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国連の場で2015年に定められたSDGsには、合計17の目標が設定されています。「パートナーシップで目標を達成しよう」は、最後のNo.17にあたる目標です。この項目は、具体的な開発分野における目標であるNo.1~16とは異なり、幅広い分野を横断的に対象としている点が特徴といえるでしょう。
今回はSDGsのNo.17である「パートナーシップで目標を達成しよう」に注目し、達成目標として何が設定されているのか、どのような取り組みが行われているのかについて詳しく解説します。
目次【本記事の内容】
SDGsとして定められているNo.1~16までの開発目標は、国際的なパートナーシップを構築しない限り実現できません。SDGsの「パートナーシップで目標を達成しよう」は、特定の分野における開発目標ではなく、No.1~16の目標を達成するために必要となるパートナーシップを築くために策定されました。
では具体的に、ここでいう「パートナーシップ」とはどのような連携を指すのでしょうか。その1つとして位置付けられているのが、先進国と途上国のパートナーシップです。先進国から途上国に対して行われる政府開発援助(ODA)は、2000年~2014年にかけて7割近く増えましたが、今なお世界には紛争や災害に苦しむ人が多いのが実情です。先進国から途上国に対して、ODAのような資金面での支援をはじめ、技術、能力構築、貿易等において多様なサポートを実施していくことが、「パートナーシップで目標を達成しよう」では重視されています。
SDGsの「パートナーシップで目標を達成しよう」における「パートナーシップ」には、社会を構成するあらゆる利害関係者同士の連携を意味する「マルチステークホルダー・パートナーシップ(MSP)」という意味も含まれています。ここでいう行為主体は、国、地方自治体、企業、市民社会(NGO・NPO)等のことです。これらの組織・団体が垣根を越えて連携していくことが、持続開発目標(No.1~16)の達成において大事であると考えられています。
MSPの構築は、持続可能な発展を実現するための新たなガバナンスのモデルとして、21世紀以降世界的に取り組みが進められてきました。SDGsのNo.17では、すべての国々、特に途上国における持続可能な開発を実現するという目標のもと、グローバルなパートナーシップを補完する存在として、改めてMSPが位置付けられています。
それでは「パートナーシップで目標を達成しよう」に対して、経済界ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。その一例としては、まず金融業界の取り組み事例である「ESG投資」を挙げられます。
ESGとは環境(Enviroment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を取った言葉で、ESG投資とは投資判断の基準を「環境や社会に良い影響を与える事業か」、「公正に企業が経営されているか」等に求める投資のことです。通常は利益や成長率など財務情報に基づいて投資判断は行われますが、ESG投資ではそれとは全く異なる判断基準に基づいて投資先が決められます。
もともとESG投資は、2006年に国連でアナン事務総長(当時)が責任投資原則(PRI)を提唱して以来、世界的に広まりを見せていました。しかし2015年にSDGsのNo.17に「パートナーシップで目標を達成しよう」が策定されて以降、利益を第一に考えるのではなく、持続可能な開発を実現するための企業と投資家の新たなパートナーシップのあり方に注目が集まっています。
その他の日本の各産業界においても、SDGsの実現に貢献する産業内・企業同士の国際的なパートナーシップの構築が進められています。例えば経団連は現在、革新的な技術を活用して社会全体の効率化・最適化を目指す超スマート社会=「Society5.0」の実現を目指していますが、SDGsの達成を核とする企業行動憲章を、内容の改定に伴い新た盛り込みました。
また、証券業界ではSDGsの実現に向けた企業間のパートナーシップである「証券業界におけるSDGsの推進に関する懇談会等」が設置され、業界全体で社会的課題に取り組む体制が整えられています。
製造業でもISOを基準としつつ、労働環境の改善や贈収賄防止に向けた倫理規定を定めた「CSR調達ガイドライン」を策定し、早い段階から取り組んでいる企業が多いです。
環境問題、貧困問題、ジェンダーの問題など人類社会が抱えている様々な問題に対処し、持続可能な開発を実現していくには、国際社会を構成する国家、企業、市民社会の連携が欠かせません。各組織、個人が持つ強みを生かせるようなパートナーシップを構築することが、SDGsの実現につながります。
産業界においても、企業同士の連携という形で「パートナーシップで目標を達成しよう」に取り組むケースが増えてきました。まだ取り組みを進めていないという業界、企業は、自分たちで何ができるのか、改めて検討してみてはいかがでしょうか。
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