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働き方改革|2018年以降の施策と企業担当が知るべき最新事例

公開日2018/07/02 更新日2019/04/23

労働力人口の慢性的な減少を受け、2016年9月、内閣に「働き方改革実現推進室」が設置されて以来、労働環境改善のためのさまざまな取り組みが行われてきました。

とはいえ「働き方改革の流れになかなか乗れずにいる…」と思っている経営者、企業担当者の方は少なくないのではないでしょうか。

これらを理解することが、労働改善の先進企業となるための第一歩です。
「働き方改革のポイント」自体は決して難しいものではありません。
世の中で働き方改革に先んじて取り組んでいる企業の事例を知ることで「自社で何をすればよいか」ヒントを見つけることができます。

今回、働き方改革の基礎知識とともに、企業として参考にしておきたい最新事例をまとめました。

また2017年10月の選挙結果を受け、働き方改革がどう推移していくのか、筆者の見解をまとめています。
ぜひ最後までご覧ください。

働き方改革とは:「一億総活躍社会」実現に向けた取り組み

働き方改革とは、一言でいえば「一億総活躍社会を実現するための改革」といえます。
一億総活躍社会とは、少子高齢化が進む中でも「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」です。
「一億総活躍」のためには、 ・労働力人口を減らさない ・その結果、人口が1億を維持できる という2つの実現が必須なわけです。
首相官邸HPからも「働き方改革の定義」を引用しておきましょう。

働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。
※引用:首相官邸HP「働き方改革の実現」

働き方改革の背景:労働力人口が想定以上に減少していること

近年、内閣が一億総活躍社会を目標に掲げた背景には「生産年齢人口が総人口を上回るペースで減少していること」が挙げられます。
労働力の主力となる生産年齢人口(15~64歳)は、想定以上のペースで減少しているためです。

次の章で詳しくみていきましょう。

総人口は2105年には4,500万人に減少の予測
まず内閣府が発表している、日本の将来人口推計をみてみましょう。

※引用:内閣府HP「人口・経済・地域社会の将来像

現在の人口増加・減少率のままでは、2050年には総人口9,000万人前後、2105年には4,500万人まで減少するといわれています。

次に、実際の働き手となる「労働力人口」の推移を見てみましょう。

労働力人口(生産年齢人口)は2060年にはピーク時の半分に
労働力人口は、第二次ベビーブームに生まれた団塊ジュニアが労働力として加わった24年前がピークでした。
平成7(1995)年には8,000万人を超えていましたが、それ以降は減少の一途をたどっています。

※引用:政府広報オンライン「少子高齢化という社会情勢の変化

国立社会保障・人口問題研究所が発表した出生中位推計の結果によれば、生産年齢人口は

  • 平成25(2013)年には8,000万人
  • 平成39(2027)年には7,000万人
  • 平成63(2051)年には5,000万人

を割り、平成72(2060)年には4,418万人となる見込みです。

実はこの傾向は90年代からすでに始まっていました。
しかし多くの企業にとっては、バブル崩壊後の物的・人的資産の縮小期間と重なっていたため、緊急の課題と捉えられることはありませんでした。
労働人口の減少が特にクローズアップされるようになったのは、景気がある程度上向いたことの裏返しとも言えます。
「このままでは、国全体の生産力低下・国力の低下は避けられない」として、内閣が本格的に「働き方改革」に乗り出したのです。

「働き方改革の大目的=労働力不足解消」の3つの対応策

労働力不足の解消には3つの対応策が考えられます。

  • 働き手を増やす(労働市場に参加していない女性や高齢者)
  • 出生率を上げて将来の働き手を増やす
  • 労働生産性を上げる

1つめは、今市場に参加していない層に働いてもらうこと、2つめは出生率を改善することなので分かりやすいと思います。
3つめの労働生産性について詳しく補足しておきます。

