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厚生労働省は、平成29年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ、7月6日に公表しました。
過労死や未遂も含めた過労自殺で労災認定されたのは190人となり、前年度より1人減少したものの、一向に過労死が減らない状況が続いているようです。
「過労死」とは何か
過労死が社会問題化しているなか、6月25日、「働き方改革関連法案」が、可決しました。
議論不足や、政府が示したデータの不備など、さまざまな問題点も指摘されていましたが、政府与党が数の力で強引に押し切ったという印象は拭えません。
ところで「過労死」とは何か、ということですが、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう」と、過労死等防止対策推進法第2条で規定されています。
つまり、長時間労働や残業の連続による体調悪化で突然死するケースや、過労によるうつ病などで、自殺(未遂も含む)してしまうケースです。
過労死の問題は日本だけではありません。英語の辞書に「KAROSHI」という言葉が掲載され、言葉そのものも一般化しましたが、各国でも大きな問題になっています。
労災認定の基準となる過労死ライン
働きすぎが原因で健康障害が生じたときの、労働災害認定の基準となる、時間外労働時間の目安となる時間が過労死ラインです。1か月の残業時間が 80時間(20日出勤で1日4時間以上の残業・12時間労働)とされていますが、ニュースで報じられた過労死のケースでは、ほとんどが100時間を超えるような過酷な働き方が問題となっていました。
男女共同参画白書(平成30年版)によれば、30歳代・40歳代の男性のうちで週60時間以上働いている人が約15%います。つまり、過労死ラインぎりぎりでの労働が、蔓延しているというのが実情のようです。
過労死や過労自殺による労災認定190人
1.脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
請求件数840件(前年度比15件増)
支給決定件数は253件(前年度比7件減)
うち死亡件数92件(前年度比15件減)
※業種別では運輸業、郵便業、卸売業、小売業、建設業、宿泊業、飲食サービス業が多い
時間外労働時間別(1か月または2~6か月における1か月平均)労災補償の支給決定件数は、「評価期間1か月」では「100時間以上~120時間未満」42件が最も多い。また、「評価期間2~6か月における1か月平均」では「80時間以上~100時間未満」96件が最も多い。
2.精神障害に関する事案の労災補償状況
請求件数1,732件(前年度比146件増)
うち未遂を含む自殺件数221件(前年度比23件増)
※医療、福祉、製造業、卸売業、小売業の順に多い
時間外労働時間別(1か月平均)労災補償の支給決定件数は、「20時間未満」が75件で最も多く、「160時間以上」が49件であった。
3.裁量労働制対象者に関する労災補償状況
脳・心臓疾患の支給決定件数4件(すべて専門業務型裁量労働制対象者)
精神障害の支給決定件数10件(専門業務型裁量労働制対象者に関する支給決定8件、企画業務型裁量労働制対象者に関する支給決定が2件)
「過労死等の労災補償状況」によると、2017年度に過労死や過労自殺(未遂含む)で労災認定されたのは190人で、くも膜下出血や心筋梗塞など「脳・心臓疾患」では92人、ストレスなど心の病で過労自殺が98人でした。
過労死のうち時間外労働が月80時間以上の人が9割、月100時間以上の人は5割を占め、過労自殺・自殺未遂では月80時間以上の人が5割を超えています。
また、見落としてならないのが、「裁量労働制」で働いていた人の過労死が2人、過労自殺・自殺未遂が5人いたことと、過労死と認めた件数(支給決定件数)の年齢別の構成比をみると、40歳代38%、50歳代38%、60歳代13%と、中高年がほとんどということです。
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