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タレントマネジメントとは何か? 導入時に気を付けておくべきこと

公開日2018/10/14 更新日2019/01/28
タレントマネジメントとは何か? 導入時に気を付けておくべきこと

「タレントマネジメント」という言葉からは、ひょっとすると芸能事務所のマネージャーを連想する方もいらっしゃるかもしれません。

この場合の「タレント」は芸能人ではなく「人材」を意味しています。ただ、個々の特性や持ち味などを重視した、それぞれで替えが効かない存在として人材を把握することが特徴です。

タレントマネジメントとは何か?

タレントの語源は、古代ギリシャの貴金属の重量や通貨量を示す単位である「タラント」といわれています。聖書には、イエス・キリストが3人の下僕それぞれの能力に応じて、財産を分け与えたことから、タラントが「生まれながらに持つ才能や技能」の意味を示す言葉となりました。

そのタレントマネジメントが、次世代型の人事システムとして注目を集めています。

初めて提唱されたのは、1990年代のアメリカだといわれています。

従来の企業経営では、たとえば「営業に人材が足りないので、とりあえず経験者を3人補充するか」というふうに、人材を数で考える面がありました。つまり、人材それぞれの特性を無視して、配置などを考えてきたのです。企業に雇用される以上は、配置転換は業務命令ですので逆らえません。

たとえば、対人恐怖症なのにノルマを課した営業に配属されたり、経理を希望しているのに新しい発想を要求される企画開発部に異動を命じられたりします。もちろん、向いていない現場に適応しようと、努力を積み重ねて新たな適性を獲得できる人もいるでしょう。しかし、無理をして精神疾患にむしばまれてしまったり、退職に追い込まれたりすることもあります。それでも、企業は従業員個人の自己責任とする傾向がありました。企業の配置転換の判断が誤っていた可能性を闇に葬りがちだったのです。

従来の人事システムでは「従業員個人の努力で企業の要求に合わせる」ことが前提となっていたために、従業員にかかる負担や、人材のロスも大きかったといえます。

日本でもタレントマネジメントを導入すべき理由

特に日本国内の大企業で、従来の人材マネジメントは「自社内での育成」に主眼が置かれていました。新卒一括採用で、新人研修によってその会社の経営方針に従って行動できる人材を育ててきたわけです。揃って同じ方向を目指して、一斉に取り組めるよう、できるだけ均質的な人材育成が重視されてきました。

たしかに、こうした人材マネジメント方法によって、戦後の高度経済成長が実現できたといえるのでしょう。

高度経済成長期には、人々がどんな商品やサービスを欲しいのかがハッキリしていた時代でした。とりあえず食うに困らなくなれば、ちょっと贅沢をして「三種の神器」(テレビ・洗濯機・冷蔵庫)や「3C」(クーラー・乗用車・カラーテレビ)などの購入を目指したり、35年ローンを組んで夢のマイホームを買ったりもしました。

つまり、人々の明確な需要に応えて大量生産体制を整え、集中的に供給を行えば、「作れば売れる」ために業績も拡大できました。

もっとも、今よりも企業のコンプライアンス意識が薄く、企業の方針に従って従業員が我慢を強いられる側面もあり、利益最優先の姿勢で公害も頻発したかもしれません。それでも、まだ「企業が世の中のために何をすべきか」が明確で、経営方針を組みやすい時代が続いていました。年功序列や終身雇用など、ひとりの従業員がひとつの会社に定年まで勤め上げるのが美徳とされていました。

しかし、現代では一通りの便利な家電製品などが安価で供給されている時代であり、人口も減少し始め、価値観も多様化しています。みんなにとって共通の憧れの商品というものが消えてなくなりました。そのために、「作れば売れていた」生活必需品の需要が一気に縮小していく時代の流れに付いていけず、経営が傾く大企業も現れています。

つまり、最低限度の便利な生活で満たされた世の中では、企業にとっても共通の目標が失われつつあるのです。何を提供すれば世の中に受け入れられるのかを模索しなければならない時代には、企業内のルールで動く均質的人材ではとても対応できないとの危機感も生じ始めています。

また、年功序列を撤回して、成果主義を導入し、社内で従業員間の競争原理をはたらかせた企業も増えましたが、競争に負けた従業員の疲弊も深刻なものになっています。

バブル崩壊後の慢性的な不景気は、「構造不況」とも呼ばれることがあります。昭和の時代の古い成功モデルから脱却できず、インターネットが普及し、個の価値観が多様化した時代に、企業のシステムが適応できないために起きた不況だというのです。

しかし、従業員個人の特性を重んじるタレントマネジメントを国内の多くの企業が導入すれば、仕事に対する従業員のモチベーションや、人件費の費用対効果も引き上がり、日本経済が再び本格的に浮上する鍵になるかもしれません。

タレントマネジメント導入時に気を付けるべきこと

タレントマネジメントは、個々の従業員の特性や持ち味、技能や経験など(タレント)を、今まで以上に子細に把握し、タレントに適した人材配置を慎重に、かつ戦略的に行うことが重要となります。これによって、ひとりひとりの従業員が、会社に動かされる「コマ」ではなく、人格まで含めて尊重される感覚をおぼえて、仕事における自己肯定感を得て、モチベーションを高めることができるようになります。

会社に対して陰で愚痴や不満をいうばかりで、「いかに手抜きをするか」ばかりに気を回していた従業員が、その隠れたタレントを会社に見いだしてもらうことで、会社の強い味方となる可能性があります。こうした、人材の合理的な活用によって人件費の効率が向上し、収益性もアップするものと期待できます。

また、適正配置によって、人材の潜在能力が最大限に引き出されることによって、その企業のイノベーションが促進され、新たな事業ステージへ展開できる可能性もあります。

このようにメリットの大きなタレントマネジメントですが、従来型の人事システムよりも運用の難度が高い点には気を付けなければなりません。

まず、従業員に関する情報を人事部で集約するにあたっては、「マネジメントのために欲しい情報を集められない」課題と、「集めた情報のうち、マネジメントで必要なものをうまく引き出せない」課題などがありえます。

従業員の基本情報を収集し、管理し、適切に活用することは、タレントマネジメントの肝となる要素です。現在の部署では目立たなくても、別の部署ではハイパフォーマンスを発揮する場合がありますので、本人や周囲からのヒアリングなどで、できるだけ適正な人材配置を目指します。

従来の人事管理のやり方を思い切って捨て去り、予算をかけて、タレントマネジメントに即した新しい人事管理システムを導入することも大切です。

また、今ある従業員のタレント性を活用するだけでなく、従業員の隠れたタレント性を引き出す新たな社員教育も求められますし、必要なタレントを外部からスカウトして戦略的に採用したりすることもあります。

これも、従来型の社員教育や中途採用の延長として考えずに、タレントマネジメントに即した方法を新たに導入しなければ、改革は中途半端で終わってしまうおそれがあります。

まとめ

タレントマネジメントは、これからの企業人事で重要なキーワードになることは確実です。

たしかに、「会社は人なり」で、今までも精一杯、従業員を大切にしてきたと自負する経営者は多いでしょう。しかし、タレントマネジメントによって「会社は人なり」の標語を、実体のあるシステムとして具現化させることができます。従業員のポテンシャルを最大限に引き出し、真の意味で自社の味方に付けるマネジメントを導入してみませんか。

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