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「支払手数料」は、日常の仕訳で頻出する一方、範囲が広く、他科目との境界があいまいになりやすい勘定科目です。
振込手数料や決済代行手数料、各種事務手数料などを一括して処理できる反面、「雑費」「租税公課」「販売手数料」「支払報酬」などとの区分を誤ると、費用の実態把握や消費税区分の判定に影響が出るおそれがあります。
とくに消費税の取り扱いは科目によって異なるため、正しい理解が重要です。
本記事では、企業の経理担当者向けに、支払手数料の定義、典型的な計上対象、混同しやすい勘定科目との違い、仕訳例、税区分(課税/非課税/不課税)までを整理します。
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支払手数料とは、企業が事業活動に伴う取引・契約・各種手続きに関連して支払う手数料を計上するための勘定科目です。
銀行振込、クレジットカード決済、決済代行サービス、各種事務処理の代行など、取引そのものに付随して発生する費用が主な対象となります。
会計区分としては一般に「販売費及び一般管理費」に属し、販売活動や管理活動を遂行するための付随費用として扱われます。
なお、銀行等の金融機関に支払う振込手数料も原則としてこの勘定科目を用いますが、税務上の消費税区分(金融取引として非課税となる点)には留意が必要です。
支払手数料として処理できる費用は多岐にわたりますが、実務上よく見られるのは次のようなケースです。
これらに共通するのは、物や役務の対価そのものではなく、取引の実行や処理に伴って補助的に発生するコストである点です。
経理実務では、「手数料としての性質が明確か」「継続的な業務委託報酬に該当しないか」を意識し、他の勘定科目と峻別することが求められます。
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支払手数料は、他の費用科目と境界が近く、運用ルールを明確にしておかないと部門や担当者ごとに処理がばらつきやすい科目です。
ここでは特に混同しやすい「販売手数料」「支払報酬(業務委託費)」「雑費」「租税公課」との違いを整理します。
販売手数料は、自社の売上に直接関連して支払う手数料を計上する勘定科目であり、販売促進や販売代行・取次業務への対価として用いられることが一般的です。
一方、支払手数料は、振込・決済・各種手続など「取引の実行・決済のための付随費用」を幅広く計上する科目です。
具体例として、ECモールに対する販売代行手数料や代理店への販売手数料は「販売手数料」が適切ですが、売掛金の回収に伴う振込手数料や決済代行手数料は「支払手数料」で処理します。
科目選択に際しては、支出が「売上の発生に対する対価」なのか、「資金決済・事務処理に対する対価」なのかを基準に判断すると整理しやすくなります。
税理士・弁護士・社会保険労務士などの士業や、コンサルタント等の外部専門家に対する報酬は、原則として「支払報酬」や「業務委託費」で処理されることが多い科目です。
記帳代行や顧問契約、継続的なコンサルティングなど、成果物や業務提供そのものに対する対価は報酬と捉えるのが通常です。
これに対し、登記申請や登録免許税の納付手続を代行してもらう場合など、行政手続の事務処理部分のみを委託しているような支出は、性質上「手続代行手数料」として支払手数料で処理する余地があります。
同じ士業宛の支払であっても、契約内容・見積書・請求書の記載に応じて「報酬」か「手数料」かを社内で整理しておくことが重要です。
雑費は、金額が少額であり、かつ頻度が低く他のいずれの勘定科目にも明確に分類しづらい支出を計上するための科目です。
振込手数料など、内容・性質が明確でかつ反復的に発生する支出については、原則として雑費ではなく支払手数料に集約した方が費用の内訳把握という観点で望ましいとされています。
実務上、例外的・一時的に発生した少額の振込手数料を雑費処理するケースも見られますが、会計ソフト上に支払手数料が用意されている場合には、極力支払手数料に統一する運用が推奨されます。
「内容が判然としない少額支出」=雑費、「性質が明確な手数料」=支払手数料、と意識するとブレが減少します。
租税公課は、国・地方公共団体に対して納付する各種税金や公課、行政手数料などを計上する科目です。
収入印紙(印紙税)、登録免許税、納税証明書等の交付手数料、行政機関が徴収する各種手数料は、原則として支払手数料ではなく租税公課に該当します。
たとえば「収入証紙」「収入印紙」を購入して、免許・許可・登記などの行政手続に用いる場合、その支出は租税公課として処理するのが一般的です。
民間団体に支払う登録料・会費など、行政と無関係な登録手数料は、内容に応じて支払手数料や会費などを用いることになります。
ここでは、実務上頻出する取引パターンごとに支払手数料の仕訳例を示します。
