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IPOに向けて管理部門が行う業務

公開日2021/06/11 更新日2021/06/12


管理部門とは、顧客と顔を合わせないバックオフィスを指し、具体的には経理部門、人事部門、法務部門などのことです。IPOの準備を進める場合、これら管理部門は重要な業務・役割を担います。今回は、IPOに向けて管理部門はどのような業務を行うのか、という点について詳しく解説しましょう。

IPOを実現する上で必要な上場審査のクリア

未上場企業が初めて株式を証券取引所に公開させることをIPO(Initial Public Offering)といいます。IPOを成し遂げることで企業には社会的信用度や知名度が上昇する、資金調達がしやすくなるなどのメリットがありますが、実際に実現するには厳格な「上場審査」のハードルをクリアすることが必要です。

上場審査には「形式要件」と「実質審査基準」とがあり、両方の条件を満たさなければ上場は認められません。

形式要件

形式要件とは、上場までに所定の数値あるいは事実の有無によって満たす必要がある最低条件のことです。証券取引所ごとに各項目の数値は異なりますが、以下の項目で要件が定められています。

  1. 株式の流通、株価形成を確保するための要件としての「上場時の株主数」や「流通株式数」、「時価総額」
  2. 企業の継続性や財政状態などの面から、上場適格性を持つための要件として「事業継続年数」や「純資産の額」、「利益額」
  3. 適正な情報開示に関する要件として「虚偽記載あるいは不適正意見等がない」や「上場会社監査事務所による監査」を受けている
  4. 株式流通における事故の防止の要件として「株式事務代行機関の設置」や「株式の譲渡制限がないこと」、「指定保管振替期間の取り扱い同意」、「上場前の公募、売り出し規制」等

実質審査基準

実質審査基準とは、上場会社にふさわしいだけの管理体制を整えている企業かどうかを審査するための基準です。形式要件のような明確な金額・数値等の基準はなく、どのような視点で審査を行うのかのみを明示する形が取られています。

例えば東京証券取引所の場合だと、「企業の継続性および収益性」「企業経営の健全性」「企業のコーポレート・ガバナンスおよび内部管理体制の有効性」「企業内容等の開示の適性性」「その他、交易または投資者保護の観点から東京証券取引所が必要と認める事項」の5項目です。

IPOに向けて管理部門が行う業務①…業務管理体制の見直し

業務管理とは、企業内における諸活動を効率的に行うため、業務のプロセスとフローをしっかりと管理することを指します。業務管理体制を見直すには、まずは現状において社内で業務管理をどのように行っているかの分析が必要です。各部署に対するヒアリングや社内書類に対するチェックを通して業務の状況を捉え、フローチャートを作成して現状の体制を可視化します。

現状の業務管理体制の現状を把握したら、各業務においてどのようなリスクがあるのかを検討します。その後は、リスクを減らして業務の適切な遂行および管理を行えるように、社内規定・マニュアルの見直しをしていきます。例えば、人事に関しては就業規則や賃金規定などの見直し、経理関係であれば経理規定や予算管理規定、原価計算規定などが対象です。

IPOに向けて管理部門が行う業務②…コンプライアンスの体制づくり

次に、法務部門などが中心となって、コンプライアンス体制を構築する必要があります。特に上場審査においては、企業が関わる各種法規制の順守の状況と、監督官庁による行政指導の現状などが重要です。また、各種法令を役員・従業員が守れる体制にあるのか、という点も上場審査では大事になってきます。

法規制への対応のあり方として特別重要になってくるのが、反社会勢力との関係の有無と、労務関係の法律の順守です。

反社会勢力との関係については、企業の株主、取引先、役員に反社会勢力が含まれていないか、企業関係者が反社会勢力への資金提供となるような関与をしていないか、という点がポイントになってきます。

労務関係の法律順守という点では、例えば労働基準法に規定されている通りの労働時間、残業時間、休日の日数などが設定されているのかどうかがポイントです。勤怠管理が整備されていない、長時間労働に関わる問題が生じているという場合、上場審査のクリアは難しくなってきます。特に、時間外労働における未払い賃金が発生している場合は、過去2年間にさかのぼって支払い義務が生じる可能性があるので、法務・人事部門が徹底的に調査・精算しておくことが大事です。

まとめ

管理部門とは顧客が直接会うことのない人事・経理・労務・法務などの部門を指します。IPOに向けた準備を進めるに当たって、これら管理部門が果たす役割は大きいです。実際にIPOを実現するために管理部門が行う業務としては、業務プロセスとフローの現状を捉えてリスクを分析し、必要に応じて社内規定・マニュアルを見直すということが挙げられます。また、コンプライアンスの体制づくりも必要です。

こうした業務を行えるだけの管理部門の人材がいない場合は、外部から新規に採用する必要も生じます。IPO経験のある管理部門人材は、IPO準備企業において高く評価され、雇用時の待遇も良好になるのが通例です。


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