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団体交渉とは?交渉の進め方・注意点について詳しく解説

公開日2022/03/30 更新日2022/03/31

2022年3月11日、米大リーグ(MLB)機構の労使交渉が合意に至りました。
最低年俸の増額や「ぜいたく税」の基準額など、選手会が提示した条件に歩み寄る形で急転直下の合意へと向かったのです。

こうした団体交渉は、企業と従業員との間においても起こり得ます。団体交渉の進め方や注意点について、今いちど確認しておきましょう。

団体交渉とは

団体交渉とは、労働者の集団と使用者である企業が労働者側の要求事項について話し合うことを指します。労働者が団体交渉を行う権利を「団体交渉権」といい、憲法28条および労働組合法によって保障されているのです。

団体交渉には、労働者から要求された事項を使用者が拒否できない「義務的団体交渉事項」があります。義務的団体交渉事項に該当するのは、使用者が決定できる下記のような事項です。

【義務的団体交渉事項の例】

・賃金(月給・一時金・各種手当・退職金など)

・労働時間、休憩時間

・休日、休暇

・配置転換

・懲戒

・解雇、雇い止め

・補償(労災補償など)

・教育訓練

・安全衛生

反対に、団体交渉に応じる・応じないを使用者側が判断できる事項を「任意的団体交渉事項」といいます。経営戦略や生産方法に関する要求、施設管理権に関する要求、他の労働者のプライバシーに関わる要求などは任意的団体交渉事項とされるのが一般的です。

団体交渉の進め方

労働組合から団体交渉の申し入れがあった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。団体交渉の基本的な進め方について解説します。

●予備折衝を行う

団体交渉の前に、団体交渉の日時・場所・出席者について労働組合側と協議することを予備折衝といいます。団体交渉は労働には含まれないので、所定労働時間外に開催するとともに場所に関しても会社外の施設で行うよう交渉するのが原則です。

労働組合側が日時を指定してくるケースもありますが、指定された通りに応じる必要はありません。所定労働時間外・会社外の施設を原則とし、労働組合へ文書で伝えて調整しましょう。

●想定問答集の作成

組合側から提示された要求に対して、会社側の回答を事前に準備しておく必要があります。過去の団体交渉に関する判例を調査し、会社側の主張として団体交渉の場で伝えられるよう想定問答集を作成しておくことが重要です。

団体交渉では口頭での話し合いが基本となりますが、説明の際に資料が必要であれば事前に準備しておきましょう。とくに判例など複雑な事項を伝える必要がある場合、提示できる資料を用意しておくほうが望ましいはずです。

●議事録の作成、録音・録画

団体交渉での協議内容は必ず記録しましょう。労働組合と使用者の双方が合意した事項については議事録として残し、後で確認できるようにしておくことが大切です。

可能であれば、協議の一部始終を録音・録画しておくとより確実です。団体交渉の開始時に「録音(録画)させていただきます」と必ず一言断りを入れ、録音・録画機器を机上の見える位置に設置しましょう。

●合意または決裂

労使間で合意に至った場合、労働協約を締結して団体交渉は終結となります。労働協約を作成しなければ効力が生じないため、必ず書面で作成し両当事者が記名・捺印することが重要です。

団体交渉は粘り強く行う必要がありますが、双方の主張や提案が出尽くした上で進展する見込みがなければ決裂となります。決裂した場合、労働裁判やストライキなどに発展する可能性も否定できません。組合側との妥結点を探り、できる限り合意に至るよう交渉することが大切です。

団体交渉の注意点

団体交渉ではルールが非常に重視されます。対応を誤ると団体交渉を妨害したと見なされ、労働組合法違反となるケースもあるため注意が必要です。とくに以下の4点については、団体交渉の際に十分留意しましょう。

団体交渉は正当な理由なく拒否できない

団体交渉は団体交渉権にもとづく労働者の権利ですので、正当な理由なく拒否することは不当労働行為にあたります。団体交渉の申し入れに対しては、しかるべき手続きを踏んだ上で応じていくのが原則です。

ただし、労働組合の要求を受け入れるかどうかは協議した上で判断する必要があります。労働組合の要求をすべて受け入れなくてはならないわけではありません。

●団体交渉を理由に不利益な扱いをしない

団体交渉を申し入れたことを理由に、従業員に不利益な扱いをしてはいけません。当該従業員を異動させたり、降格するなどの決定を下したりしないよう注意しましょう。

また、労働組合に加入しないよう従業員に命じたり、脱退を促したりすることは黄犬契約と呼ばれる不当労働行為です。労働組合法違反となるため、こうした言動を慎むようすべての当事者に周知徹底する必要があります。

●便宜供与の範囲に十分留意する

団体交渉で使用する備品や施設を使用者側が提供することは原則としてできません。使用者とは別組織として独立性が保たれていなければ、労働組合として認められないからです。

ただし、必要最小限の広さの事務所や掲示板の貸与など、便宜供与が一部認められているケースもあります。会社の物品を貸与する際は労使間の合意にもとづいて行うなど、便宜供与の範囲に十分留意することが大切です。

●書類に安易にサインしない

団体交渉において、組合側から議事録などにサインするよう求められることがあります。サインすれば書類の記載事項に合意したことになりますので、安易にサインしないことが大切です。サインを求められてもその場で応じず、持ち帰って検討した上で回答する旨を伝えましょう。

まとめ

団体交渉権は労働者の権利であり、使用者が正当な理由なく拒否することはできません。団体交渉の申し入れがあった場合は、しかるべき手続きを踏んで交渉に応じていく必要があります。

今回解説してきた団体交渉の進め方を十分理解した上で、ルールに則って団体交渉を進めましょう。必要に応じて弁護士に相談し、適切に対処していくことが大切です。

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