実は、日本の労働生産性は、OECD加盟国の中で22位/全35カ国となっています。主要7カ国の中で最下位です。
労働生産性については別の記事「労働生産性とは?混同しがちな定義と計算式をわかりやすく解説」で詳しくお話ししていますが、労働力が減少しても、国全体の生産を維持するためには労働生産性の向上が不可欠です。

生産性向上は、組織構造や風土改革、個人のスキルアップも関係しますが何と言っても「業務プロセス・制度・システム」といった仕事そのものの効率化が鍵を握っています。

ここまでの話をまとめると、労働力不足を解消し、一億総活躍社会を作るために

  • 働き手を増やす
  • 出生率の上昇
  • 労働生産性の向上

に取り組むというのが「働き方改革」の概要です。

働き方改革の具体的な3つの課題
働き方改革の大目的・概要は上記お伝えしたとおりですが、これらを実現するためには3つの課題があります。

  • 長時間労働
  • 非正規と正社員の格差
  • 高齢者の就労促進

これらが、働き方改革の最重要事項といっても良いでしょう。

ここまで出てきた、働き方改革の背景と労働力不足のための対策がややこしくなってきた方がいるかもしれませんので、関係性を図にしておきます。

では、それぞれの課題の詳しい内容を見てみましょう。

「働き方改革」で、どういった対策が検討・実施されているかもあわせてお伝えします。

課題(1)長時間労働の改善

日本の長時間労働については、2013年に国連から

  • 多くの労働者が長時間労働に従事している
  • 過労死や精神的なハラスメントによる自殺が職場で発生し続けていることを懸念する

といった内容の是正勧告がされていました。
国際的にみても日本の長時間労働は深刻で、働き盛りの30~40代の長時間労働の割合が特に多い状態です。

本来、時間外労働残業は上司の指示命令によって発生するものですが、厚生労働省が実施した調査によると「本人の意思や所属長の位置にかかわらず残業が恒常化している」という回答が正社員では50%を超えていることが分かりました。
それだけ時間外労働が 通常の働き方として常態化していることが伺えます。

そして残業や長時間労働だけでなく、転勤・配転の命令にも応じなければならない実情があります。
これを拒否すると、有期契約社員やパートとして働くことを余儀なくされることもあります。
次の項でお話しする非正規と正社員の格差も「非正規への選択肢を選びにくくする」という点で、長時間労働・正社員の負担増加にかかわっているわけです。

また長時間労働の問題は「出生率」にも影響していると考えられています。長時間労働を望まれる年齢と、出産・育児年齢が重なるためです。
女性がキャリアの中断や育児との両立の不安から出産に踏み切れなかったり、男性も育児・家事への協力がしにくいという現象につながります。

働き方改革における長時間労働の改善施策

安倍晋三首相は「モーレツ社員という考え方自体が否定される日本にしていきたい」という発言をしています。

戦後の高度経済成長期以来、働けば働くほど待遇があがっていく状況のなかで「睡眠時間が少ないことを自慢し、超多忙なことが生産的だ」といった価値観が生まれました。

しかし、終身雇用あっての「モーレツ社員」は今や時代に合わない思想です。

その前提のもと、働き方改革では以下のような取り組みを実施していくことになります。

  • 法改正による時間外労働の上限規制の導入
  • 勤務間インターバル制度導入に向けた環境整備
  • 健康で働きやすい職場環境の整備

時間外労働の法改正:36協定の見直しがポイントに

特にポイントになるのが「法改正による時間外労働の上限規制の導入」です。

日本では、フルタイム労働者の年間実労働時間は2000時間前後で20年近く横ばいとなっています。
本来であれば、1日8時間/週40時間を上限とする労働時間のためには労使協定書「36協定」が必要です。

