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8月にNTTが本社機能の一部を群馬県に移転する計画を発表しました。
「大阪王将」ブランドで冷凍ギョーザなどを生産販売するイートアンドフーズも工場を群馬県に建設中など、群馬県に大手企業の進出が相次ぎ、大きな話題となっています。
さて、これらの企業が進出先に群馬県を選んだ理由とはなんでしょうか。
NTTは、本社組織の一部を群馬県高崎市と京都市に分散する計画を発表しました。移転先に群馬県を選んだのは「災害が少ない」という理由です。
近年、集中豪雨や土砂災害による大きな被害が頻繁に発生しているだけに、被災しても業務がストップしないように、本社組織の分散配置で業務を継続できるようにするという計画です。
イートアンドフーズが、群馬県板倉町に第三工場建設に踏み切ったのも、「地震被害のリスクが比較的低く、風水害などの発生件数も歴史的に少ない」という理由です。
では、群馬県は本当に災害リスクが低いのでしょうか。群馬県は、震度4以上の地震発生回数(1919年1月~2022年3月)を、近隣県と比較したマップを作成しています。それによると、群馬県は73回、栃木県が238回、埼玉県が161回、長野県が187回、新潟県が159回と、明らかに地震発生回数は近隣県より少ないことがわかります。
また、国土交通省の水害統計調査によると、過去10年間(2011~20)の水害の被害額は群馬県が約559億円で、関東の他の6都県のほぼ半分以下となっています。
群馬県は、災害リスクが低いデータを示しながら企業誘致を推し進めています。最近の企業誘致で注目されているのが、アクセスの利便性に加えて災害の少なさです。群馬県が、その両方を満たしていることが、進出企業に高く評価されているようです。
ところで、群馬県といえば、ブランド総合研究所の「住民による都道府県魅力度ランキング」で下位にランクされたことに、山本一太知事が「ランキングの根拠が不明確で県民を侮辱している。法的措置も検討している」と激怒していたことが思い出されます。
ちなみに、2021年は魅力度15.3で44位、2022年は魅力度42.4で30位でした。2019年に群馬県知事に就任し、県の魅力を懸命にアピールしてきた知事にとっては、「群馬に魅力がないということか」と激怒したくなる気持ちもわからなくはありません。
でも、県民の反応はというと、「器が小さい」「法的措置まで持ち出すのは言い過ぎ」「県民から見ても群馬は魅力ない。でも、住みよいのとは別次元」と、ランキングの順位にはこだわらずに、冷静に受け止めていた印象でした。
さて、魅力度ランキングでは下位に甘んじていた群馬県ですが、進出企業にとっては、災害リスクが低いという、大きな魅力があったことになります。
近年、気候変動の影響なのか、大型台風や集中豪雨による被害が頻発するようになっています。しかも、その規模が年々大きくなり、事業活動の継続を脅かすような自然災害も増えています。
それだけに、災害の少ない地域を進出先に選ぶことは、危機管理上からも重要です。新工場建設や、本社機能の移転を計画中の企業の担当者には、利便性と災害対策の両面を考えて進出先を検討することが求められるのではないでしょうか。
都道府県の魅力といっても、住民と旅行者では受け止め方が違います。また工場や本社移転に関しても、業種によって求める要素が違います。住民の魅力度では下位となった群馬県ですが、進出する企業にとっては、魅力あふれる地域だったということのようです。
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