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【社会保険労務士執筆】健康保険・厚生年金保険(令和6年10月1日施行)の適用拡大における企業担当者向け実務のポイント

公開日2024/07/05 更新日2024/07/09

健康保険・厚生年金保険の適用拡大

この記事の筆者
上見 知也
イデアル社会保険労務士事務所
社会保険労務士

IT業界に10年間身を置き、Webサイトの制作者としてチームリーダー等を経験。社労士試験合格後、社会保険労務士法人、一般企業の人事・労務部門での勤務を経て、2023年に独立開業。
主に中小企業の人事労務面のサポートを行っている。

なぜ健康保険・厚生年金保険の適用拡大が必要だったのか

「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和6年10月施行分)」には、下記の通り回答されています。


政府においては、これまでも法律改正を通じて、短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡大(以下「適用拡大」という)の取り組みを進めてきており、その意義については、以下の点があるとされています。


①被用者でありながら国民年金・国民健康保険加入となっている者に対して、被用者による支えあいの仕組みである厚生年金保険や健康保険による保障を確保することで、被用者にふさわしい保障を実現すること。


②労働者の働き方や企業による雇い方の選択において、社会保険制度における取扱いによって選択を歪められたり、不公平を生じたりすることがないようにすること等により、働き方や雇用の選択を歪めない制度を構築すること。


③適用拡大によって厚生年金保険の適用対象となった者が、定額の基礎年金に加えて報酬比例給付による保障を受けられるようになること等を通じて、社会保障の機能を強化すること。

健康保険・厚生年金保険の適用拡大の経緯

健康保険・厚生年金保険の適用拡大における企業規模は段階的に拡大され、2016年10月から被保険者数501人以上の企業、2022年10月から被保険者数101人以上の企業、2024年10月からは被保険者数51人以上の企業が対象となります。

健康保険・厚生年金保険の適用拡大における企業規模

※引用元 日本年金機構:短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大

特定適用事業所とは

1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上(2024年10月から)となることが見込まれる企業等であり、この企業等を「特定適用事業所」といいます。

社会保険の被保険者資格要件と4分の3基準

厚生年金保険に加入している会社、工場、商店、船舶などの適用事業所に常用的に使用される70歳未満の方は、国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず、厚生年金保険の被保険者となります。


1週間の所定労働時間及び1月の所定労働日数が、通常の労働者の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上である労働者も厚生年金保険・健康保険の被保険者となります。

4分の3基準を下回るパートタイマー・アルバイト等の社会保険の加入

特定適用事業所に勤務する以下の要件にすべて該当する方が短時間労働者として加入対象となります。


①週の所定労働時間が20時間以上
②2カ月を超える雇用の見込みがある
③所定内賃金が月額8.8万円以上
④学生(昼間学生)でない


(1)週の所定労働時間が20時間以上の補足

就業規則や雇用契約書等で定められた週の所定労働時間が20時間未満であっても、業務の都合等により恒常的に週20時間以上であって、連続する2月において週20時間以上となり、引き続き同様の状態が続いている又は続くことが見込まれる場合、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3月目の初日に被保険者の資格を取得します。


(2)所定内賃金が月額8.8万円以上の補足

下記の賃金は月額8.8万円から除かれます。


・臨時に支払われる賃金及び1月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:結婚手当、賞与等)
・時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して支払われる賃金(例:割増賃金等)
・最低賃金法で算入しないことを定める賃金(例:精皆勤手当、通勤手当、家族手当)


原則として、賃金月額8.8万円に割増賃金は含まれませんが、連続する2月において業務の都合等により恒常的に実際の労働時間が増加し、引き続き同様の状態が続いている又は続くことが見込まれる場合は、3月目の初日に被保険者の資格を取得します。この場合、その割増賃金分は、賃金月額8.8万円に含まれることとなります。

所定内賃金が月額8.8万円以上の補足

特定適用事業所に係わる手続き

事前に日本年金機構から特定適用事業所に係わるお知らせ、又は通知書が届きます。


(1)令和6年10月1日から特定適用事業所に該当する適用事業所の場合

令和5年10月から令和6年8月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が6カ月以上50人を超えたことが確認できる場合は、日本年金機構において対象の適用事業所を特定適用事業所に該当したものとして扱い、対象の適用事業所に対して「特定適用事業所該当通知書」を送付するため、「特定適用事業所該当届」の届出は不要です(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有するすべての適用事業所に対して通知書を送付します)。


適用拡大の実施に伴い、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合は、各適用事業所がその者にかかる「被保険者資格取得届」を令和6年10月7日までに事務センター等へ届け出る必要があります(健康保険組合が管掌する健康保険の「被保険者資格取得届」については、健康保険組合へ届け出ることになります)。


(2)特定適用事業所該当事前のお知らせが送付される場合

令和5年10月から令和6年7月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が6カ月以上50人を超えたことが確認できる場合は、令和6年9月上旬に対象の適用事業所に対して「特定適用事業所該当事前のお知らせ」を送付し、令和6年10月上旬に「特定適用事業所該当通知書」を送付します(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有するすべての適用事業所に対してお知らせを送付します)。


(3)特定適用事業所に関する重要なお知らせが送付される場合

令和6年8月に、令和5年10月から令和6年7月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が5カ月50人を超えたことが確認できる場合(令和6年9月までに1カ月以上50人を超えると特定適用事業所に該当する場合)は、令和6年9月上旬に対象の適用事業所に対して事前勧奨状として「特定適用事業所に関する重要なお知らせ」を送付します(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有するすべての適用事業所に対してお知らせを送付します)。 また、令和6年9月にも同様の確認を行い、令和5年10月から令和6年8月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が5カ月50人を超えたことが確認できる場合は、令和6年10月上旬に同通知を送付します。