※引用:厚生労働省「時間外労働の限度に関する基準

その延長時間にも上限基準があり、

  • 1か月45時間
  • 1年間360時間

までしか残業させてはいけない決まりです。

しかしこれには問題があり「特別条項」という条件を労使協定に加えることで、極論無制限に労働時間を延長できます。
労使合意があれば、どれだけ残業しても良い仕組みになってしまっていたのです。

この特別条項に関する法律を見直すのが働き方改革の取り組みのひとつです。残業時間の特例は

  • 1か月100時間
  • 2~6か月平均80時間

に制限されることになりました。同時に、労働基準監督署の立ち入り検査対象も増加させています。
また大企業を対象に、月50時間を超える時間外労働賃金の割増率を50%とする労働基準法の規定がすでに適用されています。

課題(2)非正規と正社員の格差是正
日本の非正規社員の待遇は、正社員の時給換算賃金の約6割にとどまります。欧州では8割ほどであることからも、非正規・正社員の格差は激しいといえます。
そして育児や介護の負担を抱える女性や高齢者が、正社員のようなある意味「制限なし」の働き方を選ぶのは限界があります。
結果的に非正規としての働き方を選ぶことになり、生産性を発揮する機会を損失しているのです。

非正規で働く方は労働者全体の約4割を占めます。この層の待遇・働き方を改善するのに、待ったなしの状況にきていることを政府も認めています。

働き方改革における非正規・正社員の格差解消の施策
働き方改革では「非正規社員の待遇改善」に向けて、以下の取り組みを挙げています。

  • 同一労働同一賃金の実効性を確保する法制度とガイドラインの整備
  • 非正規雇用労働者の正社員化などキャリアアップの推進

非正規社員の賃金を、正社員に対して6割という今の現状から、欧米並みの8割まで引き上げようと目標を掲げています。

最低賃金の引き上げも、これまでの取り組みを継続し、最低賃金1,000円を目指す意向です。

働き方改革の目玉「同一労働同一賃金」とは
労働によって、同じ付加価値をもたらす人には同じ賃金と支払うべき、という考え方が「同一労働同一賃金」です。
政府はこれを働き方改革の目玉として位置づけています。

福利厚生・教育なども含めた改革のため「同一労働・同一待遇」という表現もできるでしょう。
たとえば、非正規のベテラン社員の給与が、新卒正社員も格段に安いといった場合、是正されるべき方向で検討されています。

その目的は「将来的に非正規という枠組み自体をなくし、ライフステージにあわせた働き方を選べるようにする」ということです。

「同一労働同一賃金」に取り組む本当の理由
政府が「同一労働同一賃金」に取り組むのは経済的な理由があります。それは「デフレの解消」です。
政府は、物価上昇率2パーセントを目標に掲げていました。しかし日本では、諸外国に比べて長い間賃金が上がっていません。
賃金が上がらず、節約志向が改善されない限りデフレからの脱却は難しくなっています。
消費を促進し、インフレに向かっていくためにも、労働力の4割を占める非正規層の待遇改善は必須ということです。

課題(3)高齢者の就労促進

今の日本では、高齢者の約7割が「65歳を超えても働きたい」と考えていることが国の調査で判明しています。
しかし、現状実際に働いている高齢者は2割ほどにとどまります。

ここで「生産年齢人口の減少」の際に掲載した図を再度載せますが、生産年齢人口の減少に反比例し、老年人口は上昇していく予測で、2060年には約3,500万人前後となります。

※引用:政府広報オンライン「少子高齢化という社会情勢の変化

「非正規の格差改善」によって出産・育児・介護による女性の働き方の制限をなくしていくことに加え、現在労働市場に入っていない高齢者の労働参画も重要です。

働き方改革における高齢者の就労促進施策
働き方改革では、主に以下の2つが大事な取り組みとなります。

  • 継続雇用延長・定年延長の支援
  • 高齢者のマッチング支援

今後、これらの取り組みによって「働きたい」と考えている高齢者に就労環境を整えていく必要があります。
具体的には65歳以降の継続雇用延長や、65歳までの定年延長を行う企業等に対する支援が政府・各企業で検討されています。
また、企業における再就職受入支援や高齢者の就労マッチング支援の強化なども含まれます。

