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株主総会の実施状況、イレギュラー対応例の紹介など

公開日2020/05/27 更新日2020/05/28

日本では上場企業の多くが、5月から6月にかけて株主総会を開催します。これは2月と3月に決算期を迎える企業が多いためです。ところが今、その流れに異変が生じています。

原因はもちろん、現在社会全体に大きな影響を与えているコロナウィルスです。株主総会は必然的に多くの人が、同時に一つの空間に密集した状態になります。こうした環境はウィルスに感染する機会を増やし、クラスターを引き起こす危険性もあります。

そこで各企業は工夫をこらして、コロナ対策を進めながら株主総会を開く方法を模索しています。それぞれの企業はどのようにこの困難を乗り切ろうとしているのか、その取り組みをレポートします。

経済産業省による株主総会の開催指針

現在株主総会の開催に関しては、経済産業省にも多くの問い合わせが寄せられており、同省のホームページには開催にあたっての指針が示されています。

まず株主総会の開催時期について、必ず決算後3カ月以内に開催するという規定があるわけではないため、開催時期の延期を一つの方法として提案しています。社会の現状を考慮すると、コロナ危機が終息を迎えてから改めて株主総会を開催することも合理的な選択肢だといえるでしょう。

また、オンラインシステムを使っての開催も、現実的な手段の一つとして提案されています。現在テレワークが充分に可能なIoT環境にあって、株主総会をオンラインで開催することも、充分に実現可能な選択肢だと考えられます。

ではこうした指針をもとに、各企業はどのような対策を行い、どのように株主総会を開催する予定なのか、具体的な対応について段階的に解説しましょう。

継続会の開催で対応

これまで株主総会ではほとんど利用されてこなかった方法ですが、現在「継続会」の開催が注目されています。継続会とは部分的な決議だけを通常の株主総会で行い、残りの決議を後日改めて行うことです。

通常であれば3月決算の企業の場合、その時点で株主の権利確定日を迎え、6月の株主総会で具体的な配当などが決議されます。これは株主にとって非常に重要であり、コロナウィルスの混乱でうやむやにしていい問題ではありません。

そこで企業も株主も安心できる形で株主総会を実施するためには、この継続会をどのように利用したらよいのかが問題になります。現状では主要企業は、主に2つの方法でこの難局を乗り切る予定のようです。

規模を縮小しての開催で対応

例年都内のコンベンションホールを借り切って、大規模な株主総会を開催していた大手小売店は、今回のコロナウィルス問題に対処するため、会場規模を大幅に縮小した上で、当日の来場自粛を呼び掛けています。

実際には例年の20分の1程度にまで出席者を制限し、株主総会の開催時間短縮も検討。実質的には参加者なしで開催した後、継続会を提案する予定と考えられます。

株主の議決権行使については、事前にはがきやインターネットを通じて受け付け、当日の株主総会はインターネットで配信することになるようです。質問や意見に関しては、Webサイトで対応することが予定されています。

オンライン型株主総会の開催

現在のように社会的混乱が起きている状況の中では、オンライン型株主総会(またはハイブリッド型バーチャル株主総会)の実施についても、多くの企業が前向きな取り組みを検討中のようです。

法律上では株主総会の開催場所が決まっていて、会場と株主との間で双方向のやりとりが可能であれば、株主は総会に参加していることが認められます。インターネット配信型の総会でも、事前に株主からの質問や意見を受け入れる体制が整っていれば、正当な株主総会として認められます。

ただしこのようなオンライン型株主総会では、株主が正当に議決権を行使できるかが問題になります。オンライン型では前述したように、事前に株主が議決権行使を済ませておく「参加型」と、総会当日に議決権行使に対応する「出席型」との2つのパターンが設定可能です。

どちらのパターンでもオンラインのシステムに依存する部分が大きく、実際に一度開催してみないと、その場でどんな問題が発生するかは分かりません。しかし継続会と上手に融合させることで、各企業はコロナ危機を回避しながら、新しい形の株主総会をこれから次々に実行することになるでしょう。

危機的状況下での株主総会

今回のコロナウィルス問題のように、社会的に危機的状況下にある場合には、株主総会で行われる重要な議決や、株主への配当決議、有価証券報告書の提出なども、一定期間延長することが認められています。

また金融庁からも経済産業省と同様の見解が示されており、まずコロナウィルスへの感染リスク低減を前提にして、株主総会の延期や新しい形での開催については、柔軟に対応することが法的にも容認されています。

まとめ

コロナウィルスの影響は、時期的に多くの企業の株主総会を直撃する形になりました。それでも企業活動の一環として、株主総会は必ず開催しなければなりません。

そこでそれぞれの企業が試行錯誤を繰り返す中で、オンラインを活用した実施方法が現実味を帯びてきました。その他にも独自の方法で、無事に株主総会を乗り切る企業もあると思われます。

しかし今回の取り組みが成功すれば、コロナ危機を乗り越えたその先でも、オンラインによる株主総会が社会的に認知されるかもしれません。今回の特殊な対応が、株主総会の新しい潮流を生み出す可能性は充分にあるでしょう。

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