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国内外の経営・財務に関する最先端の概念や手法を入手して、調査・研究を行っている一般社団法人日本CFO協会(以下、日本CFO協会)。
日本CFO協会では、昨今RPAをはじめとしたデジタルツールの検討や試験的な運用を始めているケースが増えていることを受け、AI・RPAに関する最先端の情報提供、活用方法を勉強する場として、一般社団法人 日本RPA協会(代表理事:大角暢之)と、AI・ロボティクス部会を立ち上げた。
今回は、多くの企業で実用化され始めたAI・RPAに関して、日本CFO協会の行っている取り組みを同協会副理事の谷口宏氏に伺った。
RPAが及ぼす今後の影響
RPAは、これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業を、人間の補完として業務を遂行できることから、仮想知的労働者(Digital Labor)と呼ばれている。2025年までに全世界で1億人以上の知的労働者、もしくは1/3の仕事がRPAに置き換わると言われているが、特に「経理部・財務部は、もともと最小限の人数で業務を行い、人間がやらなくても良い作業まで行っている企業が多いので、RPAを取り入れることのメリットが圧倒的に多い」と、谷口氏は云う。
実態を見てみても、RPA導入を主導している社内部門では、財務経理部門が最も多く(図1参照)、RPAを継続利用するにあたって所管する部門としては、「業務部門」が過半数を占めており(図2参照)、ユーザ部門自らRPA導入を進めることで、働き方改革や新しい付加価値創出を業務部門が主導している姿が伺える。
更に、RPAに期待する効果に挙げられるものとして、「エラー/オペレーションミス削減」「スピードアップ」などが挙がっている。(図3参照)
RPAへの期待の多くは、「業務品質の向上」や「既存業務時間の削減による他業務(=より高付加価値な業務)へのシフト」を志向していることが顕著に現れている。
しかし谷口氏は、「まだまだRPAを導入している企業は少なく、導入検討の段階や、情報取集しか行っていない企業が多い状況であり、小さな作業からでも実際のRPAの導入を行い、知識を付けていかないと、本格的にRPA時代になった際にそのような人材、企業から淘汰されていく事になるだろう。老舗企業ほどRPAを積極的に導入していく必要がある。」とも語った。
近年のRPA取組状況
近年、様々なところでRPAという言葉を聞くことが多くなったが、RPAの取り組み状況(図4)を見ても、本格的に導入済みと回答している企業が10%と、まだまだ多いとは言えない。
谷口氏によると、「日本では元々大手金融機関から導入が始まったRPAだが、人員削減というリストラに繋がるようなイメージや、導入コストの高さ、面倒さからあまり普及してこなかった。しかし人手不足と言われている現代では、人を増やすことよりも、業務を自動化させることにより、一人一人の業務負担を減らし、無駄な業務はRPAに任せていく事が大事。」とのことだ。
実際にRPAソフトウェアの選定理由を聞いてみると、やはりRPA製品の特長である「導入コスト」「使いやすさ」が半数以上を占めており(図5参照)、その点が解消されないとRPA導入の足かせになってしまうことがうかがえる。
なぜ日本ではRPA導入企業が少ないのか
RPAの導入が進まない要因として、導入コストや導入時の面倒さ以外に、谷口氏は「企業はRPAに関する知識・情報取集が少ない」点を挙げる。
RPA導入において成功した点、及び失敗した点(図6参照)を見ても、失敗点を情報不足と回答した企業は多く、情報不足による導入効果の見極めが出来ていなく、本当に期待した効果が出るのかについて逡巡している企業が多いことが伺える。
更にRPA導入に当たっての懸念点(図7参照)も上記に付随して「期待効果の不達成」が最も多く挙げられている。
しかし、実際の導入を行った企業からは、RPA導入の効果(図8参照)について、4分の3が「想定した水準程度」「期待以上」と回答している。また、今後のRPA導入についての展開/展望(図9参照)に関しても、「拡張していく」という企業が7割となっており、スモールスタートからでも実際にRPAを取り入れ始めた企業には概ね順調な導入が進んでいる結果となっている。
RPA導入以降、どういった人材が必要となってくるのか
これまでRPAの導入に関しての議論をしてきたが、RPAは直接的なコスト削減というよりも作業の正確性と作業効率の向上の両立にある。つまり、RPA導入により削減した人間の工数を何に活用するのかといった将来の時間の使い方(本当に必要な業務か、改善点はまだあるのではないか等)を真剣に考える必要があるわけだ。
谷口氏も「AI・RPAによって分析をしていくのではなく、そのような分析が必要かを見極めていく人材の育成が必要であり、そのためにはどんなに小さいことでもいいから、まずAI・RPAを導入していく必要がある」と云う。
デザインをしたり、表現したりと、これからは人間にしかできない事をしっかりと理解していく必要がありそうだ。
最後に
2017年は「RPA」がバズワードとなって、日本国内に広く流布した。
この1年ほどを振り返ってみると、2016年後半から2017年前半は「RPAとは何か?何が出来るのか?」という「導入期」ではなかっただろうか。2017年後半からはPOC(技術検証)、試験導入を手掛けた企業が増えた「初期導入・試験導入期」であったと見るのも当サーベイの解釈の一つであろう。
さらに、2018年は他業種で導入ケースもさらに増え、国内ユーザ企業における知見も上積みされ、「本格導入期」というステージに入っていくのではないかと考える。実際、弊社に対する問い合わせや支援提案依頼の性格も変化しており、最初から全社展開・複数部門/グループ会社展開を見据えたプロジェクト構想が着実に増えている。
2017年、RPAは目新しいソリューションとして注目を集めたが、2018年以降はRPAが業務改革におけるある意味での一般的なツールの一つと位置づけられる日もそう遠くないかもしれない。
[調査概要]
テーマ:RPAに関する実態調査
主催:一般社団法人日本CFO協会
協力:EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社
調査対象:日本CFO協会会員を主体とした日本企業の財務幹部
有効回答数:176件
調査方法:オンライン上でのアンケート調査
調査期間:2018年1月9日~2018年1月26日
関連URL:/news/detail/184/?url=http%3A%2F%2Fwww.cfo.jp%2Frpa%2F
(記事提供元:一般社団法人 日本CFO協会)
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