これからの人々は平均寿命が伸びるだけでなく、体力的な若さを保ったまま年を取っていきます。
今後の長寿社会では55歳以上の高齢者でさえ、キャリアの中間地点を迎えた中核戦力として位置づけられるかもしれません。
その場合、企業の課題は、継続的学習によるスキルの獲得をいかにサポートするかという点にあります。

2018年以降に向けた「働き方改革」の未来

ここまで、働き方改革の背景や目的についてお話ししてきました。

改めて、働き方改革の背景・課題をまとめた図解を載せておきます。

では、働き方改革は2018年以降、どのような動きをとっていくのでしょうか。

2017年秋の臨時国会で、働き方改革の関連法案の審議が行われる予定でしたが、与党は解散総選挙に踏み切り、第48回衆院選が投開票されました。
この関連法案は、労働基準法や労働契約法など8本の法律をまとめて改正するもので、時間でなく成果で評価する「脱時間給制度」の導入も含んでいます。
選挙の結果、自民党は単独過半数の議席を獲得し、公明党と合わせて3分の2(310議席)を上回りました。
これによって「働き方改革」の関連法案成立に弾みが付くとする見方の一方で、この選挙戦によって審議が先送りされた影響で2019年4月施行はずれ込んでしまう可能性も考えられます。

「生産性向上」だけでなく「従業員視点の働き方改革」へ
働き方改革には「生産性の向上」が不可欠であることはここまでお話しした通りです。
筆者の考えをお伝えすると、それに加えて「従業員満足度」のための働き方改革がより重要視されると考えています。

やりがいや成長が実感できる働き方を通じて

  • 従業員の充実した生活
  • より良い人生のサポート

を実現することが、今後求められていくでしょう。
その点で「ワークライフバランス」と「働き方改革」が近年近いものとして語られるのはごく自然なことです。
※ワークライフバランスについて詳しくは「ワークライフバランスとは?誤解されがちな定義と取り組み事例を解説」をご覧ください。

特に若年層は企業への帰属意識は薄くなり、雇用の流動化がますます強まると指摘されています。

  • 会社が従業員の心身リフレッシュを手助けする
  • 育児や介護などのライフサポート

といった福利厚生も、活力ある組織を作る手助けになり得ると考えています。

働き方改革導入の4つの注意点

この次の章で「働き方改革の企業好事例」をご紹介していく訳ですが、自社で取り組みを行う際に気をつけなければいけない落とし穴があります。
それは「働き方改革を精神論・形だけのもので終わらせない」ためのポイントと言っても良いでしょう。

主に

  • 要因を解消しない残業削減は形骸化しやすい
  • 現場任せの改革では、中間管理職が疲弊する
  • 「働かないことが良いこと」の危険性
  • 「やらなくて良い仕事」と「自部署がやらなくて良い仕事」を混同しない

の4点です。

これらは実際に、筆者の周りで働き方改革に取り組む経営者の何人かがはまっている落とし穴でもあります。

逆にこの注意点を押さえておけば、企業事例を参考に自社で取り組む際「現場に負荷だけがかかって、改善できずに終わる」というリスクを減らすことが出来ると思います。

(1)要因を解消しない残業削減は形骸化しやすい
2017年2月から、一部企業を対象に「プレミアムフライデー」が導入されたことは記憶に新しいでしょう。
これは「日本再興戦略2016年」の一環として、柔軟な働き方を推進するために官民合同で導入されたものです。
その他「ノー残業デー」「ムダ取り」など、さまざまなスローガンのもと残業抑制が行われています。

この動き自体は決して悪いことではありません。

しかし「残業要因を特定し、根本を取り除く」ことのない残業削減は、取り組み自体の形骸化を招きます。
残業要因自体を改善しないと、従業員は残業を申告しにくい雰囲気の一方、持っている仕事が減らないという状態になるからです。

