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2023年10月にインボイス制度が始まります。ところが、9割近くの企業がインボイス発行事業者の登録を済ませているものの、取引先の登録番号把握が進んでいないことが、株式会社ワークスアプリケーションズ(WAP)の調査で判明しました。制度導入まで残り10カ月、はたして新しい制度に企業の対応は間に合うのでしょうか。
株式会社ワークスアプリケーションズの「インボイス制度企業実態調査レポート」*によると、すでに対応を終えている企業は全体の半数以上を占め、適格請求書発行事業者の登録申請手続きを完了した企業が88.6%に上ることがわかりました。
ところが、取引先の登録番号の収集まで完了している企業はわずか1.4%しかなく、72.9%が取引先情報の収集方法を検討中という、インボイス制度への対応が順調に進んでいない実態が明らかになりました。
インボイス制度が始まると、消費税の仕入税額控除を受けるためには、適格請求書発行事業者からインボイスを発行してもらわなければなりません。そのため、取引先が適格請求書発行事業者に登録しているかどうかを確認しておく必要があります。
しかし、この確認作業、国税庁が公開している登録事業者のリストと、自社の取引先リストを照らし合わせなければならず、手間もコストもかかります。取引先が少なければ、それほどの負担ではありませんが、数千、数万の取引先を抱える大企業もあります。
そのため、手間とコストを抑えるために、登録申請の期限(2023年3月末)まで、確認作業を先送りしている企業もあるようです。取引先の登録番号確認の遅れは、中小企業だけではなく、多数の取引先を抱える大企業にもみられます。
取引先が適格請求書発行事業者に登録しているかどうかの確認も大変ですが、経理・財務部門の業務体制を、インボイス制度に合わせる必要もあります。現場からは、2023年10月のスタートに間に合うのだろうか、と懸念する声もあがり始めています。
経理・財務部門がインボイス制度への対応について懸念していることも、この調査から見えてきました。
まず、適格請求書に合わせたフォーマットの作成や変更、マニュアルづくりに取り組まなければなりません。さらに、取引先から受け取った領収書や請求書が正当なものかどうかの確認する作業が加わります。
仕訳の振替や申告作業などを担当する経理・財務部門担当者にとっては、この新制度に慣れるまでにはかなりの時間を要することになりそうです。
新制度導入の混乱を避けるため、制度がスタートしてから一定期間は、適格請求書発行事業者未登録企業からの課税仕入れについても、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなす経過措置が設けられています。
この経過措置の適用を受けるためには、指定事項が記載された帳簿、あるいは請求書などを保存しなければなりません。その対応も、経理・財務部門担当者に求められるため、業務の負担がさらに増すことは避けられません。
いずれにしても、インボイス制度が導入されることで、企業にも現場の担当者にも、さまざまな負担が重くのしかかることは確かなようです。
*【調査概要】
方 法:オンラインでのアンケート調査
期 間:2022年9月30日~2022年10月13日
地 域:全国
対 象:WAPの顧客リストを主体とした企業
■参考サイト
PR TIMES インボイス制度 取引先の情報収集進まず 経理・財務部門の負担増を心配する声
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