AIガバナンスとは？想定されるリスクや導入のステップを解説

2023年6月22日、EYストラテジー・アンド・コンサルティング（以下EYSC）は、AIガバナンスに関するサービスを発表しました。さまざまな分野で活用されているAIですが、利便性が向上する一方、新しい問題が次々と起こっています。

AIにまつわる問題に適切に対処するためには、AI利用や開発に関するルール整備が欠かせません。今回の記事では、AIガバナンスについて考えます。

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AIガバナンスとは

AIガバナンスは、AI（人工知能）の利用における方針や規則、管理システムのことを指します。具体的には、AIの開発・運用・管理に関するガイドライン、倫理的な規範などです。EYSCによれば、「AI利用のためのガバナンス」と「AI開発・運用のためのガバナンス」の2つが重要とされています。

AIの活用で想定されるリスク

AIには多くの利点がありますが、同時にさまざまなリスクも伴います。

AIの出力結果が正しいとは限らない

AIは、アルゴリズムと訓練データにもとづいて学習し、出力します。訓練データが不完全であったり、データの性質が偏っていたりすると、不正確な結果を出力する可能性も否定できません。予測モデルにもとづくものなど、すべての結果が絶対的に正確であるとは限らないという点にも注意が必要です。

意図せず個人情報が不正利用される可能性がある

AIは大量のデータを分析し学習するため、そのデータに個人情報が含まれている場合、その情報の漏洩や不正利用のリスクがあります。また、AIはプライバシーに関わる情報を推測する能力も持っているため、個人情報保護の観点からも注意が必要です。

AIの出力結果が偏見を助長するおそれがある

AIの学習データが偏っている場合や、そのアルゴリズム自体がバイアスを含んでいる場合、AIは偏った結果を出力する可能性があります。再学習のためのプロセスを構築するなど、社会的な偏見を助長しないよう注意が必要です。

コンプライアンスを遵守できない可能性がある

AIは法律や規制を理解する能力を持っていません。そのため、とくに個人情報保護などに関連する法律を遵守しない行動をとる可能性があります。

AIの判断はしばしば「ブラックボックス」化され、そのプロセスが透明でないため、コンプライアンス違反が発生した場合の説明責任も問題となります。とくに昨今では、コンプライアンスが重視される傾向にあるため、法令遵守に関するルール整備は欠かせません。

上記のリスクを理解し、適切なAIガバナンスを通じてこれらの問題に対処することが、AIを安全で公正な形で活用するための重要なステップとなります。

AIガバナンス導入のステップ

「AI利用のためのガバナンス」と「AI開発・運用のためのガバナンス」に分けて、AIガバナンス導入のステップを解説します。

AI利用のためのガバナンス

・適用対象の特定
AIガバナンスを導入する第一歩は、その適用対象を明確に特定することです。この過程では、どのAIシステムが組織内で使用されているか、それらがどのように運用されているかを把握します。

・サービスのリスクの洗い出し
次に、各AIシステムにおいて可能性があるリスクを洗い出します。個人情報保護やデータセキュリティ、バイアスや不公平な判断、法令違反などのリスクです。リスク評価は定期的に行う必要があり、新たなリスクが発見された場合は速やかに対応します。

・ルールを作成する
リスクの洗い出しを元に、AIガバナンスのルールを作成します。データの取り扱い方やプライバシー保護、透明性と説明責任の確保、バイアスの防止、などについての指針や手順が含まれます。

・ルールの適用と監視
作成したルールをAIシステムの運用に適用し、その遵守状況を監視します。また、ルールの効果を評価し、必要に応じて更新や改善を行います。

AI開発・運用のためのガバナンス

・AIガバナンスの現状を評価
最初に、AIガバナンスの状況を評価します。既存のAIシステムの運用状況、その運用に関わるポリシーや手順、そしてそれらがどの程度遵守されているかを把握しましょう。

・整備計画の作成
現状評価にもとづき、AIガバナンスの整備計画を作成します。どのようなポリシーや手順が必要か、それらをどのように適用・実施するか、そしてそれをどのように監視・評価するかを詳細に定義します。

・組織やルールの整備
次に、AIガバナンスの整備計画にもとづき、必要な組織やルールを具体的に整備しましょう。AIガバナンスの責任者やチームを設定し、それらの職務や権限を明確にしつつ、AIの使用に関するルールや手順を明記したガイドライン・マニュアルを作成します。

まとめ

AIに関するリスクが指摘されるようになった昨今では、AIガバナンスの整備が欠かせません。ビジネスにAIを導入する際は、必ずAIに関するルールを整備するようにしましょう。

AIガバナンスは、法改正などさまざまな外部要因によって、改正を迫られるケースもあります。ルール整備は一度きりではなく、定期的な見直しが必要です。

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