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プレゼン資料にネット上の画像を使うのは違法?! 専門家の回答は?

公開日2018/12/09 更新日2023/01/19

Q:知識もないのに法務になってしまった新人です。初歩的な質問ですが、ご教示頂けますと幸いです。

弊社の営業はよく社内プレゼンを行います。

ネットの画像検索からダウンロードした画像を張り付けて資料をつくることも多く、中には勝手に競合他社の商品画像やロゴを使っているものもあります。

これは私的使用のための複製になるのではと疑問に思っています。

営業担当全員に今度アナウンスをするつもりですが、自分の知識に自信がないので、突っ込まれたらどうしようと考えています。例えば資料に『社外秘』や『持ち出し厳禁』など文言を入れて、社外にでないことを徹底する対応は、問題ないのでしょうか?

初歩的な質問で恐縮ですが、よろしくお願いします。

A:結論として、複製そのものを控えた方がよいです。

まず、競合他社の商品画像やロゴが著作物に当たるかどうかですが、前者の写真については、被写体、機材、撮影方法、撮影技法の選択に独自の創意と工夫がなされていれば、商品を撮影したものであっても著作物に当たります。

これに対し、ロゴは、著作物性が否定されている裁判例がありますが、競合他社より著作物と主張される可能性は否定できません。

「私的使用」であるから、著作物に当たるとしても問題ないかというと、そうではありません。著作権法は私的使用のための複製を禁じていませんが、「私的使用」とは、個人がレンタルショップで趣味の音楽CDを借りてダビングするような場合など、個人的または家庭内での複製に限られています。

会社内で業務上使用するために著作物を複製することは、個人的使用とはいえません。したがって、著作物性が認められる商品画像をコピーすることは著作権者が有する複製権を侵害したことになります。

また、コピーした商品画像を顧客に電子メールで送信した場合はもちろん、社内ネットワークでアクセス可能な状態に置いた場合であっても、著作権者が有する公衆送信権を侵害したことになります。

著作権法上の「公衆」には、特定かつ多数の者を含みますので、社内という特定の範囲であっても多数の社員がアクセスできるのでしたら、公衆送信権侵害となるのです。

佐久間 大輔(弁護士)先生の回答


著作権について

著作権は、著作権法という法律により保護されている、著作者の権利です。著作者の権利には大きく分けて、人格的な利益を保護する著作者人格権と、財産的な利益を保護する財産権の2つがあります。詳細には、さらにさまざまな権利に分けられます。

さまざまな権利には、公表権、氏名表示権、同一性保持権、複製権、上演権・演奏権、上映権、公衆送信権・公の伝達権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権・翻案権、二次的著作物の利用権があり、著作物を利用する場合は、原則として著作権者の許諾が必要となります。


公衆送信権について

佐久間大輔先生の回答にある公衆送信権は、著作権法第23条第1項に、「著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあっては、送信可能化を含む)を行う権利を専有する」、「著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する」とあります。

つまり、相談者の会社で行われている、ネットの画像をダウンロードして、その画像を張り付けて資料をつくることや、競合他社の商品画像やロゴを無断で利用する行為は、やはり控えた方が賢明なようです。しかも、この公衆送信権は、送信の有無にかかわらず、送信が可能になった時点で権利が働きますので注意が必要です。


著作権侵害・罰則などについて

著作権のある著作物を、著作権者の許諾を得ないまま無断で利用すると、著作権侵害となります。著作権者は、著作権侵害に対して、侵害行為の差止請求、損害賠償の請求、不当利得の返還請求、名誉回復などの措置の請求をすることができます。

また、著作権侵害は犯罪ですから、著作権者が告訴することで侵害者を処罰することができます。

著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定められています。

法人などが著作権等(著作者人格権を除く)を侵害した場合には、3億円以下の罰金となるほか、平成24年10月の著作権法改正により、私的使用目的であっても、無断でアップロードされていることを知り、かつダウンロードする著作物等が有償で提供・提示されていることを知っていた場合には、そのサイトから自動公衆送信でデジタル録音・録画を行うと、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金が科せられるようになりました。

著作権侵害は、決して軽い罪ではありません。社内用だからと安易にダウンロードして利用するのではなく、社内でも知的財産権に対する意識を徹底することが大切です。

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