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新型コロナウイルス感染拡大が、経済活動に大きな̠マイナス影響を及ぼしていますが、台風や地震、集中豪雨などの自然災害による被害も深刻です。そこで創設されたのが、中小企業の防災・減災を推進するための「事業継続力強化計画」の認定制度です。
「事業継続力強化計画」の認定制度は、中小企業が策定した防災・減災の事前対策に関する計画(事業継続力強化計画)を経済産業大臣が認定する制度で、認定を受けた中小企業は、税制優遇や金融支援、補助金の加点などの支援策が受けられるようになります。
中小企業において、目下の最大の課題は、緊急事態宣言によって落ち込んだ業績の回復と、従業員を守るための感染防止対策でしょう。しかし既に台風1号が発生しているように、自然災害の脅威は今年も間違いなく襲ってきます。
企業には、自然災害やテロ攻撃などの緊急事態に備え、電力やガス、水道、通信環境などのインフラ整備に加え、機械や設備などが損傷しても、早期復旧が可能な事業を継続するための対策をまとめた計画書やマニュアル「BCP=Business Continuity Plan」を用意しておくことが求められています。
緊急事態は、今回の新型コロナウイルスのように、突然発生するものです。ですから、平常時から準備しておく必要がありますが、中小企業にはBCPへの対応はハードルが高いといわれています。
しかし、この「事業継続力強化計画」の認定制度は、BCP(事業継続計画)を代替する、“簡易BCP”ともいわれていますから、制度の中身を吟味して活用することが、中小企業が生き残る道につながるといえるでしょう。
事業継続力強化計画の認定を受けると、以下に掲げた4つの支援策を受けることができるようになります。
1. 低利融資、信用保証枠の拡大等の金融支援
2. 防災・減災設備に対する税制措置
3. 補助金(ものづくり補助金等)の優先採択
4. 連携する企業や地方自治体等からの支援措置
事業継続力強化計画の計画書に記載が必要な項目は、以下に掲げた7項目です。
1. 事業継続力強化に取り組む目的の明確化
2. ハザードマップ等を活用した、自社拠点の自然災害リスク認識と被害想定策定
3. 発災時の初動対応手順(安否確認、被害の確認・発信手順等)策定
4. ヒト、モノ、カネ、情報を災害から守るための具体的な対策(自社にとって必要で、取り組みを始めることができる項目について記載)
5. 計画の推進体制(経営層のコミットメント)
6. 訓練実施、計画の見直し等、取組の実効性を確保する取組
7. 連携をして取り組む場合は連携の体制と取組、取組に向けた関係社の合意。
事業継続力強化計画の認定を受けるためには、まず事業継続力強化計画、または連携事業継続力強化計画を作成し、事業所の所在地を管轄する経済産業局に申請しなければなりません。
申請後、経済産業大臣の認定を受けると、事業継続力強化計画、または連携事業継続力強化計画に記載された設備を取得する必要があります。また、設備を取得した後には、税務申告を行う必要がありますが、税務申告の際は、対象設備の償却限度額の計算明細書の添付が求められます。
申請は、令和元年(2019)7月16日から、令和3年(2021)3月31日までの期間ですから、この期間内に、計画書作成、申請、認可、対象設備の取得と進めていかなければなりません。
申請の際に提出する書類は、中小企業庁のホームページからダウンロードできるフォーマットやチェックリストに従って作成します。“簡易BCP”といわれるように、手続きが簡素化されてはいますが、社労士や会計士、税理士などの専門家のアドバイスを受けた方がいいでしょう。
「事業継続力強化計画」の認定が得られると、金融支援や税制の優遇といった直接的なメリットだけでなく、認定ロゴマークが使用できるようになるため「BCP対策策定済」企業としてアピールすることができるようになります。企業の信用度の向上にもつながりますから、ぜひ、活用するようにしましょう。
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