結果、

  • 申請せずに無断・隠れて残業する
  • 仕事を自宅に持ち帰る

といった事態が起こります。
残業削減・長時間労働抑制は「生産性の向上」と切り離しては成立しません。

(2)現場任せの改革では、中間管理職が疲弊する

残業削減に取り組む一方で、企業としては売上の維持、利益の確保というミッションは無視できません。
長時間労働が発生する根本を取り除かない限り、そのしわ寄せは中間管理職・プレイングマネージャー層が一手に引き受けることになります。
働き方改革に取り組む上でも「現場主導」というと聞こえは良いのですが、中間管理職に「任せた」と丸投げすることは避けるべき事態です。
企業の働き方改革担当者や経営層において、職場単位ごとに改善方針・最低限のルールまでを定めてからバトンタッチすることが好ましいでしょう。

(3)「働かないことが良いこと」の危険性
働き方改革について誤解されがちなことは「なるべく働かないことを良しとする改革」ではないという事です。
生産性・労働の質は変わらずに、労働時間(労働量)だけを減らしていけば、長期的な国内産業は衰退してしまうでしょう。
あくまで「多用かつ柔軟な働き方の見直しによって、労働生産性を高める」ことにフォーカスすべきだと考えます。

(4)「やらなくて良い仕事」と「自部署がやらなくて良い仕事」を混同しない
これは現場において働き方改革をリードする役割の方にもぜひ知っておいていただきたいポイントです。
働き方改革の一環として「捨てる会議」「やらなくて良い仕事を探す」という取り組みがよく聞かれます。
これ自体は効果的な取り組みですが、実際「自部署・自分がやらなくて良い仕事」と捉えられることも少なくありません。
図式としては、一見部署の時間外労働や余分な仕事が整理されたように見えても「他部署にその分を押し付けただけ」という事態になります。
部署単位で働き方を見直すことは大切ですが、全社的に時間外労働の問題を解決することを忘れてはいけません。

最新版!働き方改革の実例を紹介

では最後に、筆者が厳選した「働き方改革の好事例」をご紹介します。

働き方改革のリードカンパニーが実践している主な取り組みには、以下の3つがあります。

  • 育児休暇の改善
  • 短時間勤務・フレックスタイム制度の導入
  • 在宅勤務(テレワーク)

これらの企業事例や、導入上の注意点についてより詳しく知りたい方は「働き方改革の事例を知りたい方に!具体的な取り組みが見つかるまとめ」の記事もぜひご覧ください。

各企業の取り組み事例については「働き方・休み方改善ポータルサイト」を参考にしました。

(1)育児休暇の参考事例
トヨタ紡織の取り組み

トヨタ系列企業のトヨタ紡織は、女性の活躍に重点を置いた育児・介護休職制度の充実に力を入れています。

  • 育児休職は子どもが3歳になるまで取得可能(2014年度は127名が取得)
  • 育児短時間勤務制度:事務・技術部門は子どもが8歳になるまで/技能部門では子どもが3歳になるまで利用可能
  • 配偶者の転勤などの理由で退職したメンバーを同一職務に再雇用する制度(登録制)を設けて、職場復帰を可能に

成果として、各制度の利用が

  • 育児休業制度の利用者は73名(2010年度)から127名(2014年度)
  • 育児短時間勤務制度の利用者は39名(2010年度)から72名(2014年度)

に増加しています。

東急百貨店の取り組み

東急百貨店では、育児勤務者(子どもが小学校4年生まで)の情報交換のため、定期的に懇親会を実施するという少し変わった取り組みをしています。

またグループ会社には土・日・祝日専用の保育施設があり、保育施設が稼働しにくい土・日・祝日も勤務する育児中の社員に利用を勧めています。

(2)短時間勤務制度の参考事例
育児休暇と同様に、働き方改革で多くみられる取り組みが「短時間勤務制度」です。
育児や介護にたずさわる社員を対象に、勤務時間を2~3時間、または30分単位で短縮する事例が多くあります。

