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2020年に大きく変更を迫られた日本の職場環境は、一見するとそれなりに安定しているように思えます。今後はテレワークという新しい働き方が定着して、今までとは違った社会へとシフトするという意見もあります。
はたして実際にはどうなのでしょうか?この記事では働き方に関する意識調査(Job総研)をもとに、労働者の意識と企業側の対応とのズレや、これから期待される効率的な働き方について解説します。
2021年の8月に新型コロナウィルス対策として、当時の菅総理大臣は経済団体に対し、テレワークなどを活用して出社勤務の労働者数を7割減らすことを要請しました。しかし、それに対する回答は、いずれもかなり難しいという見解でした。
実際2021年を通じてのテレワークの実施率は、調査結果によりばらつきはありますが、おおむね3割前後と言われています。傾向としては大企業での実施率が高い一方で、中小企業における実施率は相対的に低く、とくに製造・建設・接客業などでは、テレワークの導入は難しいというのが現状のようです。
2022年のビジネス展望について、最新の意識調査を検証してみると、多くの社会人ができる限り出社勤務を減らして、テレワークによる在宅勤務を希望していることがわかります。また調査対象の約6割は、2021年の働き方については満足だったとも答えています。
Job総研の調査によると、調査対象のうち8割近くが、2022年はテレワーク中心の働き方を望んでいるようです。この中にはテレワークをもっと増やしたいという意見と、出社頻度を減らしたいという意見が含まれています。つまり、全体的に労働者の意識は在宅勤務に傾いていると言えるでしょう。
その一方で、実際の働き方に関しては、全体の6割以上が年初は出社型勤務を予定しているとも回答しています。働く側の希望と、職場を提供する企業側の実状との間には、大きなギャップがあることがうかがえます。
テレワークによる業務が難しい、営業・販売・接客などの業務をフロントオフィスと呼ぶことがあります。それに対して人事・経理・総務などの部門は、対照的にバックオフィス業務と呼ばれています。
従業員の意識を尊重して、しかもテレワークによる業務効率化を目指すなら、思い切ってバックオフィス業務を中心にテレワークを推進するという方法があります。バックオフィス業務は基本的に、常時顧客や取引先と対面する必要がありません。出社が必要な業務を選別すれば、テレワークによる対応を増やすことも可能です。
ただし、バックオフィス業務をテレワークに切り換える場合、企業内の業務体制をそれに合わせたシステムに転換する必要があります。たとえば経理業務はすべて電子化したり、クラウドを構築してデータをやりとりしたりするなどです。また、業務部門を越えてワークフローをシステム化することも必要になるでしょう。
このような対応は資金に余裕のある企業なら可能です。しかし、資金に余裕がない中小零細企業などでは必要なシステム導入は難しいかもしれません。したがって、企業の規模や財務状況により働き方に格差が生じる可能性があります。また、バックオフィスとフロントオフィスとの間で、働き方に関わる不公平感が生まれてしまうことも考えられるでしょう。
現在国内でテレワークが広がっているのは、新型コロナウィルスの仕事への影響を抑えることが目的でした。いわば緊急事態における苦肉の策だったものが、実際に試してみると予想以上に効率的なことが分かったため、平時においてもテレワークの継続が求められている状況です。
しかし、業務内容によってはテレワークによる対応が不可能な場合もあり、バックオフィス業務でも完全にテレワークだけに絞ることは現実的ではありません。状況にかかわらず一方的にテレワーク勤務を希望し、普及を推進することは本来の目的から逸脱してしまうかもしれません。
再び働き方に関する意識調査に戻ります。多くの人が2022年もテレワーク中心の勤務形態を望んでいるものの、同時に、実際には出社勤務が必要であることも理解しています。今後は働く側と企業側とがお互いに歩み寄りながら、それぞれが納得する働き方を模索して行くのかもしれません。
新型コロナウィルスは、私たちに新しい暮らし方と働き方とをもたらしました。当初は賛否両論があったテレワークについても、現在は広く社会に受け入れられているのです。さらに、多くの人たちが2022年以降もテレワーク中心の働き方を望んでいます。
ただし業種や業務内容によっては、テレワークでは対応できない場合もあります。在宅勤務を継続するためには、まず企業側が対応するシステムを構築してから、従業員の意向をもとに労働環境を整える必要があるでしょう。
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