公開日 /-create_datetime-/
2020年6月、大企業に対して施行された労働施策総合推進法、通称「パワハラ防止法」は、2022年4月に中小企業にも範囲が広がり、適用されることになりました。
それぞれの企業で対策や体制整備がされるなか、なぜ、パワハラはなくならないのでしょうか?
組織内体制から視野を広げたリスクマネジメントを考えてみましょう。
目次【本記事の内容】
従業員に対してハラスメントの理解を深めるために、事業主の方針の明確化、周知・啓発を行い、社内研修や外部講習会に参加する機会や相談窓口を設ける企業は多くなってきました。「明確にしたから行動が変わる」「研修をしたから知識がある」「相談窓口があれば早急な解決ができる」と言いたいところですが、被害者の我慢によって、大きな問題にならないだけでハラスメントは実在しているのでしょう。
令和2年に厚生労働省が実施した「職場のハラスメントに関する実態調査*」の「ハラスメントの予防・解決のための取り組みを進めたことによる副次的効果」の結果は、「職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くなる」の割合(35.9%)が最も高く、ついで「管理職の意識の変化によって職場環境が変わる」の割合(32.4%)が高かった一方で、30.3%が「特にない」と回答しています。意識的か否かを問わず、いわゆるハラスメントの加害者の意識・行動の変容には時間がかかり、たとえ、100%だと胸を張れるハラスメント防止体制を整えていても、訴訟に発展するリスクは拭えないと言えるでしょう。
注目を集めているパワハラ保険とは、敗訴した際の損害賠償や慰謝料、訴訟費用などを補償するもので、損保会社が販売する「雇用慣行賠償責任保険」のことです。本タイプの保険は、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険などが扱っています。パワハラ保険は企業の任意加入ですが、こちらの4社の調査によると、2022年3月末時点の契約の合計件数は、約9万件で4年前に比べて倍増しており、リスクマネジメントの一つとして、パワハラ保険の活用拡大がわかります。保険料は企業規模に応じ、年間5万円から数10万円程度のようです。
訴訟は個人に対してだけではなく、企業に対しても起きることが考えられます。企業の経営状況には関係なく、相手の気持ち次第で起こると言っても過言ではありません。
その際にかかる弁護士費用や慰謝料などの賠償金に備えた経営が不安な場合、保険はセーフティネットになり得ます。
訴訟というだけでも、企業イメージの低下が懸念されますが、対応を誤ると、顧客との契約や売り上げに影響を及ぼす恐れもあります。ある企業では、訴訟問題が起きた際、相談窓口には、自社への信頼喪失、メンタルダウン、家族への悪影響など相談件数が増え、最終的に退職を選んだというケースもありました。
日本損害保険協会が実施した「中小企業のリスク意識・対策実態調査2021*」では、ハラスメントによる従業員からの訴訟リスクに対し、「対策や対処をしていない」と答えた企業は52.5%に上っています。保険加入が増加しているとはいえ、全体をみると対策を講じていない企業が多いことがわかります。この先を見据え、企業としてどのようにあるべきなのか。二次リスク、三次リスクを踏まえた経営課題として、パワハラ保険を検討してみるのも一つの手かもしれません。
では、実際にはどのような訴訟が起こっているのでしょうか。
厚生労働省のサイト「明るい職場応援団」では、ハラスメントに関する裁判例を目的に応じ、検索できるようになっています。裁判例に対して「訴訟の結果」「事案の概要」「判決のポイント」の項目に分けて説明しており、「弁護士によるコメント」もあるため、わかりやすく学ぶことができます。
たとえば、以下は賠償金の支払いが命じられたケースの例になります。
・高等学校の教諭に対してなされた、授業・担任等の仕事外し、職員室内での隔離、別の部屋への隔離、自宅研修等の命令が違法であるとして、600万円の損害賠償が認められた事案
会社の責任が問われた裁判例、パワハラと認められなかった裁判例、セクハラに関する事例などについても挙げられています。どのような行為について、企業や加害者の責任が問われているのかを具体的に知ることで、従業員はイメージがわきやすくなり、危機管理には有意義といえます。従業員間で共有し、業務管理、改善指導、関係構築において、どういった注意を払えばよいのかを考える機会として参考にしてみてください。
人が二人以上いれば、そこに関係性が生まれます。企業という組織においては、価値観や考え方といった人間性に加え、「立場(役職・役割)」と「評価(経験・職能)」が絡まり、関係性が歪曲することがあるでしょう。ハラスメント防止には、まだまだできることがあるかもしれません。企業のリスクマネジメント策の視野を広げておきましょう。
失敗しない!法対応と業務効率化を実現する経費精算システム選び方ガイド【4社の比較表付き】
効果的なメンタルヘルス対策とは?~離職・休職につながるメンタルヘルス不調と対策の実態~
管理部門職種別 面接質問集【MS-Japan】
OFFICE DE YASAI 総務様必見!お役立ち資料
オフィスステーション導入事例集
企業のリスクマネジメントを一括サポートする新プラットフォームが登場
開催直前企画!「Manegy ランスタWEEK for 経理&法務」の全てをご紹介!
副業制度がある会社は約3割で前回調査より増加傾向。一方、副業人材を活用している企業は1割未満
25卒生の“企業選びの軸”は? 4割超が「DXの取り組み」を重視、“テレワークの採用”がポイントか
ランスタ開催直前告知!成長企業の経理担当者なら押さえておきたいウェビナーは…?
未来への備え:物流業界の2024年問題と企業の対策
5社比較表付き!電子帳簿保存システム選び方ガイド
組織を成功に導くサーベイツールの選び方
株式会社I-ne導入事例~月間の受注データ件数は20万件以上!『 Victory-ONE【決済管理】』の導入で 業務効率化と属人化の解消を実現~
人手不足解消の打ち手 「多様な」人材活用チェックポイント 人事給与アウトソーシングサービスを提供する三菱総研DCSが解説!
【管理部門・士業の実態調査】2024年度の給与アップと人事評価の実態とは?
社内不正被害、人材の流動性が高い4月から6月は要注意 被害の6割近くは「情報持ち出し」
学生の就職観は「楽しく働きたい」「ノルマがきついのは嫌!」~企業が採用活動をするときのポイント~
【2024年度の賃金動向】企業の約6割が“賃上げ見込み”過去最高記録を更新へ。半数超が「ベースアップ」を実施予定
経費精算システムで経理業務を劇的効率化! おすすめサービスも厳選紹介
公開日 /-create_datetime-/