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プライム上場企業が暴力団員に利益供与!企業が重視すべき反社チェック

公開日2023/10/19 更新日2023/10/18


2023年6月、東証プライム上場企業「三栄建築設計」の元社長が暴力団員に小切手を供与していたとして、東京都公安委員会から東京都暴力団排除条例の勧告を受けていたことが明らかとなりました。


以下では事件の概要を改めて紹介し、反社チェックの重要性についてあらためて解説します。

三栄建築設計の元社長が暴力団員に利益供与

都道府県が定める暴力団排除条例により、暴力団への利益供与は禁止されています。東京都暴力団排除条例では、「事業者が犯罪等の報酬として、財産上の利益を供与すること」「事業者が反社会的勢力の活動を助長させ、運営に資することになる利益の供与を行うこと」を「悪質な利益供与」と定義しています。


また、法務省が2007年に定めた「企業が反社会的勢力による被害を防止する指針」の中でも、「反社会的勢力に対して資金提供を行わないことは、コンプライアンスそのものであるとも言える」と強い表現で記されています。暴力団員への利益供与は明確な法律違反であり、企業は決して行ってはならない行為であるわけです。


そうした暴力団への利益供与を、プライム市場に上場する企業の元社長が行っていたことが、2023年6月に発覚しました。正確には冒頭で紹介した通り、該当事業者である三栄建築設計が、その件で東京都公安員会から都の暴力団排除条例に基づいて勧告を受けていたことを、企業として正式に公表したのです。


その後、三栄建築設計は弁護士5人の第三者委員会を設立し、8月に調査報告書を発表しました。発表によると、元社長と暴力団員は20年以上の付き合いがあり、企業内で秘密裏に担当者を定め、その対応をさせていました。同社が暴力団員の自宅の設計・建築を請け負ったことが関係性の始まりとされています。


三栄建築設計は2006年に東京証券取引所に上場を果たし、現在では市場再編前の東証一部に該当するプライム市場に上場している企業です。プライム上場企業は、コンプライアンスに関する規定を設けて反社会的勢力への基本方針を定めているところが多く、三栄建築設計でも同様に取り組みが行われていました。


しかし同社では、創業者である元社長が絶大な影響力をもち、その社長の「特命案件」という扱いで社内でも秘密の業務として利益供与が行われていたため、自社努力により取り締まることが難しかったようです。

企業に忍び寄る暴力団=反社会的勢力の存在

反社会的勢力による影響力の発生は、どの企業においても決して他人事ではありません。企業として関係断絶の社内規定を盛り込んでいても、巧みに忍び寄ってくる場合もあります。たとえば、以下のようなケースです。


社長に個人的な資金提供を行う

暴力団の側から企業の社長に対して、直接資金供与を行うという形ですり寄ってくる場合があります。社長と暴力団員が出会うのは、飲み会など非公式な場となるのが通例です。


かつては暴力団がフロント企業(暴力団が設立して経営に関与する企業)として立ち上げ、その上で一般企業と関係を持とうとすることが多かったようですが、最近では暴力団側が長期的かつ親密な関係を維持するため、社長と直接親密な関係を維持しようとしてすり寄るケースが増えています。そのための典型的な手法が、社長個人への資金提供・融資です。


社長に対して資金提供、株式の過半数以下での出資などを行い、表面上は会社の社長が在籍しているように見えても、実際には暴力団に乗っ取られ、暴力団員が実質上の経営者・オーナーになってしまうこともあります。


従業員として採用

暴力団員の中には、一般的なビジネスマンと同様のキャリアをもち、昼間は普通のサラリーマンとして働いている人もいます。そのような暴力団員が、転職活動を経て一般企業に就職することは十分に考えられます。就職後は普通に仕事をしているので、同僚・上司も暴力団員であると簡単には判別できません。


しかし実際の業務上において、暴力団と関わりのある企業(フロント企業など)と優先的に取引をしようとするなど、暴力団に資する行動を少しずつ取っていきます。上場審査で指摘されて初めて判明するなど、自社努力では気づけないことも多いです。


不正情報を握られる

経理担当者が不正行為を働いていて、そうした行為をしている情報を暴力団員側がつかみ、それをネタに経理担当者を脅してお金を取る、というケースもあります。また、過去に企業内で生じ、世間には公表されていない不祥事に関する情報をもとに、資金を暴力団に流すように脅迫するケースもあります。

反社チェックの重要性

企業が暴力団と関わらないようにするには、反社チェックが重要です。反社チェックの方法としては、以下が挙げられます。


自社で対応する方法

他者と取引を行う際に、「反社会的勢力でないことの確約書」などを貰うのが基本的な対策の1つです。最終的に確約書を得たとしても、提出を渋ったり、提出までに時間がかかったりすると、反社の疑いがあると考えても良いかもしれません。


また、端的な方法として、新聞のデータベース、インターネットでの検索も挙げられます。社名や社長名、取締役の名前、株主の名前などを、新聞のデータベース、インターネットの検索エンジンで検索すると、相手が過去に起こしたトラブルを調査できます。


その際、「暴力団」「総会屋」「逮捕」「違反」「行政処分(指導)」「着服」「不法・違法」「脅迫・恐喝」「迷惑」「不正」といったネガティブワードとあわせて検索すると、関連情報を得やすいです。


ほかにも、業界団体ごとに構築されている反社データベースもあるので、こちらを利用することで照合できる場合もあります。たとえば不動産業界(不動産流通推進センター)、証券業界(日本証券業協会)などでは、独自のチェックシステムをもっています。


ただし、自社が属する業界でそのようなデータベースがない場合は、自社で対処するしかありません。最近では反社チェックツールを企業向けに販売している事業者も登場しているので、そちらを導入するのも1つの方法です。


調査機関・行政機関に相談する

信用調査会社、興信所などに依頼することでも反社チェックを行えます。本業が忙しくて、人員・時間を割いてまでチェックすることが難しいときは、これら専門機関に頼むのも1つの方法です。また、行政機関に相談して反社チェックをすることもできます。たとえば東京都の場合は、公益財団法人暴力団追放運動推進都民センターなどに相談すると、反社チェックが可能です。

まとめ

企業にとって、反社会的勢力との関わりはいつどこで生じても不思議ではありません。日ごろから反社チェックを行い、関係をもたない意識を社内で共有することが大切といえます。もし取引相手、あるいは既存の取引相手が反社会的勢力の可能性がある場合は、企業の顧問弁護士や警察などと対応を相談する必要があります。




■参考
法務省|企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について
警視庁|東京都暴力団排除条例 Q&A

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