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令和元年度の税制改正のうち、法人税関係法令の概要が公表されました。注目すべきは、研究開発税制の見直しと、中小企業対策としての、設備投資を後押しする税制支援です。経理担当者が押さえておくべきポイントをピックアップしました。
今回の税制改正のうち、法人税関係法令での注目ポイントは、「研究開発税制」が見直されたことです。
研究開発は、企業の持続的な成長を支える要素の一つで、企業の研究開発への意欲を高める狙いがあるようです。これまでは、ハイレベルな研究開発については控除率の割増措置が講じられていましたが、高水準型を廃止し、試験研究費の割合に応じた総額型の税額控除率となります。
たとえば、ベンチャー企業の研究開発費の限度割合は、これまでの25%から40%、オープン・イノベーション型の特別試験研究費限度割合の対象範囲も、5%から10%に引き上げられたことになります。
地域経済、そして日本の経済を支えているのが中小企業ですが、いま、中小企業の前には深刻な人手不足という問題が立ちはだかっています。
人手不足により倒産、あるいは廃業するという中小企業も決して少なくはありません。そのため、中小企業向けの経営支援策が必要となりますが、今回の税制改正では、中小企業者の法人税の軽減税率の特例制度、一定の設備投資に対し30%の特別償却、または7%の税額控除、経営力向上計画による設備投資に対する即時償却、または10%税額控除が、2年延期されることになりました。
中小企業を苦しめているのは、人手不足だけではありません。ここ数年、台風や大雨、地震などの自然災害が多発し、企業の生産活動にも大きな影響を及ぼしています。
その対策として、災害への事前対策強化として「中小企業等経営強化法」が改正となり、事業用として「特定事業継続力強化設備等」を取得した設備の取得価額の20%相当額が、特別償却の適用となります。
適用となる対象法人や、適用となる設備については、「法人税関係法令の改正の概要」に詳しく載っていますので確認しましょう。「法人税関係法令の改正の概要」は、国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
この改正では、中小企業への優遇措置が多く盛り込まれていますが、注意が必要なのは、「中小企業」の範囲についても見直しが行われたことです。
中小企業者の定義は、細かくいろいろと定められていますが、大まかにいえば資本金の額、または出資金額が1億円以下の法人で、常時使用する従業員数1,000人以下の法人が、中小企業者となります。
つまり、これまでよりも“中小企業者”の範囲が狭くなり、場合によっては、中小企業向けの優遇措置の適用対象外となることもあります。
中小企業にとっては、税負担が軽減されることになる今回の税制改正ですが、優遇措置を受けるためには、まず、“中小企業者”という枠内に入っているかどうかを確認する必要があります。
税制優遇を受ける条件が整っているのであれば、大いに利用して、強固な財務基盤をつくりあげましょう。その点が、経理・財務担当者が力を発揮する場所といえるのではないでしょうか。
※本記事の内容について参考にする際は、念のため関連省庁にご確認ください
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