自社が銀行振込を行い、振込手数料を自社負担した場合の典型的な仕訳は次の通りです。
振込手数料が差し引かれて入金された場合
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 149,450円 | 売掛金 | 150,000円 |
| 支払手数料 | 550円 | ||
※実際の振込手数料は銀行やサービスにより大きく異なります。
振込手数料を先方負担とする場合、自社では手数料部分の仕訳は計上されません。
売掛金が満額入金された場合
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 150,000円 | 売掛金 | 150,000円 |
不動産売買にかかる仲介手数料は、損金算入が可能な経費です。
不動産を譲渡したケースでは、「支払手数料」勘定で仕訳処理します。
支払手数料を支払った場合(消費税区分あり)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払手数料 | 150,000円 | 普通預金 | 165,000円 |
| 仮払消費税等 | 15,000円 | ||
一方、不動産を購入した場合の仲介手数料は、土地や建物など資産の取得価額に含める必要があるため注意しましょう。
支払手数料に係る消費税の取扱いは、支払先の属性や取引内容によって「課税」「非課税」に分かれます。
一般的な整理は次の通りです。
| 手数料の種類 | 税区分 |
|---|---|
| 銀行振込(国内)手数料 | 課税 |
| 郵便振替手数料 | 課税 |
| 行政機関への各種手数料(証明書交付手数料など) | 非課税 |
|
クレジットカード決済代行会社への システム利用料・事務手数料 |
課税 |
| 民間企業への仲介手数料・事務手数料 | 課税 |
同じ「手数料」という名称でも、銀行や民間企業による役務提供は課税取引となる一方で、行政機関による公的サービスは非課税になります。
決算書上は、支払手数料は原則「販売費及び一般管理費」の区分で表示し、税務申告上も課税仕入・非課税仕入とを正しく区分して集計する必要があります。
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A:事業関連の取引・手続きに伴って発生した支払手数料は、個人事業主・法人いずれにおいても、原則として必要経費(損金)に算入可能です。
ただし、社長個人の資金移動や私的支出に係る振込手数料等、事業との関連性が認められないものは経費算入できませんので、用途の区分管理が重要です。
A:売上の決済に利用したクレジットカードの決済手数料は、通常「支払手数料」で処理します。
ポイント還元や返金が発生した場合には、還元額を「支払手数料戻入」や「雑収入」で処理するなど、明細レベルでの把握と科目の運用ルールを社内で統一しておくことが望まれます。
A:業務委託費(支払報酬)は、継続的な業務遂行や成果物の提供に対する報酬として支払うものが中心であり、実質的に「作業や成果」に対する対価として位置付けられます。
これに対し、支払手数料は、取引・契約・決済・登録等に付随する「事務取扱費用」「手続代行費用」といった性格の支出を対象とするため、契約書や請求書の記載内容から、どちらに該当するかを実質に即して判断します。
A:重複請求や契約変更等により支払手数料が返金された場合、同一会計期間内であれば「支払手数料戻入」としてマイナス計上するか、「雑収入」として処理する方法が一般的です。
どちらを採用するかは会社会計方針によりますが、科目別残高管理や分析を重視する場合は戻入処理を用いる方が、期間比較が容易になります。
A:勘定科目コードは会計ソフトごと・企業ごとに任意設定であるため、統一された「支払手数料のコード」は存在しません。
勘定奉行・弥生会計・freee・マネーフォワード等のクラウド会計ソフトには標準科目として支払手数料が用意されていることが多いため、自社の勘定科目表と運用ルールを事前に整備しておくことが重要です。
支払手数料は、振込手数料や決済手数料をはじめ、事業活動に付随する各種手続費用を集約できる便利な勘定科目ですが、その範囲が広いがゆえに他科目との境界が不明瞭になりやすい項目です。
経理実務としては、「販売手数料」「支払報酬(業務委託費)」「雑費」「租税公課」との違いを整理したうえで、社内での運用ルール(科目選択と消費税区分)を明文化しておくことが、決算・申告の精度確保に直結します。
また、少額だからと安易に雑費処理せず、手数料の性質に応じて適切な勘定科目を選択することで、将来の原価管理・収益性分析に活用し得るデータの精度が高まります。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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