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通販サイトやオンラインモールなどのECサイトを運営する企業の担当者の皆様は、次のようなお悩みや課題があるのではないでしょうか。
「外部業者にECサイトや広告画像の制作を委託したいが、著作権は自社のものになると考えて問題ないのか?」
「外部業者から納品された制作物は自由に使っていいのか?」
「外部業者に制作物を委託して料金の支払いもしていたが、別途利用料を請求された場合、支払う必要はあるのか?」
この記事では、ECサイトを運営する事業者が外部業者に制作物を委託した場合について、著作権は誰のものか、またその注意点について、EC専門の弁護士が詳しく解説します。
T社長
わが社は、新規事業としてEC事業に挑戦することにしました。ECサイトを開設するにあたって、自社商品の写真撮影、ECサイトの制作、自社商品ページの広告画像などを外部業者に委託しようと考えています。
先日、当社の総務担当者から「外部業者に委託した画像などの制作物は自由に使っても、著作権の問題はないのか?」と疑問の声が出ました。
外部業者に委託した制作物の著作権は、委託料を支払えばわが社の物になると考えていたのですが、法律的にはどうなんでしょうか。
小野弁護士
なるほど。今日は外部業者に委託した制作物の著作権についてのご相談ですね。
会社が販促物の制作を外部業者に委託するといったことは日常的に行われています。
その際、「納品された物の制作に対する報酬を支払ったのだから、著作権も自分たちのものだ」などと考えてしまいがちですが、そうであれば認識を改める必要があります。
今回は、制作物の著作権は誰のものとなるのかについて、著作権法の基本的な考えを説明します。まずは、著作権の基本知識について解説します。
まずは、著作権法についてみていきましょう。
第1条(目的)
著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
第2条(定義)
一 著作物
思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
第17条(著作者の権利)
著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
著作者の権利は、他人が無断で著作者に認められた著作権を行使することを止めることができる権利であり、大きく分けると著作者人格権と著作権(財産権)の2つで構成されています。
著作権法には「著作権」という名称の権利は規定されておらず、複製、上演、演奏、公衆送信といったように利用形態ごとに権利が規定されています。これを支分権(権利の束)といいます。
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◆WRITER
弁護士 小野 智博(おの ともひろ)
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
慶應義塾大学環境情報学部卒業。企業のDXサービスについての深い理解に基づき、企業法務を提供している。国際業務を得意とし、日本語・英語の契約書をレビューする「契約審査サービス」や、「外国人雇用マネジメントサービス」「ビザ申請サービス」などを展開している。また、ECビジネス法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約・プライバシーポリシー・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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