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株主総会で準備するもの。総務の準備スケジュールは?

公開日2018/11/19 更新日2023/01/16

定時株主総会は総務にとって、1年を通して最大の山場の1つだといえるでしょう。株主総会の議事を円滑に進めすんなりと終えるためには、事前の念入りな準備が必要です。株主総会を準備するためのスケジュール、および招集通知と総会当日に向けて準備するものが何なのかをみていきましょう。

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株主総会の準備スケジュール

最初に、事業年度末から定時株主総会までの準備スケジュールをみていきましょう。ただし、このスケジュールは会社が非公開、取締役設置および監査役設置であり、事業年度末日が3月31日の場合の一例です。

1.事業年度末日(3月31日)

多くの会社では事業年度末日が「基準日」ともなります。基準日に名簿に記載されている株主に対し議決や配当などの権利行使が認められます。

2.計算書類などの作成(2週間程度)

計算書類や事業報告、附属明細書などを作成します。

3.監査役に計算書類などを提出する(4月15日頃)

監査役に計算書類などを提出します。監査役は、書類を受け取ってから4週間以内に取締役に対し、監査報告をしなければならないと定められています(会社法施行規則132条)。

4.監査役が監査報告書を取締役に提出する(5月10日頃)

監査役が監査報告書を取締役に提出します。

5.取締役会での計算書類等の承認および株主総会の招集決議(5月15日頃)

取締役会で、計算書類等の承認決議を行い、あわせて株主総会の招集決議を行います。株主総会の日時と場所、当日の議案などについても、この取締役会で決められます。

6.計算書類などの本店への備え置き(5月16日頃)

取締役会で承認された計算書類などを本店へ備え置きます。備え置きは、株主総会の14日前から5年間しなければならないと定められています(会社法442条)。

7.株主総会招集通知(5月20日頃)

株主総会の招集通知の発送は、非公開会社の場合は通常は1週間以上前までにしなければならないとされています。ただし、非公開会社であっても書面決議を行う場合は、2週間前までの発送が必要です(会社法299条)。招集通知には、計算書類と事業報告、監査報告、議決権の代理行使を認めている場合には委任状を同封します。

8.株主総会開催日(5月31日)

定時株主総会が開催されます。

株主総会招集通知の準備

株主総会の開催にあたり招集通知を発送します。株主総会招集通知の準備内容をみていきます。

招集通知が発送されなかった場合や内容に誤りがあった場合は、総会の招集手続きに瑕疵があったとされ、総会での決議が取り消されることもあります(会社法631条)。また、決議取消に該当しない程度であっても、ミスがあると総会の運営に支障をきたし、会社の信用を損なうこともあります。招集通知の準備には細心の注意を払いましょう。

招集通知の対象となる株主

定時株主総会の招集通知の対象となる株主は、定款で定められた基準日に株主名簿に記載・記録された株主です。ただし、以下の株主については招集通知を必要とされません。

  • 議決権がない株式(完全無議決権株式)を保有する株主
  • 一部の事項を除いて議決権がない株式(議決権制限株式)を保有する株主
  • 自己株式、単元未満株式、相互保有株式など、その他議決権がない株式を保有する株主
  • 所在不明株主

招集通知の発送時期

株主総会の招集通知は、会社の区分により以下の期間に発送しなければならないと定められています(会社法299条)。

  • 公開会社および書面投票・電子投票を行う会社 …総会日の2週間前まで
  • 全株式譲渡制限会社 …総会日の1週間前まで

ただし、取締役会非設置会社は定款で定めることによりさらに期間を短縮できます。

招集通知の記載事項

招集通知には以下の事項を記載しなければなりません(会社法299条)

  • 株主総会の日時および場所
  • 株主総会の目的である事項があるときは、その事項
  • 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使できることとするときは、その旨
  • 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使できることとするときは、その旨

招集通知の添付書類

取締役設置会社の場合には、招集通知に以下の書類を添付しなければなりません(会社法437条)。

  • 事業報告
  • 監査役の監査報告
  • 貸借対照法
  • 損益計算書
  • 株主資本等変動計算書
  • 個別注記表


株主総会当日の準備

株主総会当日に向け、どのような準備をしなければならないかをみていきます。

株主総会は、すんなりと終了する場合には正味30分もかからないことがあります。しかし、会社の最高意思決定機関である株主総会が混乱した場合には、思いもよらぬ事態が発生することもあります。総務のメンバーはもちろんのことですが、運営のために一時的に駆り出される他部門のメンバーに対しても、株主総会の重要性をきちんと認識してもらい、株主総会の運営メンバー全員が共通の認識を持って準備に取り組むことが必要でしょう。

