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2023年9月、町おこしの一環としてイチゴ栽培施設の建設を計画していた株式会社風車(以下、風車)に対して、高島市(滋賀県)が補助金の返還および延滞金の返還を求めて提訴しました。
この記事では提訴までの経緯や争点などについて紹介します。
総事業費は約16億4800万円で、事業完成後には国の補助金として約7億4900万円が交付されることになっていました。国の補助金は事業完成後の交付のため、風車は高島市へ先払いとなる「概算払い」の請求を行い、市は規則に基づき、2022年6月に補助金約3億7300万円を同社に交付しました。
その後、風車が実施した一般競争入札で決まった横浜市の業者が工事にあたりましたが、当初の予定であった2023年3月までに工事は完了しませんでした。
2023年1月に高島市は風車から「工事従事者の新型コロナウイルス感染や、設備機器に使用する半導体不足による納期の遅れなどにより、期間内に事業の完成が見込めなくなった」という報告を受け、対応を検討することになりました。
高島市は同年3月14日に国に対して「事故繰越承認申請」をしましたが、国の基準による天災などの避けがたい要因とする「事故繰越」とは認められず、4月に国の補助金交付決定が取り消されました。その後、風車は高島市に対して補助金交付申請を取り下げ、受理されました。
これを受けて高島市は、2023年5月31日までに交付していた補助金の約3億7300万円を返還するように要請しました。しかし6月の督促を経ても補助金が返還されなかったことから、提訴に踏み切りました。市は風車に対して補助金の返還と延滞金の支払いを求めています。
高島市農業政策課によると、風車は「未返還の補助金約3億7300万円を返す意思がある。イチゴ栽培施設の建設も完了させる」と話しているようですが、現時点(2023年10月現在)で返還は確認できていません。
一般的には、予定にない追加工事の依頼や請負代金の支払い遅延が遅れの原因になった場合は施主側、人員不足や施工ミスなどが原因の遅れの場合は施工業者側の責任になるとされています。
風車のイチゴ栽培施設については、当初入札で選ばれた会社とは違う会社が施工に当たっているという報道もあり、工期遅れの正確な原因の究明も求められています。
同士の福井市長は「仮払いについてはルールにのっとっており問題はない。経営母体についてもホームページを確認した」とコメントしていますが、風車の財務状況を十分に把握していたかどうかが問われています。
帝国データバンクによると2022年4月頃から風車の経営母体の経済状況が悪化したことが判明しており、調査次第では今回の騒動を防げたのではないかという見方もあります。
今回の騒動では、風車の企業体制に疑問の声が多い一方で、事前にトラブルを防げなかった高島市に説明を求める声も少なくありません。今後の行方に注目が集まります。
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