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「年収の壁」とは? 企業の人手不足に関わる“6つの壁”と対策を徹底解説!

公開日2024/03/25 更新日2024/03/23


多くの企業にとって大きな課題のひとつである「人手不足」問題。新たな人材を雇用するだけでなく、すでに在籍している従業員への対策も重要です。その一環として取り組まなければならないのが、「年収の壁」による“働き控え”を解消することです。


本記事では「年収の壁」や、“働き控え”への対策について解説します。
※本記事では扶養に関する説明において、「扶養者(夫)」「被扶養者(妻)」と記載しておりますが、これはあくまで一例です。家庭により、夫が被扶養者で妻が扶養者の場合もあります。

「年収の壁」とは?

会社員の配偶者などで一定の収入がない人は、被扶養者(第3号被保険者)となり、住民税や社会保険料を自分で負担しません。こうした人たちがパートやアルバイトなどで働いてその収入が一定額を超えると、住民税や社会保険料がかかるほか、所得税を支払うことにもなり、その結果、手取り収入が減少することがあります。また、自身の収入だけでなく、配偶者の税金(所得税や住民税)が増える場合もあります。


そのため、手取り収入の減少や配偶者の増税を避けるため、あえて“働き控え”をして年収を抑えようと意識する金額のボーダーラインが「年収の壁」です。
なお、年収の壁には税に関わる壁と社会保険に関わる壁があります(一部、両方に関わる壁もあり)。以下、それぞれの壁を詳しく見ていきましょう。

100万円の壁…「住民税の壁」

年収100万円は、住民税がかかるか否かの分かれ道となる限度額です。 全ての給与所得者の収入には、55万円の給与所得控除(※ 103万円の壁で説明)と、43万円の住民税の基礎控除額が適用されます。同時に、住民税(所得割)には「非課税限度額」というものがあり、給与所得控除を除いた金額が一定額以下なら住民税は課税されません。この非課税限度額は、住んでいる自治体によって異なりますが、多くは45万円となっています。つまり、式で表すと以下のようになります。


55万円(給与所得控除)+45万円(非課税限度額)=100万円 →住民税がかからない最高限度額(給与所得者の場合)


ただし、居住市区町村によっては住民税(均等割)がかかる場合があるので、限度額に近い人は念のため確認するのが望ましいでしょう。

103万円の壁…「所得税の壁」

年収103万円は、所得税がかかるか否かの分かれ道となる限度額です。 所得税は、所得に応じて支払う税金です。所得税を算出する際は、まず1年間の収入から「基礎控除」と「給与所得控除」を引き、残った金額に所得税率を掛けて出た数字が税金額となります。


・所得税の基礎控除…48万円(合計所得金額が2,400万円以下の場合。所得を得ている全ての人が対象となる控除)
・給与所得控除(※)…55万円(年収が162万5,000円までの場合で、55万円は最低額。年収額に応じて一定額を収入から差し引ける控除で、年収によって金額は異なる)
式で表すと以下のようになります。


基礎控除額48万円+給与所得控除額55万円=103万円 → 給与所得者が控除できる最低限の所得控除額


上記のとおり、給与所得者が控除できる最低限の所得控除額=103万円であり、年収が103万円を超えると所得税がかかるのです。


また、「103万円の壁」は、扶養者(夫)が受けられる「配偶者控除」にも関わります。扶養者(夫)の合計所得金額が1,000万円以下で、かつ、被扶養者(妻)の給与が103万円以下の場合、配偶者控除が適用されて税金が安くなります。ただし、妻の年収が103万円を超えて150万円以下であれば「配偶者特別控除」が適用になります(後述)。

106万円の壁…「社会保険の壁 その1」

社会保険に関わる年収の壁は2つあります。「106万の壁」はその一つで、勤務先企業の従業員数(=厚生年金保険被保険者数)が101人以上の場合、こちらに該当します。


その他のものも含めて、以下の5つの条件を全て満たすと、勤務先企業の社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入しなければなりません。


