公開日 /-create_datetime-/
2025年12月27日(土)~2026年1月4日(日)は年末年始休業のため、お問合せなどのご連絡は1月5日(月)以降になります。ご了承くださいませ。

グローバリゼーションの進展、深刻な少子高齢化などにより社会経済構造の大きな変革が求められています。企業が将来的に成長、繁栄していくためには、コーポレート・ガバナンスのあり方を社会的にも経済的にも望ましいものにする必要があります。バブル崩壊後、多くの企業は商法改正に則って内部ガバナンスの改革を始めました。現在ではより一層のガバナンス体制の強化について、活発に議論・検討がされています。
企業価値の向上と社会的責任(CSR)を果たすため、企業は健全かつ公正な経営を行わなければなりません。その実現の役割を担っているのが、「監査役」を含めた役員です。「監査役」という言葉は、よく聞かれる言葉ですが、実際はどのような役職なのでしょうか。
企業の監査役には、「社内監査役」と「社外監査役」の2種類があり、それぞれに「常勤監査役」と「非常勤監査役」が存在します。常勤が社内監査役、非常勤が社外監査役である場合が多いようです。
「社内監査役」は、当該企業の役員や従業員であった経歴のある社内出身の監査役のことをさします。対して、「社外監査役」とはその就任の前の10年間に、その会社又は子会社の業務執行取締役等であったことがない、社外出身の監査役のことをさします。「社内監査役」は企業情報に周知しているので、効率よく調査や情報収集ができることがメリットですが、客観性に欠けるといったデメリットもあります。そのようなことから、「社外監査役」を置き、客観性を持って、第三者的な立場から監査を行うことが必要となるのです。
資本金5億円以上または負債総額200億円以上の「大会社」や「取締役会」を設置している企業など、一定の条件を満たす企業は会社法によって必ず監査役を置くことが定められています。
「取締役会」を設置している企業でも、会計参与を置く場合は原則として監査役を設置する必要がありません。ただし、「大会社」の場合は監査役を設置しなければなりません。その理由は、業務執行と監査役を分離することで、コーポレート・ガバナンスを十分に機能させるためです。
監査役は株主総会で選任され、その監査役で「監査役会」を構成します。「監査役会」の半数以上は社外監査役としなれればなりません。監査役の任期は4年で、10年まで延長することも可能です。監査役の4年という任期は取締役よりも長く、その立場が強く保護されています。
なお、常勤監査役はひとつの企業に1名以上置くように定められておりますが、「大会社」かつ「公開会社」の場合は、監査役は3名以上であることが求められます。その内1名は常勤監査役を置くように定められています。
取締役会において、取締役は不正や違法行為が行われていないか相互チェックします。しかし、取締役会がなれ合いなどによって、不正行為のチェックがあいまいになることも考えられます。そのリスクに対処するために監査役が設けられているのです。
監査役の権限は会社法で定められています。たとえば、取締役の職務の執行の監査は、不正がないかなどを独自で調査することができます(独任制)。また、取締役に対する事業報告請求権、企業の業務や財産の状況の調査権があり、違法行為があった場合の差止請求権もあります。
監査役は、取締役と企業間の訴訟代表権や、取締役が被告となった場合、被告側へ企業が補助参加することに対しての同意権もあります。取締役会に対しては、出席義務、意見陳述義務があり、招集請求権、招集権、また子会社に対しての調査権もあります。
監査役が単独で持つ権限を上述しましたが、「監査役会」として持つ権限もあり、これも会社法で定められています。主な権限としては、監査役の選任に関する議案同意権、議題提案権、議案提出請求権が挙げられます。また、会計監査人の解任権、選任・解任・不再任に関する議案の決定権もあります。さらに、取締役、会計監査人から報告を受ける権限も持っています。会計監査人の報酬などに対しての同意権もあります。
監査をする側と受ける側が同一であれば、監査の正確性、公正性が疑われます。従って、監査役は当該企業の取締役や従業員、会計参与などとの兼任を禁止されています。しかし、当該企業が子会社である場合、監査役はその親会社の取締役や従業員と兼任することは可能です。
監査役への報酬は、監査を受ける企業から支払われます。
監査役への報酬の支払いは義務ではありませんが、監査役が職責を果たし、監査役としての資質も十分であれば、それに見合った報酬を支払うことは当然でしょう。企業としては、監査役となる人物像をしっかりと把握し、適当な人物であるかの判断、見極めが重要となってきます。
企業は、監査の実効性を高めるために、監査役と内部監査・内部統制部門との連携の強化を図ることが重要となってきます。また、不正の端緒を正確かつ迅速につかむためにも、内部通報システムの受領先に監査役を加えることが望ましいです。
役員間で、情報共有、充実した意見交換の場を持つことが、スムーズな監査に役立ちます。
これまで説明してきたことからもわかるように、監査役の最も重要な役割は、企業経営の「適法性」を監査することです。
企業はそもそも公正な経営を心がけなければいけません。監査役の指摘を受ける以前に、経営に不正な点がないかなどの内部統制を構築しておくことも必要となります。
連日のように、企業の不祥事が報道される今日において、まずは企業自体が誠実なスタンスで経営に取り組んでいるか見直すことが重要でしょう。
【編集部ピックアップ】マネジーニュース人気記事3選
MS-Japanの実際のデータを用いたリアルな調査!あなたの会社は何ヶ月ですか?
あなたは同年齢の平均年収より高い?低い?今すぐチェック!
会社の上場、非上場で差は存在する?実は〇〇万円も違った!
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
クラウド郵便の活用事例 - リモートワークだけじゃない!様々な課題に併せたクラウド郵便サービスの使い方-
管理部門兼任の社長が行うべき本業にフォーカスする環境の構築
生成AI時代の新しい職場環境づくり
契約書のリーガルチェックの重要性と6つのチェックポイント
-ホンネを引き出し離職要因を解明- 退職者インタビューサービス資料
経理転職の成功の秘訣を年代・企業規模別に解説
旬刊『経理情報』2025年12月1日号(通巻No.1761)情報ダイジェスト②
タクシー精算の煩雑さから解放『GO BUSINESS』──“もう領収書に悩まない”という選択
今年度(令和8年1月提出期限分) 法定調書の電子化の実務対応 第1回 法定調書の電子申告義務の概要
源泉所得税の勘定科目は「預り金」 仕訳などの注意点を解説
経理業務におけるスキャン代行活用事例
請求書の印刷・封入作業をゼロに!電子請求書発行システム「楽楽明細」導入事例集
事業用不動産のコスト削減ガイド
紙書類と郵送物の電子化によるコスト削減効果
工事請負契約書とは?作成時の注意点などを解説!
年末調整2025|人事が押さえるべき変更点・提出書類・よくある質問と回答~制度改正・扶養・副業・住宅ローンまで~
旬刊『経理情報』2025年12月1日号(通巻No.1761)情報ダイジェスト①
令和8年度(令和8年1月提出期限分)償却資産申告の留意点~よくある質問Q&A~
経理から財務へキャリアを広げる|資金調達・資本政策で活躍できる人材とは(前編)
【税理士執筆】非居住者の年末調整は「原則不要」? 管理部門が迷う判断基準と源泉徴収の落とし穴
公開日 /-create_datetime-/