業などでは、シフト勤務や夜勤により制度適用が難しいケースがあります。

乗り越え方:
部署や職種ごとに柔軟なルールを設定します。
例えば「夜勤明けは次の勤務まで24時間以上のインターバル」とするなど、現実的な規定を設けることが重要です。
勤怠管理システムのアラート機能を活用し、制度順守をシステムで担保することも有効です。

課題③:緊急時の対応

顧客対応やシステムトラブルで、インターバル時間中でも労働が発生する場合があります。

乗り越え方:
「やむを得ない例外」として事前にルールを定め、代休や追加休息で補填する仕組みを導入しましょう。

ステップ③:4ステップで実践|勤務間インターバル制度の導入・運用マニュアル

  1. 【現状把握】従業員の勤務実態と労働時間を可視化する
    勤怠データをもとに、各部署や職種ごとの労働実態を分析することが制度設計の土台となります。
  2. 【制度設計】自社に合ったインターバル時間とルールを設定する
    インターバル時間(例: 11時間以上)、適用範囲、例外規定を決めます。
  3. 【規程整備】就業規則への明記と労使協定の締結
    就業規則に制度を明記し、必要に応じて36協定を締結します。
  4. 【運用体制】勤怠管理システムでのアラート設定と周知
    システムでアラートを出し、従業員や管理職に周知徹底します。

代表的な導入企業とその取り組み

ユニ・チャーム株式会社
導入時期:2017年1月
内容:全社員を対象に「最低8時間以上、努力義務として10時間以上」のインターバルを規定し就業規則へ明記。
背景:働き方改革や人事制度改定を見据え、制約のある人も働きやすい環境づくりを目的としています。

その他の業界における導入事例

酒類製造・販売会社
接待業務後と早朝ミーティングのバランスを考慮し、10時間のインターバルを試験導入。従業員からは「業務効率が上がった」「プライベート確保ができる」と好評。

医薬品製造・販売会社
一般職は11時間、営業職(MR)は9時間と職種ごとに分けた設計で導入。従業員から「業務の進め方が改善した」との声が上がっています。

勤務間インターバル制度に関するよくある質問(FAQ)

Q. インターバル時間中の電話やメール対応は、労働時間になりますか?

A. はい、原則として労働時間になります。
緊急対応であっても業務指示があれば労働時間として管理し、賃金を支払う必要があります。

Q. 努力義務ですが、導入しないと何か不利益はありますか?

A. 現時点では罰則はありません。
ただし、長時間労働リスクや採用不利、企業イメージ低下、法改正への対応遅れなどの不利益は考えられます。

Q. 使える助成金について教えてください。

A. 「両立支援等助成金(職場意識改善特例コース)」が活用できます。
対象経費は就業規則作成費用、労務管理機器の購入費用、外部専門家コンサル費用などです。
詳細は厚生労働省のウェブサイトで確認してください。

Q. 管理職も制度の対象に含めるべきですか?

A. はい、推奨されます。
管理職も長時間労働になりやすいため、対象とすることでマネジメントの質向上や制度順守が促進されます。

まとめ

勤務間インターバル制度は「コスト」や「規制」と捉えられがちですが、実際には企業の持続的成長に直結する施策です。
現在は努力義務ですが、将来的に義務化される可能性もあり、人事・総務部門が中心となり制度を整備する必要があります。
この記事をきっかけに、従業員と企業の未来を守るための第一歩を踏み出してください。
あなたの行動が、会社の働き方を大きく変える力となるでしょう。

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