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「企業の不正リスク調査白書 Japan Fraud Survey 2020-2022」は、デロイト トーマツ グループが、日本企業の不正対応の実態を立体的に示すことを目的に2006年より定期的に実施している調査で、今年で7回目となる。
調査内容は、会計不正(架空売上、費用隠蔽等)、汚職(贈収賄、カルテル、談合、利益相反)、情報不正(品質・産地・信用情報等のデータ偽装、情報漏洩、インサイダー取引)、横領の4つのタイプの「不正の実態」、「不正リスクガバナンス」に加え、今回は「コロナ対応の実態」も調査の対象としている。
前回調査と比較すると、過去3年間で不正が発生したと回答した企業は46.5%から53.9%に増加し、発生地域では、海外関係会社でもっとも多額の不正が発生したと答えた企業が16.0%から24.0%に増加している。
このように不正が増加している一方で、危惧されるのは不正に対する危機意識が、70%から61%へと低下している点だ。
新型コロナウイルスの影響も、不正リスクの増加に影響を与えている可能性も否定できない。たとえば、リモートワーク導入に伴うセキュリティレベルやモニタリング強化などの情報管理の徹底は49.8%で、情報不正のリスクへの対応が十分とはいえない状況だ。
また、海外子会社のガバナンスで効果的な手段だった海外駐在・出張が制約され、統制環境が脆弱化することで不正リスク増加につながる懸念もある。
一方、コロナ禍による運転資金の不足を上げる企業は12.8%にとどまるものの、補助金の利用(32.0%)、銀行への融資交渉(20.3%)で対応する企業の業績が悪化すれば、粉飾決算やデータ偽装といった不正を誘発する可能性も否定できないのが実態だ。
さて、不正が発生したときの対応は、内部監査や内部通報などの組織的対応が後手に回ることを防ぐために、トップダウンで迅速に進めるべき経営課題である。欧米では、不正発覚時に役員報酬を返還するクローバック制度の導入が進んでいるが、「導入済み、導入を検討」している企業は、わずか6.5%である。
取締役の不正対応への責任に関しては、欧米との認識の違いが如実に表れているが、社外取締役に有事に主体的役割を期待するのもわずか16.1%だ。社外取締役を含めた不正ガバナンスのあり方を再考する必要がありそうだ。
法務担当者は、調査の詳細を「企業の不正リスク調査白書 Japan Fraud Survey 2020-2022」(/news/detail/3608/?url=https%3A%2F%2Fwww2.deloitte.com%2Fjp%2Fja%2Fpages%2Frisk%2Farticles%2Ffrs%2Fjp-fraud-survey.html)で確認しておくことをおすすめする。
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