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「株式上場しました」と聞くと、多くの方がプラスイメージでとらえ、「すごいこと」と認識する場合がほとんどだと思います。
しかし、大概がそれを漠然と感じるだけで、明確に何がすごいのかを説明できる方はあまり多くないかもしれません。
そこで今回は、株式上場のメリットを詳しくご紹介します。
簡単に説明すると、上場と非上場の違いは、証券取引所を通じて投資家が自由に株を売買できるかどうかの違いになります。
非上場の場合、ほとんどのケースで株は経営幹部や社員、取引会社などが保有しています。当事者間での売買は可能ですが、一般には公開されていないため、証券取引所を通じた売買はできません。ただし、経営陣が株を保有するケースが多いため経営の舵取りがしやすく、小回りの利く経営が可能です。
一方、上場した場合、株式は公開され、証券取引所を通じてさまざまな投資家が自由に取引できる状態になります。そのため非上場の場合とは異なり、経営に関してさまざまな意見を述べる株主が出現する可能性があります。株主は出資額に応じた株主権を持ち、経営に参加する権利を保有します。そのため会社は経営に関して議決事項があれば、定期株主総会や臨時株主総会を開くなどして、株主に議決権を行使してもらい、その結果を受け経営に反映させていかなければなりません。上場会社など、株主が経営陣や取引会社以外のさまざまな投資家が多くを占める場合、小回りの利く舵取りは難しくなってしまいます。
それでも上場を目指す会社が多いのは、なぜなのでしょうか。
小回りの利く経営状態から脱却し、上場することのメリットはたくさんあります。
株式市場へ上場するには、たくさんの審査をクリアする必要があります。
国内最大の有価証券取引所に東京証券取引所がありますが、東京証券取引所には「第1部」「第2部」(総称して本則市場)「マザーズ」「JASDAQ」「TOKYO PRO Market」の5市場が開設されています。
それぞれが細かい審査基準を設けており、上場を目指す会社は業績や規模に見合った審査基準を設ける市場を選ぶことができます。そのため上場が達成できれば、その市場が設ける審査基準をクリアしたことが証明でき、取引先などから会社としての信用を得ることができるのです。
ちなみに東京証券取引所、大阪取引所は日本取引所グループに属し、その他名古屋証券取引所、札幌証券取引所、福岡証券取引所があります。これらは全て株式会社で、株式会社○○証券取引所という正式名称になります。
上場すると証券取引所や新聞などで会社名が出たり、株価情報、新規公開株などの情報で会社が紹介されたりします。そうすることで一般消費者や投資家の目に触れる機会が増加し、知名度がアップします。
また、知名度がアップすることと上場会社としての信用を得ることで、有能な人材の採用にもつながります。
上場している場合、資金調達のため株式を発行すると、それに関心を持った投資家が株を買い付け、資金を調達することが可能になります。非上場の場合よりも不特定多数の投資家からより多くの資金を調達することができます。
また、上場することで金融機関などからの信用度も上がり、円滑な資金調達が可能になります。
多くの株式市場上場審査基準に、内部統制やコーポレートガバナンス、コンプライアンスなどに関する審査基準が設けられており、これをクリアするため会社が経営体制などを見直した結果、その後も充実した管理体制を維持することができます。
2008年のリーマンショック後、経営再建などを目指してMBOを実施した会社が多くあります。
MBOとは、Management Buyout(マネジメント・バイアウト)の略で、経営陣が株式を買い取る、企業買収のひとつです。
世界的影響を及ぼしたリーマンショックを受け、MBOを実施し上場廃止となった会社が多くありましたが、このところそういった会社の再上場が見受けられています。2016年再上場を果たした会社は1社であったのが、2017年には6社と一気に増加しました。上場廃止から数年、最長では16年以上も要して再上場したわけですが、それほど時間をかけてでも、再上場の厳しい審査があっても上場を目指す会社が少なくないということです。
一方、2017年東証における新規上場会社数は、マザーズが最も多く49社、次いでJASDAQの18社と、新興市場における上場会社数が多い状況です。
東証1部を含む合計では93社が新規上場を果たし、2016年の84社から上向きの傾向が見られました。
「東証1部上場」とは、「東京証券取引所」の「第1部」という市場に「上場」するという意味であり、国内で最も厳しい審査をクリアした会社という証でもあります。漠然とした「すごいこと」というイメージはもっともでありますが、ひも解くとその「すごさ」もよく分かると思います。取引所のホームページにそれぞれの審査基準が掲載されていますので、比較してみるとおもしろいかもしれません。取引所のホームページでは、今年の新規上場会社情報も閲覧できます。
「上場」に関して理解したうえで見てみると、これまでとは違った視点で見ることができるかもしれませんね。
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