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ヤマト運輸が6月1日から「お届け日数」と「指定時間帯」を変更すると発表しました。その背景にはなにがあるのでしょうか?
⇒法令違反に注意!ドライバーの時間外労働も正しく管理する「勤怠管理サービス」
ヤマト運輸が配送体制を見直すのは、首都圏や新潟県と中国・四国地方の一部との間で配送される荷物、岩手県と関西地方の間の荷物、静岡県の一部や富山県から福岡県への配送です。これまで翌日配送でしたが、翌々日の配送に変更となります。
また、配達の指定時間も変更され、これまでは最短で翌日14時以降から指定できましたが、6月1日以降は翌々日の午前中以降の時間帯で指定が可能になります。
対象となるのは宅急便、宅急便コンパクト、EAZY、ネコポス、JITBOXチャーター便です。配送が1日延びるため、1日早く発送する必要があります。
個人がネット販売などで購入した商品であれば、配送が1日遅れることでそれほどの支障は生じないかもしれません。しかし、ビジネスで利用する場合には注意が必要です。取引先が希望する日に荷物が確実に届かなければ、取引そのものに支障をきたすことも考えられます。
ヤマト運輸のHPには、配送体制の見直しに踏み切った理由として「大雨による高速道路の速度規制などがあっても無理なく配送できる体制を整えることや、ドライバーの負担を減らすこと」などをあげています。
しかし、一番大きな理由は、1年後に迫る「物流2024年問題」でしょう。2024年4月から働き方改革関連法によって時間外労働の上限が年960時間に制限され、拘束時間や休息時間なども厳格化されることになります。
翌日に荷物が届くという利便性は、配送ドライバーの長時間労働や、過酷な労働環境によって支えられていたのです。
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ドライバーは走行距離に応じて手当が支給されるため、走れば走るほど収入は増えていましたが、時間外労働時間の上限が設けられると、ドライバーの収入は減少することになります。ただでさえ、過酷な労働環境のために慢性的な人手不足だった運送業界に、ますます人が集まらなくなる可能性もあり、物流が大混乱に陥るというのが「物流2024年問題」です。
物流業界では「物流2024年問題」への対応が求められています。もし対応しなければ「2030年には全国で35%の荷物が運べなくなる」という推計が、野村総合研究所から出されています。
35%もの荷物の配送が滞れば、大混乱が生じるでしょう。すでに混乱は見られ、ネット販売大手の商品到着が遅れるケースも出てきているようです。
EC市場の急成長により宅配便の取り扱い個数が急増し、それに伴い運送業者間で熾烈なシェア争いが始まりました。その結果、翌日配達や時間指定のサービスが提供されるようになったのです。
利用者にとっては、非常に便利なサービスですが、その裏には配送ドライバーの長時間労働や休日出勤といった、働き方改革に逆行する働き方がありました。
ようやく、時間外労働時間の上限を設定することで、ドライバーの労働環境を是正する動きが始まったのです。
ヤマト運輸が、一部地域で配送体制を変更する背景にあるのは「物流2024年問題」です。ドライバーの労働環境を改善するために時間外労働の上限が設定され、過酷な労働環境の改善を図る一方、物流の混乱が予測されています。
物流業界では人手不足も懸念され、対応が求められています。物流体制の転換期において、ヤマト運輸が配送体制を見直すことで、これから労働環境と物流の安定を両立させる取り組みが進展していくことを期待しましょう。
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