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深夜まで残業が続き、休みを取ることさえままならない職場の存在は、少し前まではそう珍しいことではありませんでした。しかし、過労死などが社会問題化し、長時間労働を削減する動きになっています。では、労務担当者が社員を守るためには、何をするべきでしょうか。
仕事が多すぎることによって、社員の心身にはどのような悪影響があるのかを見ていきましょう。
仕事量が多すぎて息つく暇がないという状態が続くと、ストレス過多になる可能性が高まります。ストレス過多が続くと、精神的な病気になる確率が高まり、不眠症や集中力の低下につながります。
また、長時間の残業や休日返上での勤務を強いられた結果、肉体的負担、ストレスなどによる精神的負担から、脳出血や急性心不全などを発症しやすくなり、過労死となることも決して珍しくはありません。
また、精神的に追い詰められてうつ病を発症したり、自殺に至るケースもあります。過労死ラインは、残業がひと月に80時間~100時間とされ、月20日勤務とすれば、4~5時間程度の残業を毎日続けていると、過労死ラインに達してしまいます。
残業時間が増えるのは、仕事量の多さだけではありません。仕事への責任感が強いために自分のキャパシティ以上に仕事を抱え込んでしまう場合もあるようです。また、担当者のスキル不足で、仕事量を多く感じてしまうこともあるでしょう。
そこで、労働時間を減らすために各企業が取り組んでいるのが業務の効率化です。勤怠管理などのITツールを活用することも、労働時間を短縮することにつながります。最新のテクノロジーを活用すれば、作業時間を大幅に短縮することも可能な時代です。
ただし、いくら最新のシステムやツールを導入しても、期待通りの業務効率化につながっていないケースも決して少なくありません。テクノロジーに頼るだけではなく、管理部門には、その前にやるべきことがあります。
業務効率化を叫ぶ前にまず確認しておかねばならないこと、それは、勤務時間の中の無駄時間の洗い出しです。たとえば会議に必要以上の時間を費やしていないでしょうか。
また、業務報告のために、社員に日報の提出を求めている企業もあるでしょう。ところが、その日報を書くために残業しなければならないなど、本末転倒の事態に陥っていませんか。
仕事量の多さが長時間労働の原因だとすれば、残業禁止などの方法をとっても、仕事が残ってしまうことになります。現有の人員でこなすことが難しいのであれば、人員の再配置ということも検討しなければならないでしょう。
あるいは、どうしても内部スタッフだけでは仕事量がオーバーしてしまう場合は、業務の一部をアウトソーシングし、一人当たりの仕事量を減らすことを考える必要もあるでしょう。
業務効率化を図るためには、まず、無駄な業務やそれに費やしている時間を徹底的に洗い出し、現有の人員でどの程度の仕事量をこなせるのかを、確認することです。そのうえで、勤怠管理や労務管理の最新のシステムを取り入れることで業務効率化につながるかを改めて精査しましょう。
政府は、“働き方改革”の名のもとに、残業時間の削減や有給休暇取得の促進を企業に求めています。ところが、コロナ対応で、省庁によっては過労死ラインを超える残業が続いていたことが明らかになりました。
“言うは易し行うは難し”の典型例のようなものですが、社員の心身を守るために、管理部門として何ができるのかを、まず見極める必要がありそうです。
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