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財務省は9月10日、平成30年7月の国際収支状況速報を発表しました。
速報によると、経常収支は2兆97億円で49か月連続の黒字ですが、黒字幅は前年同月に比べ14.4減少しています。また、経常収支のうち、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は10億円の赤字となっています。
国際収支について
国際収支とは、外国との取引が黒字なのか赤字なのかを示す指標です。企業でいう「決算」と同じですから、「赤字」というのは、決してプラス材料ではありません。企業であれば、倒産に結び付く状況ですが、国の収支と企業の収支には大きな違いがあります。
企業の決算で使う「経常利益」が、国際収支では「経常収支」となります。国際収支に「経常収支」と「資本収支」があり、海外との物やサービスの取引や投資の状況を示すのが「経常収支」で、「資本収支」はお金そのものの取引の状況を示す収支のことです。
「経常収支」は、貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支の4つから成り立っています。つまり、7月は収入より支出が上回った状態だったため、赤字となったわけですが、その理由は貿易収支が赤字になったことが大きく影響しているようです。
東日本大震災による原子力発電所停止と円安
貿易収支は、輸入で得た金額と輸出で得た金額の差額のことです。簡単に言えば、貿易によって海外からお金がいくら入り、いくら出ていったかということです。
ここで気になるのが、これまでの日本の経済は、どういう状態であったかということです。日本は長い間、貿易立国として、海外に日本製品を輸出することで大きな利益を得て、ずっと黒字を続けてきたことは周知の通りです。
それが2011年に、31年ぶりに赤字に転じることになりました。それは、東日本大震災により原子力発電所がメルトダウンするという未曽有の事故によって、原油の輸入量が大幅に増えたことが大きく影響しています。
しかも円安が、追い打ちをかけました。原油価格を押し上げ、赤字幅がさらに膨らむという状況となったからです。
原油輸入量の増加と工場の海外移転が影響
貿易収支が赤字となった理由は、原子力発電所が稼働を停止したことによる、原油輸入量の増加だけではありません。
ここ数年、日本企業の多くが、人件費のコストを低く抑えるため、工場を海外に移転し現地生産に乗り出すところが増えてきました。その結果、輸出量が減少していったことは言うまでもありません。
しかも、工場の海外移転は、貿易収支の赤字だけではなく、日本の産業空洞化という深刻な問題にもつながっています。
「国の借金」の残高は1087兆8130億円
輸入量が増え、輸出量が減ったことによる貿易収支の赤字が、すぐに国の懐事情に影響するわけではありませんが、赤字が続くと、マイナス分を海外のお金に頼らざるをえなくなります。
そうなると、金利の上昇という局面が訪れるかもしれません。現在の超低金利政策が崩れると、企業にとっては痛手ですから、経済の先行きに不安が生じてくることも想像に難くありません。
現在の日本財政状況は、国債を大量に発行して、大きな借金を抱えている状態です。財務省が今年3月末に発表した国債や借入金、政府短期証券を合わせた「国の借金」の残高は1087兆8130億円です。つまり、国民1人当たり約859万円の借金を抱えていることになります。
この借金の9割が国債で、その内訳を見ていくと、民間金融機関が約5割、日銀が約4割、海外からの借り入れは6%、そして、ごくごくわずかですが、個人でも国債を保有しています。ただ、金融機関に預けている個人の預金が、金融機関の国債への投資に使われていることも、押さえておく必要があるでしょう。
早急に求められる財政健全化
現在のところ、国の借金は、国内の資金で賄われているものの、このまま赤字が続けば、いずれは海外の資金に頼る可能性も大きくなることも考えられます。
そうした事態に備えるためにも、借金を減らし、財政を健全化させる必要がありますが、今年度の概算要求でも、借金を減らすどころか、さらに借金を増やしています。国の財政と、企業の経営状態を、単純に比較することはできませんが、経営状態に常に目を光らせている管理部門では、この国際収支状況をどう見ているのか、気になるところです。
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