・従業員数(=厚生年金保険被保険者数)が101人以上の企業で働いている
 →ただし、2024年10月からは、厚生年金保険被保険者数51人以上に変更予定
・週の所定労働時間が20時間以上
・雇用期間が継続して2か月超見込まれる
・賃金が月額8万8,000円以上(年106万円以上)
・学生ではない

130万円の壁…「社会保険の壁 その2」

社会保険に関わるもう一つの壁が「130万の壁」の壁です。 「106万円の壁」に該当しない人でも、年収が130万円を超えると配偶者である扶養者(夫)の社会保険の扶養対象外となり、自分で社会保険に加入しなければなりません。


労働時間および日数が勤務先企業の正社員の4分の3以上であれば、会社の社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入します。一方、週の労働時間が20時間未満であれば、居住している市区町村の国民健康保険と国民年金に加入します。

150万円の壁…「配偶者特別控除額を満額受けられる壁」

「150万円の壁」は、扶養者(夫)が配偶者特別控除を満額(38万円)を受けるための、被扶養者(妻)の年収上限です。
配偶者特別控除を受けると、扶養者(夫)の税金が安くなります。


配偶者特別控除を満額(38万円)受けるには、夫の所得が900万円以下(自営業者は収入から経費を引いた額、給与所得者給与収入1095万円以下)で、妻の年収が150万円以下である必要があります。なお、配偶者特別控除は、扶養者(夫)の所得が900万円を超える場合や、被扶養者(妻)の年収が150万円を超える場合、その額に応じて控除額が段階的に下がります。

201万円の壁…「配偶者特別控除額がゼロになる壁」

「150万円の壁」で説明した配偶者特別控除がゼロ=適用されないのが、被扶養者(妻)の年収が201万円超のときです。
201万円を超えると、「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」、そして扶養者(夫)の税金に関わる配偶者控除と配偶者特別控除の全ての恩恵から外れます。

国による「年収の壁」への支援とは?

2023年10月から、政府による「年収の壁・支援強化パッケージ」が始動しました。これは、パートやアルバイトで働く人が社会保険に関わる「年収の壁」を意識せずに働けるようにするために、当面の対応として行なわれる対策です。


前述のとおり、年収106万円または年収130万円を超えて働くと自身が社会保険に加入する必要があるため、手取り額が減らないように“働き控え”をする人々がいます。“働き控え”は企業の人手不足を深刻化させるため、その解消策として、国が企業や労働者を対象に支援を行ないます。
「年収の壁・支援強化パッケージ」の代表的な施策は以下のとおりです。


「106万円の壁」への対策

①キャリアアップ助成金
手取り収入を減らさない取り組みをした企業に対し、助成金(キャリアアップ助成金)による支援を行ないます。
対象は従業員が101人以上で、従業員の手取り額の減少対策に取り組んだ企業です。該当する従業員1人あたり最大50万円が助成されます。 2023年10月20日から申請開始し、2025年度の年金制度改正まで実施されます。


②社会保険適用促進手当
社会保険へ加入していなかった非正規労働者が新たに社会保険へ加入した場合、その労働者に対して保険料負担を軽くするために支給されます。本来は加入労働者自身が支払う保険料を企業が負担するかたちになりますが、最大2年間は社会保険適用促進手当分の金額が社会保険算定基礎から除外され、事実上は企業負担がなくなります。


「130万円の壁」への対策

収入が一時的に上がったことを企業が証明すれば、連続2年までは一時的に年収が130万円を超えても扶養にとどまれます。 対象となるのは、従業員100人以下の企業で働くパート・アルバイトの人々です。2023年10月20日以降の被扶養者認定・収入確認時に適用されます。


以上が「年収の壁・支援強化パッケージ」の代表的な施策です。
なお、これらの施策については、厚生労働省の公式サイトのなかの「年収の壁・支援強化パッケージ」などで詳しく解説されています。

まとめ

企業にとって大きな課題のひとつである「人手不足」問題は、年収の壁による“働き控え”を減らすことで、解消に一歩近づきます。自社で働くパートやアルバイトの人々が、年収減を気にせずに働ける環境にするため、「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用をはじめ、できる限りの対策に取り組んでみてはいかがでしょうか?


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