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介護休暇に関する人事の担当者の注意点

公開日2018/12/19 更新日2018/12/20

2017年には全国で要介護者が600万人を超えているとされる日本。家族が要介護者になったとして、介護休暇を取得する社会人も増えています。では、介護休暇とはどのような制度で、会社としてはどのような対応や配慮をすべきなのでしょうか。

関連記事:育児・介護休業法とは?今さら聞けない制度の概要と求められる対応

介護休暇制度とは?

介護休暇制度は、仕事と介護の両立を実現させるため、一時的に仕事から離れて介護に専念したり、これからも介護を続けるための準備活動などの目的に使ったりできる休暇をいいます。

近ごろでは、家族の介護を目的とし、介護を優先させて仕事を辞める「介護離職」が社会問題になっています。これは仕事と家族介護の両立が困難になっていることの表れです。しかし、介護離職は収入源を断って介護に専念するため、他の家族の全面的な協力が得られない限り、経済的に困窮するおそれがあるのです。

しかも、介護をすればするほど相手が衰えていくケースが大半ですので、明るい将来が見えづらくなって不安を覚えやすくなったり、やり甲斐を感じられなくなったりして、精神的に追い詰められてしまうこともあります。

そこで、介護休暇には、介護と仕事の両立を推進させることで、介護離職に追い込まれる従業員を減らし、QOL(生活の質)を高める社会的意義があるのです。

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(略称:育児・介護休業法)16条の5で、介護休暇について定められています。

介護休暇を取得できるのは「要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話を行う労働者」です。

<介護相手>

「要介護状態」と書かれていることもありますので、「要介護度2~5」の段階にある家族がいる人が対象です。「要支援度1~2」と「要介護度1」の段階にある家族がいるだけでは、介護休暇を取得できない可能性があります。

ちなみに、要支援とは、基本的な生活はほとんど自分ひとりでできるけれども、身の回りの世話について、見守りや手助けといった何らかのサポートを必要とする程度の支障がある状態を指します。

また、「要介護1」も自律的な生活は基本的にひとりでできる状態だと定義されていますので、実質的には要支援とそれほど大きく変わらない段階です。よって、要介護1も介護休暇の取得条件である「要介護状態」には含まれませんので、その点はご注意ください。

とはいえ、市町村による要介護認定をまだ受けていなくても、育児休暇をとることはできます。厚生労働省の定義によると、「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり、常時介護を必要とする状態」の家族がいれば、介護休暇取得の基準となる「要介護状態」に含めることができます。

※要介護認定を受けていない家族を介護する目的で、介護休暇を取得できるかどうかは、厚生労働省が策定する「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」を参照してください

そして、このような常時介護を必要とする状態の「2親等以内の親族」または「配偶者(内縁の父母を含む)」にあたる関係性の家族を介護する目的であれば、介護休暇を取得できます。

具体的には次の通りです。

・父母

・子

・配偶者の父母

・祖父母

・兄弟姉妹

・配偶者

<対象となる介護の内容>

また、前述の育児・介護休業法16条の5にいう「厚生労働省令で定める世話」とは、「対象家族の通院等の付添い、対象家族が介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行その他の対象家族の必要な世話」を意味しています(育児・介護休業法施行規則38条)。

世話の内容として具体的に例示されているのは、「通院等の付き添い」「介護サービスの手続き代行」ですが、「その他の対象家族の必要な世話」と、さらに広がる可能性もあります。たとえば、要介護者の代わりに買い物や家事、犬の散歩などを行うことも含まれると考えられますが、その点はケースバイケースといえるでしょう。

<条件>

さらに、この条文には「労働者」とかかれていますので、企業に雇用されている社会人一般を指すものと考えられます。労働者すべてに介護休暇の権利が与えられるわけではありませんが、一定の条件さえ満たせば、正社員だけでなく、パートやアルバイトにも介護休暇を与えなければなりません。

一定の条件とは、次の通りです。

・日雇い労働者でないこと

・期限付きの雇用者のうち、介護休暇を申し出た時点で、引き続き6ヵ月以上雇用されていること

・1週間の所定労働日数が2日を超えていること

ただし、これらの条件に当てはまらない従業員に対しても、会社が介護休暇の取得権を与えることは法的に可能です。

<取得できる介護休暇>

1年度につき、最大で5日間の介護休暇取得権を従業員に与えることができます。ただし、要介護状態の家族が2人以上いる場合には、取得できる介護休暇が最大10日間に増えます。ただし、3人以上いても上限は10日間ですのでご注意ください。

また、介護休暇は半日(1日8時間労働であれば、4時間)単位で取得することもできます。よって、ちょっとした買い物のために1日の休暇を取ることはなく、必要なぶんだけを効率的・分散的に取得することができます。

介護休業制度との違い

介護休暇とよく似ているのが、1字違いの「介護休業」です。

もちろん、家族の介護を目的として、仕事を一時的に休むことを認めることによって、介護離職を防止するという制度趣旨は共通しています。また、取得の対象者や条件などもほぼ共通しています。

最大の違いは、取得できる日数です。介護休暇では最大で1年あたり10日間ですが、介護休業は、要介護状態の家族1人あたり通算93日間です。その93日間を最大3回まで分割して取得することができますが、介護休暇と違い、1年経ったらまた取得できる日数が増える性質のものではありません。

また、介護休業には給付金が支給されるため、実質的な有給休暇となりますが、介護休暇は無休です。その一方で、介護休暇を取得するための申請手続きに、書面の作成や提出といった厳格なものは義務づけられておらず、口頭で申請することもできます。

人事担当者の対応内容

まず行わなければならないのは、従業員が介護休暇を取得するにあたっての障害となりうる要素をできるだけ排除していくことです。

介護休暇という制度が存在することを、従業員に周知するよう努めるようにしましょう。間違っても、介護休暇を取れば足りるのに介護離職をしようとする従業員が出てこないようにします。介護保険制度のしくみも含めて、介護と仕事の両立が図れるよう、要介護家族がいる従業員が負担を抱えすぎないよう積極的にサポートしたいところです。

また、介護休暇を取得後に、その従業員が職場で居心地が悪くならないよう、職場環境を整備することも、会社の従業な役割です。

そのためには、介護休暇を取得した従業員がいる部署に対して、その従業員に文句を言ったり無視をしたりする居心地を悪くする言動を行わないよう、重点的に注意を喚起しておく必要があります。特に繁忙期の介護休暇取得においては、嫌がらせなどが起きやすいので要注意です。また、一時的な業務引き継ぎが必要であれば、前もって行うよう、こちらも注意喚起していきましょう。

人事としても、介護休暇の取得が多いことを理由として、その従業員にとって不利益な配置転換や待遇変更などを行うことは厳禁となります。

まとめ

介護休暇は、家族介護と仕事の両立を実現させ、介護離職による悲劇を防止するために必要な制度です。いくつかの条件がありますが、口頭での申請が可能な点など、取得のための手続きは簡略化されています。ただ、介護休暇の取得によって、従業員が不利に扱われたりしないよう、会社は各従業員に周知を行い、注意を喚起する必要があります。

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