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「電子署名法」(電子署名及び認証業務に関する法律)が平成12年5月31日に制定され、電子署名に法的な有効性が与えられたことで、導入も広がりつつあります。しかし、これまでのサインや印鑑と同等に扱っていいものか、といった不安を抱えているビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。そこで、電子署名の取り扱いポイントを整理してみましょう。
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目次【本記事の内容】
契約書や請求書、申込書、稟議書、保存文書、議事録などの紙文書が、正式なものであることを証明するために用いられてきたのが“署名・捺印”です。
しかし、いまや契約書などもデジタル文書で交わすことができるようになりました。デジタル化によってペーパーレス化も進みますが、その足かせとなっているのが、正式な書類には“署名・捺印が必要”という、長らく続いてきた日本の慣習です。
デジタル化で世界に後れを取っている日本は、政府肝いりで、“署名・捺印”の慣習から脱却しようと “脱ハンコ”を掲げています。そのために「電子署名法」も制定しましたが、思うように普及していないのが実態です。
それが如実に示されたのが、新型コロナウイルスの予防対策として推奨されているリモートワークの状況下で、書類への“署名・捺印”のためだけに出社を余儀なくされるという現実でした。
正式な契約書には、三文判ではなく印鑑登録をしている実印が用いられることが多いと思います。実印が用いられるのは、印鑑を押した人が、間違いなく本人であることを「印鑑登録証明書」によって、役所が証明しているからです。
電子署名は、契約書などの紙文書への署名や印鑑に相当するものです。しかし、電子文書は改ざんすることも、別人がなりすますことも簡単にできるのでは、という不安があります。
そうした不安を解消するために、電子署名には印鑑登録証明書に匹敵する「電子証明書」が用いられます。電子証明書は電子認証局(CA)が発行しますが、なりすましの防止や情報の改ざんを防止する暗号技術が用いられています。
電子証明書によって電子署名された電子文書は、間違いなくその人によって作成されたものと証明するものですが、当事者による事前の登録(電子証明書の利用法)が必要なため、証明書の発行には数週間程度かかります。
しかし、ビジネス現場では、スピードが求められる場面も多々あります。そのため、電子証明書のない電子署名を利用する企業も増えてきています。電子証明書の代わりに用いられるのが、立会人型と呼ばれる電子契約のクラウドサービスです。
これは、当事者同士の合意が成立したことを、第三者が電子署名により証明するもので、手続きが簡素なことから、利用する企業も増えています。しかし、一方で電子証明書がないため、信頼度に欠けるのではないか、という声もあります。
そうした不安視する声に対して、総務省、法務省、経済産業省が「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A」を令和2年7月17日に発表しました。
その内容は「電子署名法第2条第1項第1号の“当該措置を行った者”に該当するためには、必ずしも物理的に当該措置を自ら行うことが必要となるわけではなく、例えば、物理的にはAが当該措置を行った場合であっても、Bの意思のみに基づき、Aの意思が介在することなく当該措置が行われたものと認められる場合であれば、“当該措置を行った者”はBであると評価することができるものと考えられる」というものです。
なんとも難解な文面ですが、要するに「立会人型と呼ばれる電子契約サービス」も有効、ということです。
電子署名の関連サービスを提供する企業が登場したこともあり、大手企業では電子文書や電子契約書を導入する動きが加速しています。その波は、大手企業と取引のある中企業に押し寄せているようです。まだ、導入していない企業の担当者は、早めに検討する必要がありそうです。
電子署名を導入することによって、多くの文書が電子化となれば、文書の保管や管理する手間の軽減につながります。管理部門の働き方改革にも繋がるだけに、コロナ禍の今こそ、真剣に導入を検討する時期かもしれません。
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