運営事務局の設置

株主総会を運営するために、全社の横断組織として「運営事務局」を設置します。具体的な業務としては、

  • 想定問答集の取りまとめ
  • 法定必要文書の作成
  • 当日運営スタッフや議場セッティングの統括
  • 社員株主としての総会出席

などがあります。

想定問答集の取りまとめが必要ですので、全部門から最低1名の参加が必要となるでしょう。運営事務局の事務局は総務が行います。

想定問答集の取りまとめ

想定問答集は、株主総会で実際に使用されることは通常ほとんどありません。しかし、万が一の場合のために作成することが望ましいでしょう。

想定問答集の内容は、ひな壇の上にいる取締役がすぐに答えられるようなものは必要ではありません。むしろ、質問された際に即答できず困るような問題について、質問とその回答を記載します。

シナリオの作成

株主総会の議事を円滑に進めるためにシナリオは必要でしょう。開会の宣言から閉会の宣言までに至る議事の全てにつきシナリオを組んでいきます。シナリオは、何も発生しない通常パターンと手続き的動議発生パターン、修正動議発生パターンの3種類を作成します。

質問状への対応

株主総会の当日までに株主から質問状が来た場合に備え、対応方法の流れを決め、担当を割り振ります。

当日回答者の決定

株主総会の当日に株主から質問があった際、議長が事務局のサポートを得ながら回答するのか、質問の内容に応じて担当取締役が回答するのかを明確にしておきます。

株主分析

招集通知を発送すると3日後くらいから返送が始まります。返送状況は最新の情報を常に把握し、安定株主から返送がない場合には返送や当日出席を依頼するなどします。総会の当日までに安定株主で過半数を固められるようにします。

リハーサル

株主総会に先立ってリハーサルを行うことにより、シナリオの確認をするとともに各担当者の動きをチェックします。

  • 入場から受付までの株主の動線
  • 株主の誘導方法
  • 会場の駐車場や出入り口、トイレの把握
  • 音響設備や空調設備

などの確認も必要となるでしょう。

リハーサルは、株主総会1週間前までに1回、修正した事項の確認の場として前々日にもう1回の、計2回行うのが望ましいでしょう。

株主総会後に必要なもの

株主総会は終了後も用意すべきものがあります。代表的なのは「議事録」と「決議通知書」です。

株主総会の議事録は、会社法施行規則第72条で作成および保存が義務付けられています。議事録は、株主総会で執り行われた審議内容や進行を事実として記録しておくものです。株主や債権者が閲覧を求めたときに提供することはもちろん、裁判や税務調査などが発生した場合は必要になる可能性があります。
一方の決議通知書は、株主総会で決議された事項を株主に報告する書類です。作成は義務化されていませんが、多くの企業は用意しています。

議事録

株主総会の議事録については、会社法施行規則第72条でさまざまなことが定められています。
議事録は、書面または電磁的記録をもって作成しなければなりません。また、以下の事項を記載することが決められています(以下、「会社法施行規則第72条」より引用)。

  1. 株主総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席の方法を含む)
  2. 株主総会の議事の経過の要領及びその結果
  3. 株主総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
  4. 株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称
  5. 株主総会の議長が存するときは、議長の氏名
  6. 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

株主総会で決議された事項のなかで登記が必要なものは、2週間以内に議事録を添付のうえ実施しなければなりません。そのため、議事録は株主総会終了後になるべく早く作成しましょう。
作成された議事録は、保管場所および保管期限が決まっています。株主総会の日から10年間は本店で、また、その写しを5年間は支店で保管することが義務付けられているのです。この保管を怠ると、責任者の代表取締役は100万円以下の過料に処せられることがあります。

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決議通知書

前述のとおり、決議通知書は株主総会で決議されたことを株主に報告する書類です。審議内容と決議事項をわかりやすく記載します。法的な作成義務はありませんが、株主に伝えることで信頼を得て、リスク回避につながることがあります。
決議通知書は全株主に郵送するのが一般的でしたが、近年は郵送を廃止して企業の公式サイトで開示するパターンが増えています

まとめ

株主総会を無事に終えるためには決算から総会に至る期間において念入りに準備しなくてはなりません。準備は、総務だけでなく他の部署や弁護士、警察などの協力も必要となってきます。社内および社外との連携を取りながら着実に進めていきましょう。

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