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管理部門なら知っておくべき、副業にまつわる法令改正まとめ

公開日2018/06/05 更新日2018/06/06

平成30年、厚生労働省はモデル就業規則の改定を行いました。
働き方改革や世の中の景気を反映してか、副業を希望する労働者は右肩上がりの傾向です。もしも自社の社員が副業を希望してきたら、どのような対応をしなければならないのか、また、どんなことに注意をしなければならないのかなど、副業にまつわる現在の法令についてまとめます。

例外を除き、「副業OK」の世の中に
<改定後のモデル就業規則>
【副業・兼業に関する規定の新設】
第14章 第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

厚生労働省は2018年1月31日にモデル就業規則を改正しました。改正後のモデル就業規則には、勤務時間外であれば他の会社などで副業・兼業ができると定められています。

副業には届け出が必要
副業をするにあたって、第2項には「事前に会社に所定の届け出を行う」と記されています。
これは、企業秘密漏えいのリスクはないか、長時間労働を招くものとなっていないかなどを確認するものであり、双方が納得したうえで進めることが重要なため規定されています。

労働者の副業は、企業にとってもメリットがあるものです。例えば、労働者のスキルを社内には無い環境で伸ばすことができたり、自律性・自主性を促すことができたりします。また、優秀な人材の獲得、または流出の防止、労働者が外部から得た新たな知識などにより事業拡大につながったりするでしょう。

副業の届け出で詳細を把握することにより、企業秘密漏えいのリスク回避、健康被害や労務品質低下などの回避ができ、企業側も前向きに副業を受け入れることができます。

禁止・制限可能な「例外」
第3項で、以下のような状況では、企業は労働者の副業を禁止または制限することができると定めています。

・労務提供上の支障がある場合
・企業秘密が漏えいする場合
・会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
・競業により、企業の利益を害する場合

【これまでの事例】
・私立大学教授が無許可で語学学校講師などの業務に携わり、大学の講義を休講したことを理由に懲戒解雇
→【解雇無効】副業は夜間や休日に行われており、本業への支障は認められないため。

・毎日6時間にわたるキャバレーでの無断就労を理由に解雇
→【解雇有効】兼業の性質上労働は深夜に及ぶもので、会社への労務提供上支障を来す可能性が極めて高いため。

・運送業者の社員が、年に1~2回貨物運送のアルバイトを行ったことを理由に解雇
→【解雇無効】職務専念義務の違反や信頼関係を破壊したとまではいえないため。

・管理職にある従業員が、直接経営に関与してはいないものの、競合他社の取締役に就任したことを理由に解雇
→【解雇有効】直接関与していなくても懲戒解雇事由に相当するため。

他にも現職と同様の職務内容の代理店契約をするなども、不当に企業の利益を害する行為として、競業避止義務に違反するとされた事例があります。
もしも社員が副業を申し出てきたら、副業の業務内容や就業時間など詳細に確認する必要のあることが分かります。

注意したい「時間外労働」
副業を承諾するうえで、注意したいものが時間外労働です。例を挙げながらご説明します。

【一日の所定労働時間 自社8時間 A社5時間】
自社が法定労働時間内でA社は時間外労働となるため、A社は労使協定の締結・届け出が必要となり、割増賃金の支払い義務が生じます。

【自社月曜~金曜所定労働時間8時間 A社土曜5時間】
自社は法定労働時間内になります。
A社は週の法定労働を超えて労働に従事させることとなり、労使協定の締結・届け出がなければ労働者を働かせることはできず、A社は割増賃金の支払い義務が生じます。

【自社4時間 A社4時間の契約で、自社5時間 A社4時間労働した場合】
契約上1日の通算労働時間は自社とA社で8時間となり、自社でそれを超えて働く場合は法定時間外労働となるため、自社は労使協定の締結・届け出がなければ労働させることができず、また時間外労働に関しては割増賃金を支払う義務が生じます。

【自社3時間 A社3時間の契約で、自社5時間 A社4時間労働した場合】
契約上は1日通算6時間の労働になっています。この場合自社で3時間を超えて5時間の労働をしても、その時点ではA社の契約時間を加えて通算8時間労働となり、法定労働時間内と判断されます。その後A社で4時間労働すると1時間の超過となり、A社の方で法定時間外労働に関する措置を講じる必要があります。

その他の措置
●健康診断
労働安全衛生法第66条では、労働者が兼業・副業をしているかにかかわらず健康診断を実施しなければならないと定められていますが、所定の労働条件に当てはまる短時間労働者(パート・アルバイト等)は健康診断が必要ない場合があります。
※労働条件については、厚生労働省のHP『副業・兼業の促進に関するガイドライン』をご確認下さい
/news/detail/229/?url=http%3A%2F%2Fwww.mhlw.go.jp%2Ffile%2F06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku%2F0000192844.pdf
また、事業主が副業を推奨している場合は、健康診断を実施することが望ましいとされています。

●労災
労災保険給付額は、就業先それぞれの賃金分に基づき算出されます。
また、自社から他社へ副業に向かう途中で災害に遭った場合、通勤災害に該当しますが、他社の労災保険が適用となります。

IT環境の充実から、以前よりも容易に副業ができるようになりました。副業は当事者だけではなく企業へもメリットをもたらします。一方で考えておかなければならないリスクや法的措置もたくさんあるのが現状です。
お互いよりよい未来が築けるよう、管理部門における法令周知など迅速に受け入れ準備に入る必要がありそうです。

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