現在の取り組み事例では「育児休暇から復帰した女性社員」の利用が多いのですが、今後は「両親の介護を目的とした男性社員、管理職社員の利用」も視野に入れて取り組むのがおすすめです。

ジェータックスの取り組み

育児・介護により短時間勤務を行う社員は、1日5時間あるいは6時間のコアタイム有りの「育児・介護特別フレックスタイム制(昼休憩の1時間を挟んで前後2時間をコアタイムに設定)」を導入。

通常勤務者が参加するような会議やMTGはこのコアタイム内に設定するなど、社内コミュニケーションの時間を確保しやすくし、キャリア形成を妨げないよう配慮しています。

ブラザー工業の取り組み

ブラザー工業では、選択制による柔軟な短時間勤務を可能にしています。

小学校4年生までの子どもの養育ならびに家族の介護を行う社員を対象に、1日の所定労働時間(通常7時間50分)を

  • 5時間50分
  • 6時間50分

のいずれかに短縮できる制度です。

また、後述するフレックスタイムとの併用も可能にすることで、より柔軟な勤務制度となっています。

ブラザー工業の事例に限らず、短時間勤務はフレックスタイム制と組み合わせることで、選択の幅を広げ、より多様な働き方に対応できるようにしている企業が多くあります。

(3)テレワーク(在宅勤務)
トヨタが働き方改革として率先して導入し話題になったのがテレワーク(在宅勤務)です。

勤務場所を見直す働き方改革の好事例といえます。

日本テレワーク協会によれば「ITを利用した、場所・時間にとらわれない働き方」と定義されています。

厳密には、テレワークには

  • 在宅勤務
  • モバイルワーク
  • サテライトオフィス

の3形態がありますが、主たるものは在宅勤務です。

企業にとって

  • 通勤、交通費の削減
  • 休業からのスムーズな復帰支援
  • 障がい者雇用

の点でメリットがあります。

テレワーク導入のポイントは「リスク管理」「コミュニケーションの確保」「勤怠管理」です。

在宅という環境下で、情報漏洩リスクの防止、勤怠管理を適切に行える仕組みが求められます。

企業の事例をご紹介しましょう。

ブラザー工業の取り組み

ブラザー工業では、2種類のテレワーク制度を導入しています。

ひとつは、育児や介護を行う勤続3年以上の社員を対象に、週2日までの在宅勤務制度を可能とするものです。

  • 育児や介護を行う社員の能力発揮の機会を拡大すること
  • 休職後の早期復活を促すこと
  • 復職後のキャリア停滞を避けること

を目的に掲げています。

もうひとつは、一部在宅制度です。

子どもの急病など、早退しなければならない理由によって所定労働時間勤務できなかった場合、在宅で労働した時間を通算し、会社での勤務時間に転換する制度です。

在宅勤務は社内のうち、現在30名(うち男性3名)が活用しているそうです。

まとめ

今回の記事では、筆者が考える

  • 働き方改革の背景と目的
  • 働き方改革導入の注意点
  • 参考にしたい企業事例

のすべてをお話ししました。

補足として「働き方改革」は、決して一過性のトレンドやブームではありません。
日本の産業成長・企業の発展のために、長い時間をかけて行っていくものです。

しかし、経営層や企業担当者の方からしても「政府の取り組みだから」と働き方改革を考えると、その方針に振り回されてしまいかねません。
ぜひ、今回の企業事例も参考に「自社の働き方改革で注力するポイント」を決めてみることをおすすめします。

この記事が、経営者・従業員が公私共に充実した生活を送るための助けになれば幸いです。

記事提供元:株式会社ベネフィット・ワン運営サイト「BOWGL

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