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データは整理され、検索できる状態になっていてこそ価値があります。整理されていないデータは無意味な記号や言葉の集合体であって、これを利活用するには一定の決まりに従って分類・運用することが必要です。
また、一定の決まりに従って整理されたデータは「情報」と呼ばれますが、情報はその取得から廃棄に至るまでしっかりとしたルールの下に運用されなければなりません。どのようなデータや情報であれ、粗雑に扱った結果紛失や流出を招けば企業としての信頼を大きく揺るがす事態にもなりかねないからです。
今回は、企業がさまざまなデータを扱う時代に必要なデータガバナンスについて解説していきます。
ガバナンスという言葉は、コーポレートガバナンス(企業統治)や「ガバナンスが効いていない」などという使い方で耳にした方も多いことでしょう。ガバナンスとは、もともと国家などの統治や組織などの運営、管理に対して使われてきた言葉ですが、近年は各分野で広く使われるようになってきています。
データガバナンス(data governance)とは、情報を含むデータを管理する行為全般を「統制」することを言います。データガバナンスはしばしばデータマネジメントと同意に使われますが、データガバナンスの方針に則ってデータマネジメントを実行する、と解釈するのが正しいと思われます。データガバナンスは、一般的に以下のような役割を持っています。
このようなデータガバナンスは、近年なぜ必要になってきたのでしょうか?それには大きく3つの要因があると言われています。
コンピュータが普及し始めた頃にはメインフレームやサーバーでデータ管理を行っていましたが、現在では個々のパソコンにデータが分散するようになり、より詳細な管理が必要になってきました。
AIやIoTから得られるビッグデータを経営資源として活用し、データから価値を創出するデータドリブン経営が加速しています。データを効率的に活用することで、業務効率化や売上増大につながるのがその理由です。
経営情報や個人情報の漏洩による損害は、金銭的な問題だけでなく企業の存続をも危うくする信用問題となります。重要な情報の管理には、データを扱う全員に励行させるしっかりとした運用ルールやセキュリティが必要なのです。
データガバナンスは上記のような背景で必要になってきたものですが、他にもメリットがあります。
データの管理方法を明確化することにより、重複した管理が必要なくなります。データを種類によって一元管理を行えば、ハードウェアの過剰投資などが減り管理コストの最適化が可能です。
扱うデータによっては、国や関連団体によってその管理方法や使用方法が規制されているものがあります。データの種類を明確にして管理方法を定めることで、コンプライアンス違反などのリスクを回避できます。
企業の内外に向かってデータガバナンスのポリシーを明らかにすることで、ステークホルダーの信頼を獲得できます。
データの所在や扱う権限を明確にすることで、データの扱いやすさやユーザビリティが向上します。有用なデータ(たとえば顧客の購入履歴や販売エリアごとの傾向など)を企業内で効率的に運用することで、売上増大などにつながります。
では実際には、データガバナンスはどのような方法で行うのでしょうか。企業によってそのアプローチはさまざまですが、おおよそ以下のような方法で策定・運用を行います。
自社が扱う各種データを明確にし、それらをどのような目的で収集しどのように扱うのか、経営戦略や法規制などを念頭に置いて検討します。結果は、データマネジメント戦略として広く社内外に明示します。
実際にデータを扱う体制と役割を決めていきます。一般的には以下のような役割を作り、管理責任を明確にします。
役割 | 管理責任 |
---|---|
データガバナンスオフィサー(DGO) |
企業として収集したデータの管理、活用、廃棄における総責任者。 |
データオーナー |
収集したデータの管理責任者。データの品質に責任を持つ。 |
データスチュワード |
データオーナーから受け取ったデータを、活用できる状態に準備する責任者。 |
データユーザー |
実際にデータを活用するユーザー。DGOから付与された権限によって、扱えるデータの種類と運用方法が決められている |
データマネジメント戦略をもとに詳細な運用ルールを決め、上記の各責任者の管理下で データの活用を行う。
データガバナンスはいきなり始めるのではなく、社内の理解を得ながら少しずつ進めていきましょう。頭ごなしに規則を押しつけると、データを活用する現場から無用な反発を受けることにもなりかねません。データマネジメントの必要性を根気よく社内に周知し、実効性のあるデータガバナンスを行っていきましょう。
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