特定適用事業所に係わるお知らせ、又は通知書の詳細に関しては、短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和6年10月施行分)の別紙、又は年金Q&A(特定適用事業所)をご確認ください。

任意特定適用事業所

特定適用事業所以外の適用事業所の事業主は、被保険者の同意を得て、「任意特定適用事業所」の申し出を行うことができます。


任意特定適用事業所の申し出に伴い、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合、各適用事業所がその者に係わる被保険者資格取得届を提出する必要があります(健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者資格取得届は、健康保険組合へ届け出ることになります)。

短時間労働者の被保険者資格取得届

短時間労働者に該当する場合、事業主は被保険者資格取得届を日本年金機構へ提出する必要があります。


被保険者資格取得届等の届出の際の報酬月額は、短時間労働者も一般の被保険者と同様に、臨時に支払われる賃金以外の時間外手当、精皆勤手当、通勤手当等が含まれることにご留意ください。


手続きの詳細は「従業員を採用したとき」をご確認ください。

健康保険・厚生年金保険の適用拡大は事業主と従業員にどのような影響を与えるか

事業主への影響として、社会保険料の負担が増えます。メリットとして、募集をするにあたり週の所定労働時間が20時間のパート・アルバイトであっても社会保険へ加入できることがアピールポイントとなり、採用力が上がることが期待できます。


パート・アルバイトへの影響として、同じく社会保険料の負担が増えます。社会保険の加入のメリットとして、老齢年金、障害年金、遺族年金が上乗せされ、老後、障害、死亡の3つの保証が充実し、さらに、傷病手当金、出産手当金の受給が可能となり、医療保険が充実します。

健康保険・厚生年金保険

※引用元 日本年金機構:ガイドブック「従業員数100人以下の事業主のみなさまへ」(事業主用)

「被保険者資格取得届」の手続きの社内準備

令和6年10月から特定適用事業所に該当する場合、パートタイマー・アルバイト等の社会保険加入の準備を進める必要があります。


(1)加入対象者の把握

パートタイマー・アルバイト等で4要件を満たす加入対象者の把握をします。


①週の所定労働時間が20時間以上
②2カ月を超える雇用の見込みがある
③所定内賃金が月額8.8万円以上
④学生(昼間学生)でない


(2)社内周知

新たに加入対象となるパートタイマー・アルバイトに法律改正の内容が確実に伝わるよう、社内イントラやメール、ビジネスチャット等を活用して社内周知を行います。


(3)従業員とのコミュニケーション

必要に応じて説明会や個人面談を行いましょう。


面談の際、次のポイントを伝えると良いでしょう。
・社会保険の加入対象であることを伝える
・社会保険の加入メリット(年金、医療等の保証)を伝える
・社会保険の加入により支払う社会保険料額を伝える
・今後の労働時間などについて話し合う


従業員側で社会保険の加入を機にもっと働きたいと考えるかもしれません。その場合、労働時間の延長、又は正社員転換の提案をすることが可能です。一方で、従業員の事情で社会保険に加入をせず、労働時間の短縮を希望することもあると考えられます。


社会保険の加入については、今後のライフスタイルに大きく影響するため、従業員に対し丁寧に説明した方が望ましいでしょう。説明内容のポイントやチラシが「社会保険適用拡大従業員への説明のポイント」に掲載されていますのでご活用ください。


(4)書類の作成・届出(オンラインで行う場合)

対象となる企業は、対象従業員の被保険者資格取得届の準備をし、2024年10月7日までに「被保険者資格取得届」の届出をしましょう。

支援制度に関して

活用できる支援制度を紹介します。


(1)キャリアアップ助成金の社会保険適用時処遇改善コース・正社員化コースの活用

キャリアアップ助成金の社会保険適用時処遇改善コースは事業主が雇用する短時間労働者など有期雇用労働者等に対し、新たに社会保険の適用を行った場合、労働者1人あたり最大50万円が助成されます。キャリアアップ助成金の正社員化コースは有期雇用労働者等を正社員化することで1人あたり80万円(正社員転換制度を新たに規定した場合20万円が加算)が助成されます。


キャリアアップ助成金の社会保険適用時処遇改善コースの詳細はこちら
キャリアアップ助成金の正社員化コースの詳細はこちら


(2)専門家活用支援事業ご案内

顧問契約等を結んでいる社会保険労務士がいない場合、専門家活用支援事業を利用し、社会保険労務士等を派遣してもらうことも検討ください。専門家活用支援事業に関するお問い合わせは、管轄の年金事務所へお電話ください。派遣依頼届の提出など、ご利用の流れに関する説明を受けることができます。


#健康保険 #厚生年金保険

専門家活用支援事業に関する案内:「リーフレット「令和6年10月の適用拡大に向けて社会保険労務士等の専門家がサポートします。


【筆者のご案内】
イデアル社会保険労務士事務所(https://ideal-sr.jp/
社会保険労務士 上見知也


【参考】
厚生労働省:社会保険適用拡大 特設サイト
日本年金機構:ガイドブック「従業員数100人以下の事業主のみなさまへ」(事業主用)(PDF)※引用元
日本年金機構:年金Q&A (特定適用事業所)※引用元


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