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11月17日、OpenAIによる「サム・アルトマン氏退任」の発表が世間を賑わせました。結果としてアルトマン氏はOpenAIに復帰しましたが、一体何があったのでしょうか。今回は、アルトマン氏退任(事実上の解任)の経緯や、ポイントを解説します。
目次【本記事の内容】
2023年11月17日、OpenAIの共同創設者であるサム・アルトマン氏がCEOの職を解任されるというニュースが流れました。同時に、アルトマン氏と同じ共同創業者で、会長兼社長であるグレッグ・ブロックマン氏も退任すると発表されています。
両氏の退任に対して、動きをみせたのがMicrosoftです。11月19日にMicrosoftのCEOであるサティア・ナデラ氏は、X(Twitter)に「アルトマン氏とブロックマン氏が高度なAI研究チームを率いることになった」とポストしました。
Microsoftは、OpenAIの主要な投資者であり、技術的なパートナーシップももっています。世間では「アルトマン氏とブロックマン氏を中心として、新しいイノベーティブな企業ができるのではないか」と注目が集まりました。
しかしこの計画は、11月21日、OpenAIの「アルトマン氏がCEO復帰」(ブロックマン氏も復帰)の発表によって白紙になります。アルトマン氏は、解任騒動から4日後に、結局OpenAIに戻ることになりました。
OpenAIは、人工知能(AI)の研究・開発に特化した組織で、2015年に設立されました。非営利法人OpenAI, Inc.や、傘下の非営利法人OpenAI Global, LLCなどで構成されています。OpenAIは、AI技術の安全な開発と普及を目指しており、とくに「フレンドリーAI」(人類にとって有益で安全なAI)に重点を置いています。
OpenAIの共同設立者は、イーロン・マスク氏、サム・アルトマン氏、グレッグ・ブロックマン氏など、実業界の著名人たちです。フレンドリーAIの研究を推進し、その成果を広く共有することで、人類全体の利益に貢献するのを目的とした組織です。
組織のトップレベルでの人事変更は、経営方針の違いや組織の戦略的再編、個人的な理由などさまざまな要因によって引き起こされます。OpenAIが掲載したブログ記事によれば、アルトマン氏の解任の原因は以下の通りです。
・原文:~he was not consistently candid in his communications with the board, hindering its ability to exercise its responsibilities.
・翻訳:〜同氏は取締役会とのコミュニケーションにおいて一貫して率直さを欠き、取締役会の責任遂行を妨げているとの結論に達した。
(引用:OpenAI announces leadership transition)
「率直さを欠き」というのが具体的に何を示すのかは明らかになっていませんが、「OpenAIの今後の方向性について、認識の違いが生じた」という見方があります。
OpenAIは、非営利法人で構成されており、ビジネスを広げるというよりも「研究」の意味合いが強い組織です。AIの安全性よりも、OpenAIの拡大を重視していたアルトマン氏に、他の共同設立者が反発したのではないか、ともいわれています。
また今回の問題のポイントとして、OpenAIの他の人々が「アルトマン氏の解任に反発していた」という事実もあります。Microsoftのサティア・ナデラ氏の発表でみられた、「高度なAI研究チームを率いることになった」というのは、アルトマン氏やブロックマン氏だけでなく、OpenAIで活動している複数人も含まれていたようです。
MicrosoftはOpenAIの主要な投資者ですが、同社の躍進もまた、OpenAIの技術に支えられています。MicrosoftとOpenAIの関係を考えると、OpenAIの人材が多く流出してしまうと、やや事態が複雑になるのは間違いありません。世間では「Microsoftが漁夫の利を得ようとした」とも囁かれていますが、パートナーシップの関係がこじれ、それこそ「誰も得しない結果」になっていた可能性もあります。
サム・アルトマン氏の退任騒動は、結局のところ4日程度で収束することになりました。どのようなやり取りがあったにせよ、アルトマン氏やブロックマン氏がOpenAIに戻ったのは事実のようです。
OpenAIには多くの共同設立者がいるため、どうしてもそれぞれの価値観のぶつかり合いが発生してしまいます。とくに世界的な影響力の強い組織では、ちょっとした内紛が、世間を巻き込むような事態に発展してしまうでしょう。
OpenAIは現状として「研究組織」としての側面が強いため、今後もビジネスを大きく拡大するよりは、「AIの安全性を考慮しつつ人間社会に貢献できるような成果を出し続ける」という方向性で固まっていくと思われます。
AI(とくに生成AI)をめぐる問題は多岐にわたっており、議論も活発化しています。今後、OpenAIがどのように舵を切っていくのか注目です。
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