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世界的な人権保護の動きの中、LGBTは日本国内でも認知度が高まりつつあります。
法整備に合わせて企業はフレンドリー化を推し進めていますが、従業員管理・育成や新規雇用の分野を担う人事にはどのようなことができるのでしょうか。
LGBTに関して明言されている「セクハラ指針」
平成27年、電通ダイバーシティ・ラボが20~59歳の約7万人を対象に行った調査では、7.6%がLGBTに該当しているという結果が報告されました。他にも平成28年、株式会社LGBT総合研究所が20~59歳の約10万人を対象に行った調査でも、LGBTに該当する人が約5.9%、その他のセクシュアル・マイノリティに該当する人が約2.1%で、合計約8.0%という結果が報告されています。つまり、12~14人に1人はLGBT(もしくはセクシュアル・マイノリティ)に該当する人がいるという計算になり、非常に多くの会社でLGBTの人々と関わり合う可能性が高いことが分かります。
世界的なLGBT人権保護の動きを受け、平成28年、日本国内でもセクハラ指針の改正が発表されました。
セクハラが同性に対するものも含まれるという内容に加え、「被害を受けた者の性的指向又は性自認にかかわらず、当該者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントも、本指針の対象となる」と明言されています。
これを受け、企業がLGBTフレンドリー化を進める中、人事は法的観点からと人道的観点から、LGBTに関わる社内整備等を進めなければなりません。実際に人事は、どのようにしてLGBTフレンドリー化を進めればよいのでしょうか。
人事ができるLGBTフレンドリー化
社内規定や研修制度に関してなど、人事にはできること、やるべきことが多くあります。そのうちのいくつか詳しくご紹介しましょう。
【LGBT研修制度の確立】
人事に所属する従業員は全員、他にも各セクションリーダーや時には経営幹部など、部下を統率する立場の従業員に、LGBTに関する研修や勉強会を行う制度を作ります。また、全ての従業員を対象にLGBT研修希望者を募るなど、会社全体の取組みとして従業員全員が認識できる環境づくりを徹底します。
【アライの配置・相談窓口の設置】
人事にアライを配置することは必須と言っていいほど優先的事項です。アライのいる相談窓口があることでLGBTの人々も相談がしやすくなり、メンタルケアや離職防止にもつながります。また、各セクションにアライを配置することも有効で、それがセクションリーダーであるほどより有効であると言えます。
※アライ:LGBTの人々の活動を支持し、支援する人々のこと
【定期的な意識調査の実施】
メンタル面での不和が起きやすいLGBT差別問題などは、全ての従業員が自ら相談できるかと言うと、難しいのが現状です。氏名を伏せて回答できる意識調査など、水面下に潜む問題を洗い出し、早期解決に向けた動きができると職場環境の改善が可能になり、LGBTフレンドリー化にもつながります。
【ダイバーシティ推進部設立】
社内のダイバーシティを推進するために、独立した部門を立ち上げるのも有効です。これには女性活躍推進や外国人雇用なども含まれ、ダイバーシティに関する情報収集や法改正の適用、社内制度改革、CSRなどダイバーシティに特化した業務が可能になります。
【社内規定の見直し】
法的なハラスメントなどの規定を設けている会社は多いと思いますが、LGBTに関する独自の規定を見直していくことも重要です。国の法改正によって社内規定を改正していくのではなく、各会社の判断によりLGBTの人々にも優しい会社でいられるような社内規定に見直していくことができるようになると、真のLGBTフレンドリー企業と呼べると言えます。
【福利厚生の見直し】
国に婚姻関係と認められないが故、会社の既婚従業員向けの福利厚生が受けられないLGBTの人々が多く存在します。会社の福利厚生に関する規定は法に拘束されていない部分も多く、会社独自で決定できるものも多数あります。社内のダイバーシティに向けた福利厚生の見直しも重要課題と言えます。
【雇用時の配慮】
採用の際、応募者の個人情報取得に関しても配慮が必要です。これまで個人情報のひとつである「性別」を記入する際、「男性」「女性」の二種類しか用意されていませんでした。LGBTの中の「トランスジェンダー」(こころと体の性の不一致)に配慮し、男性と女性以外の「その他」の項目を設置する会社が増えつつあるようです。こういった配慮も取組みのひとつとして挙げられるでしょう。
【LGBTフレンドリー企業PR】
新規雇用の際PRの一環として、LGBTフレンドリーに関する取組みを紹介するのも有効な手段です。就職活動をしている有能な、しかし不安を抱いているLGBTの方に安心して応募してもらうことができ、未来のダイバーシティにつながります。
人事は、会社が成り立つ上で必須である「人」に対して、さまざま取組みを行うことが可能です。従業員のみなさんが安心して働けるよう、そして会社が成長し発展していけるよう、今できることから是非取り組んでみてください。
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